井村喜代子さんの『恐慌・産業循環の理論』(有斐閣、1973年)を読んでいますが、序説「分析の基本視角と本書の構成」で、井村さんは、恐慌論の「基軸」について、次のように書かれています。
資本制生産が、生産諸力を「無制限的」に発展させる傾向をもつと同時に、労働者の消費を狭隘な枠内に制限する傾向をもつこと、――この<生産諸力の無制限的発展傾向と労働者の制限された消費とのあいだの矛盾>(本書では<生産と消費との矛盾>と略す)こそは周期的過剰生産恐慌の生じる基礎・「窮極の原因 der letzte Grund 」をなすものである。(同書、4ページ)