失業率5% 3カ月で0.9ポイント悪化

4月の完全失業率が5.0%と、とうとう5%台になってしまいました。2003年11月(5.1%)以来の高さ。今年1月の4.1%からわずか3カ月で0.9ポイントと、一気に悪化しています。

完全失業者は346万人、1年前に比べ71万人も増加。会社都合による失業者は51万人増で、失業増の7割を占めています。

完全失業者数の対前年同月増減の推移

完全失業率(季節調整値)の推移

完全失業率:4月は5.0% 有効求人、最悪0.46倍(毎日新聞)
完全失業率:急ピッチで深刻化 雇用形態の変化も影響(毎日新聞)

総務省の発表データはこちら↓。PDFファイル(353KB)が開きます。
労働力調査(基本集計)2009年4月分結果の概要:総務省

完全失業率:4月は5.0% 有効求人、最悪0.46倍

[毎日新聞 2009年5月29日 東京夕刊]

 総務省が29日公表した労働力調査(速報)によると、4月の完全失業率(季節調整値)は前月より0.2ポイント悪化して5.0%となり、5.1%だった03年11月以来、5年5カ月ぶりに5%台に達した。また、厚生労働省が同日発表した4月の有効求人倍率(同)は0.46倍で、99年5、6月と並び過去最低を記録するなど、雇用の悪化に歯止めが掛かっていない。昨年10月から今年6月までに職を失う非正規雇用労働者も21万6408人と高い水準だ。雇用調整が一段落し伸び幅は鈍化しているものの、新規求人の増加には結びついていない。
 完全失業率は2月からの3カ月で0.9ポイントも悪化した。0.2ポイント以上の悪化が3カ月続くのは初めて。男性は5.3%(前月比0.4ポイント増)、女性4.6%(同0.1ポイント減)だった。完全失業率が最悪だったのは、03年4月などの5.5%。
 一方、職を探している人1人にいくつ働き口があるかを示す有効求人倍率は、前月比で0.06ポイント減少した。とりわけ正社員は0.27倍と前年同月(0.54倍)の半分に落ち込み、6カ月連続で過去最低となった。雇用の先行指標とされる新規求人数は52万2317人で、前年同月より26.5%減っている。
 政府は5月の月例経済報告で景気判断を上方修正した。世界的金融危機で落ち込んでいた企業の生産は持ち直しつつあり、4月に職探しを始めた人への求人状況を示す新規求人倍率(0.77倍)は前月より0.01ポイント改善した。しかし、完全失業率は景気動向に遅れて反応する。雇用の維持がやっとの企業は新たに求人をする余裕がなく、そこに求職者があふれ、失業率を押し上げている状態だ。
 完全失業者数は346万人と、前年同月比71万人増え、増加幅は過去最大となった。このうちリストラなど、「勤め先都合」による離職者は114万人で、53万人増加した。データを比較できる03年以降では、過去最高の増加幅となっている。就業者数は6322万人で前年同月より107万人減った。
 厚労省の太田俊明職業安定局長は「企業は雇用維持に努力しているが、新たに求人を出すまでに至っていない。今後もしばらくは悪化する懸念がある」との見通しを示した。【鈴木直】

完全失業率:急ピッチで深刻化 雇用形態の変化も影響

[毎日新聞 2009年5月29日 14時47分]

 29日公表された労働力調査(総務省)で、4月の完全失業率は前月より0.2ポイント悪化して5.0%となったが、日本は5%台の完全失業率を、01年6月?03年11月にかけて経験している。だが、当時は4%台後半から2年以上かけて徐々に悪化していったのに対し、今回は08年10月の3.8%からみても、半年で到達したことになる。かつてない速さで進んでいるところに事態の深刻さがある。【鈴木直】

 長い間2?3%で推移してきた日本の失業率が上昇し始めたのは、バブル経済崩壊後の90年代後半だ。それでも当時は横ばいが続いた後、前月比で0.1ポイント悪くなる程度で、0.2ポイントの悪化は数えるほどだった。ところが米大手証券、リーマン・ブラザーズが経営破綻(はたん)した昨年9月以降は、今年1月を除き、2月まで0.2?0.3ポイント幅で悪化。3月は0.4ポイントも悪くなるなど「考えられないピッチ」(厚生労働省幹部)で進んでいる。
 米国に端を発した世界的金融危機に伴う収益の大幅悪化により、大手企業も景気回復を見越して余剰人員を抱える日本的な雇用慣行を維持する余力を失った。そうした方針転換は、規制緩和で人員整理が容易になった非正規労働者を直撃した後、正社員にも影響を及ぼし、急速に失業率を押し上げている。
 仕事を探し始めた人1人にいくつ働き口があるかを示す新規求人倍率は、前月より0.01ポイントとわずかに回復した。同倍率は景気の先行きを表すとされる。
 しかし、厚労省は「昨年秋以降に離職した人の新規求職が2月で一段落した影響」(雇用政策課)とみており、1年前との比較ではむしろ悪化している。新規求人数は前年同月比26.5%減で、3月(22.3%減)より悪化幅は拡大した。ここ数年では今年2月(30.1%減)に次ぐ悪さで、厳しい状況は当面続きそうだ。

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