神戸の高校生に続いて、大阪でも高校生の感染が確認され、いずれも海外渡航歴がないとのことで、国内でも新型インフルエンザが流行し始めたようです。
国内感染計21人に 大阪で9人、兵庫で4人新たに確定(朝日新聞)
最初に感染を確認された高校生の場合、診察した開業医が、連休明けからインフルエンザを発症する生徒が複数いたというので「念のために」と遺伝子検査を依頼したことから、新型インフルエンザであることが確認されたそうです。「水際作戦」と称して検疫だけに集中していたときに、この開業医の先生が機転を利かせなければ、新型インフルエンザの流行が見逃された可能性もあります。
当面は感染拡大を防ぐために臨時休校の措置などがとられていますが、すでにそれなりの感染が広がっていると予想され、こんご発症する人が増えていくはずです。早晩、首都圏などで感染が確認されることもほぼ確実でしょう。
ということで、まずはうがい、手洗いをきちんとして、「ひかない」ように注意しましょう。また、疑わしい症状が出たときは、とりあえず仕事などを休み、外出などを控え、「うつさない」ようにしたいと思います。
国内感染計21人に 大阪で9人、兵庫で4人新たに確定
[asahi.com 2009年5月17日11時46分]
厚生労働省は17日朝、新型の豚インフルエンザの疑いがあると報告を受けていた大阪府内の高校生9人ついて、国立感染症研究所の検査の結果、新型インフルエンザであることが確定した、と発表した。
朝日新聞の取材では、高校生は私立関西大倉高校の生徒。このほか、大阪府の検査で、この高校生の家族の中学生1人が新型インフルエンザの陽性反応を示しており、今後、国立感染症研究所で検査する予定。
また、神戸市は17日、新型の豚インフルエンザに、市内の高校生4人の感染が新たに確認されたと発表した。
朝日新聞の取材では、4人は、すでに3人の感染者が確認されている同市灘区の県立神戸高校の男女生徒。内訳は3年の男子2人と2年の男子1人、2年の女子1人。このうち3年生の男子2人はバレーボール部に所属しているという。
厚労省や神戸市によると、これで、人から人への感染が確定したのは、兵庫、大阪両府県で計21人になった。
さいわい、症状は通常の季節性インフルエンザとあまり変わらないようです。しかし例年、通常のインフルエンザでも千人前後の人が亡くなっています。大規模な流行になれば、それだけ亡くなる方も増える危険性があります。日本では、これから梅雨に向かってゆくので、おのずと感染拡大も収まるはず(ただし、秋以降ふたたび流行する可能性もある)なので、とりあえず落ち着いて対処したいと思います。
さて、そのとき、ずっと前から疑問なことが1つ。それは、マスクは感染予防に効果があるのか? という問題。
で、先日、新聞一面をつかって掲載された政府公報でも、「かからないため」の策としてあげられているのは、うがいと手洗いだけ。マスクはあげられていません。厚生労働省のホームページでも、予防策としてはマスクの着用はあがっていません。
厚生労働省:健康:新型インフルエンザ対策関連情報:新型インフルエンザ対策パンフレットなど
厚生労働省の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会が5月16日付で発表した「『基本的対処方針』の実施について」では、「マスクの着用等」について「個人における感染防止策の徹底は極めて重要」と書かれていますが、これはマスクの効果に限ったものではなく、「手洗い、人混みでのマスク着用、咳エチケットの徹底、うがい等」の「個人における感染防止策の徹底」全体についていわれているものです。
さらに、マスク着用そのものについて見ると、次のように書かれています。
※屋外等の解放空間においては、相当な人混みでない限りマスクを着用する意味はない。電車やバスの中等の換気が悪く閉鎖的な空間の中ではマスクを着用することで周囲の人の咳やくしゃみによる飛沫を防ぐ意味がある。また、他の人への咳エチケットとしてマスクを着用することが望ましい。
つまり、「相当な人混み」以外では「着用する意味はない」として、感染防止策としては、電車やバスのなかなど混雑した状況で、周囲の人が咳やくしゃみをしたときに、その飛沫を吸い込むことを防ぐことに限られる、としています。「他の人への咳エチケット」としてマスク着用は「望ましい」とされていますが、これは「かからない」ためというより、「うつさない」ための注意でしょう。
同じく厚生労働省「国内発生覚悟の対策実施に関するQ&A」(5月16日付)でも、「外出に当たり、必ずマスクを着用する必要があるのですか」という質問に、次のように回答しています。
マスクは、咳やくしゃみによる飛沫およびそれらに含まれるウイルスなど病原体の飛散を防ぐという効果が高いものであり、混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分で閉鎖的な場所に入るときに着用することが勧められます。
屋外などでは、相当混み合っていない限りあえてマスクを着用する必要はありません。また、施設や乗り物についても空いていれば、マスクを着用する必要はありません。(目安としては、対面する人と人の距離が1?2メートル)
ただし、外出に当たっては、マスクをいつでも着用できるよう、準備しておくことが望ましいといえます。
つまり、マスクは、もっぱら、咳やくしゃみでウィルスを含んだ飛沫を周囲に飛ばさないようにするための対策として位置づけられていて、回りからのウィルスの飛来を予防するという意味は含まれていません。
そもそも不織布だとしても、マスクの繊維の目はウィルスに比べればはるかに粗いので、マスクをつけたからといってウィルスは100%防げる、などということは考えられません。さらに、鼻のまわりなど隙間もあいています。
ところが、テレビ・ニュースで神戸市からの中継を見ていると、屋外で中継している記者がマスクをつけて話している一方で、室内でおこなわれた行政の記者会見では、行政側も取材側もノーマスクであるなど、ちぐはぐな扱いが見られます。厚生労働省の「基本的対処方針」からいえば、屋外の記者がマスクをしても「意味はない」はずなのですが…。
むしろ、マスクをつけることで「なんとなく安心」してしまって、うがいや手洗いがおろそかになる方が感染の確率を高めているかも知れません。はたしてマスクにはどれぐらいの効果があるのか? どなたか、専門的なご意見をお聞かせください。m(_’_)m
なお、正確な情報はこちらから↓。
厚生労働省:健康:新型インフルエンザ対策関連情報
国立感染症研究所:感染症情報センター<新型インフルエンザ(A/H1N1)>
ピンバック: Crossover クラシック音楽と現代音楽