「自尊感情」というのは、self-esteemの訳語。「自分の外見・性格・特技・長所短所・自分のもっている病気やハンディキャップなどすべての要素を包括した意味での『自分』を、自分自身で考える」(32ページ)という意味です。プラスの面で言えば、「自信、積極的、有能感、できるという気持ち、幸せな気持ち、自分を大切に思う気持ち」など。マイナスの面で言えば、「劣等感、消極的、無力感、できないという気持ち、不幸でつまらないと思う気持ち、自分をみじめに思う気持ち」を表わします(同前)。
「自尊心」「自己評価」「自己価値」「自己肯定感」などさまざまな訳語があるそうですが、著者は、このポジティブな意味もネガティブな意味を包括的に表わす中立的な言葉として「自尊感情」という言葉を使っています(30ページ)。
子どもが「自己肯定感」を持てなくなっている問題は、以前からも指摘されていますが、本書のポイントは、この子どもの自尊感情の高さ・低さについて、一連の調査にしたがって数量化して比較・検討しているところにあります。