だから恋文じゃないって… 東京新聞が志位書簡を詳しく紹介

こちら特報部 2 (「東京新聞」2009年6月22日付)こちら特報部 1 (「東京新聞」2009年6月22日付)

本日の「東京新聞」こちら特報部で、共産党の志位和夫委員長が核兵器廃絶を願ってオバマ米大統領に送った書簡と返書が大きく取り上げられました。(^_^)v

こちら特報部:敵対超えた恋文 「志位」と「オバマ」 : 東京新聞

しかし、残念ながら、インターネットでは「こちら特報部」は前文しか読めません。(^^;)

ということで…。

共産党・志位委員長 急接近 米・オバマ大統領

[東京新聞 2009年6月22日付朝刊]

◆敵対超えた“恋文” 核廃絶へ両思い

 日本共産党が「帝国主義」と批判し続けた米国と急接近中だ。志位和夫委員長がオバマ大統領の核廃絶演説に感激、共感の意を伝える手紙を送ったところ、米政府から「親愛な志位様」と返書が届いたのだ。米国とは火花が散るような緊張関係というイメージがもっぱらの共産党に何があったのか。新しい恋(?)に目を細める志位氏に胸の内を聞いた。(関口克己)

◇米政府から初書簡

 「『共産党は反米政党」と思っている人が多いんですね。でも、反米主義者の党じゃない。米国の行動でもよいことはよい、悪いことは悪いという複眼で見て、評価しているんです」
 屋上に赤旗がはためく東京・代々木の共産党本部。志位氏は党に向けられる世間の視線に戸惑いつつ、こう切り出した。
 「よいことはよい」
 その象徴がオバマ大統領の核廃絶演説だった。
 チェコ・プラハで4月5日、大統領は約2万人の市民らを前に「米国は核兵器のない世界を目指す」と宣言。 「米国は核兵器を使ったことのある唯一の核兵器保有国として、行動する道義的責任がある」と付け加えた。
 「オバマさんは本気だ」。志位氏に”恋心”が宿った。
 「話したいけど、そんな状況じゃない。最良の方法は手紙だ」。パソコンにかじりついた。
 「バラク・H・オバマ殿」?。こう書きだした後、まずは自己紹介。

演説大絶賛も“恋人”に戒め

 「私は核兵器による惨害を体験した世界でただ一つの被爆国において、この地球上から核兵器を廃絶することを日本国民とともに求め続けてきた一政党を代表として、この書簡を送るものです」
 いよいよ本文に入る。
 最大の核保有国・米国の国家目標として核廃絶を掲げ、道徳的責任をも明言した演説を「大きな感銘をもって読みました」と大絶賛。 「人類にとっても、私たち被爆国の国民にとっても、歴史的な意義をもちます」
 それでも、まだ会ったことのない”恋人”には注文も。核兵器のない世界は自分が生きている間は無理とした一節には、「私は同意することができません」とピシャリ。初めての仕事にどれだけ時間がかかるかは分からない――。こう戒めた。
 手紙は最後に「(米国)政府の立場とわが党には多くの相違点が存在します」と打ち明ける一方、先の戒めを「あなたの発言の精神が世界政治で生きた力を発揮することを願ってのもの」と真意を明かし、 「日米両国間の友好と友情が発展することを心から希望します」と締めくくった。
 志位氏は4月28日、米国大使館を訪れた。結党87年で党代表者初めての訪問。手紙をズムワルト臨時代理大使に手渡した。
 大統領に返書を求めてはいなかった。 “片思い”の気持ちが伝われば良かった。だが、5月16日、エアメールで米政府から返書が届く。米政府から共産党への初書簡に、志位氏は「驚きましたねえ」と目を丸くした。

◇「日米関係もチェンジを」

「親愛な…」と大統領が返書

 「親愛な志位様」。返書はこう始まっていた。
 署名はデイビス国務次官補代理。でも、本文には「大統領は返書を大統領に代わってしたためるよう、私に指示しました」。大統領の手紙とほぼ同じだ。
 「どうすれば最良の方法で核兵器のない世界を実現できるかについての考えを伝えてくれた」
「あなたの情熱をうれしく思う」。こんな謝辞に交じり、「日本政府との協力を望む」とあった。
 「麻生さんに伝えなきゃ」。返書公表翌日の5月20日朝、麻生太郎首相との会談を官邸に申し入れた。
 分刻みで動く首相。与党幹部でも突然の会談は困難だ。だが、自共党首会談はその日夕にセットされた。返書の重みに、志位氏が驚いた。
 国会での会談。志位氏が核廃絶の国際交渉で日本がイニシアチブを取るよう求めると、麻生首相は「すげえ演説だったなあ」。 「何がすごいのか?」と切り込むと、「核兵器を持っている国が捨てると言うんだから。志位さん、すげえ話よ」。
 「すげえ」からは、首相のイニシアチブは感じ取れない。志位氏は「麻生首相には核廃絶へのアイデアがない。米国の前向きな変化が目に入らないからだ」。会談は15分で終わった。
 大統領は核兵器廃絶宣言のほか、ブッシュ前政権時代に冷え切ったイスラム諸国やキューバとの関係改善という前向きな“チェンジ”を続ける。

核のない世界真剣に探求を

 核兵器をめぐっては、書簡交換後に北朝鮮が核実験を強行。今月15日の米韓首脳会談では、韓国を米国が「核の傘」で守ることで合意。プラハ演説にブレーキをかけた印象だが、志位氏は「短絡的に見てはいけない」とし、エールを送る。
 「核廃絶までにジグザグはある。北朝鮮の核実験も逆風だ。でも、朝鮮半島非核化を実現するには、核保有国が核廃絶の流れを前進させるのが最も強力な手段。大統領は核兵器のない世界をスローガンにせず、真剣に探求してほしい」
 だが、まだ見ぬ“恋人”への愚痴もある。「一番チェンジしないのが日米関係。日本政府が米軍基地などで米国との従属的な関係を続けたいから、米国もそのままでいいと思っている」
 一気に雪解けしたかのような米政府と共産党。でも、党綱領には「アメリカ帝国主義は、世界の平和と安全、諸国民の主権と独立にとって最大の脅威」といった米国敵視の文章がズラリと並ぶ。
 こんな米国の首脳を評価して、綱領と矛盾しないのか。
 「もちろん大丈夫ですよ」と笑う志位氏。「米国を複眼で見る路線は、2004年の綱領改定と同時に確認したんです」
 “ラブレター”交換を「米国との公式対話ルートができた」とも胸を張り、 「適切な時期に米国訪問したい」.とも。 「保守層の人も、わが党に安心感を持っていただいた」との自己分析は、政権担当能力への自信か?
 「そう簡単にはいきません」。志位氏は顔を引き締めた。
 「政権に参加すれば、米国のほか財界・大企業と交渉する力を求められる。政策や組織も強めないと。今度の手紙を過大評価はできない。でも、政権を担う党への初歩的だが重要な一歩です」
 目前に迫る総選挙。民主党の政権交代に注目が集まり、 “埋没”が危ぐされる共産党を大統領が結果的に救うのか。
 同党関係者には「日本が右傾化する中、オバマさんとの手紙は『共産党よ、おまえもか』と熱心な支持層を失いかねない」との声もあるのだが…。

【デスクメモ】
 大丈夫かな。そんな感慨を持つのは皮肉屋の性だろうか。小浜ガールズの米国大統領賛美なら微笑ましくもあるが、「親魏倭王の金印」じゃあるまいし、「大統領の返書をいただいた」と狂喜乱舞の図にも見えますが。それにしてもオバマ信者の増殖ぶりは驚異。暗愚な前任者よりある意味、怖いかも。(充)

編集子は「狂喜乱舞」などと揶揄してますが、記事にも書かれているとおり、志位書簡は、オバマ大統領に“注文”もつけているし、米政府と日本共産党の間には「多くの相違点が存在する」とも書いています。だから、これを“恋文”になぞらえること自体が無理があるし、そもそも「毎日新聞」の二番煎じ。

しかし、ともかくこれだけの紙面を割いて、志位書簡と返書を取り上げたのはなかなか見る目がありますよ。『日米関係もチェンジを」なんていう見出しもちゃんと立ってるし。

東京新聞さんも、核兵器のない世界を目指して、立場の違いを踏まえつつ、真剣にやりましょう。

だから恋文じゃないって… 東京新聞が志位書簡を詳しく紹介」への1件のフィードバック

  1. 貴重な記事ありがとうございます。フランスにいる身では、ネットと郵送のあかはた新聞日曜版でしか日本の様子がわかりません。東京新聞は、ノーベル平和賞受賞者の17人、「核廃絶へ行動を」ヒロシマ・ナガサキ宣言(5月18日」付)を報じましたね。(全国紙は1紙も触れなかったらしいけれど)オバマ演説をトップにもってきたのは中国新聞だけということでした。地方紙の健闘が目立っています。またよろしく。

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