ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんの最新著。ノーベル賞受賞記念講演を含む講演やインタビューなどを集めたものです。面白いです!! 編集を担当した方から一昨日いただいたのですが、一気に読んでしまいました。(^^;)
ノーベル賞受賞記念講演は、ごく普通のことのように、難しい数式が出てきたりして、もちろん、さっぱり分かりません。
でも、「学問とは多くの自由を与えてくれるもの」「大学での学びは『自発、自得』の精神で」「事実にもとづき、つねに『なぜか』を問う」などの話は、僕も一度は大学院で研究者(ただし文科系)を志した経験があるので、そうだよなぁ、そのとおりだなぁ?、と思いながら読みました。
今年3月の「科学者九条の会」総会での講演も収められています。
面白いのは、平和・憲法9条の問題での発言について、「はじめに」で、「思想的にも文章としてもまだまだ精錬されていない」「人を納得させるためには、どう説明したらよいか等の推敲は不十分である」とか、本人は結構本気だが「緻密な論証が不十分である」と自己分析、さらに、「それには何をすべきかのストーリーは考えてあるが、今それを行う時間が無い」と書かれていること。ご自分の体験を、益川さんらしくぶっちゃけで喋っておられるのか思ったら、けっこう本気で真剣に考えて語ろうとされているんですね。大変失礼いたしました。m(_’_)m
【書誌情報】
著者:益川敏英(ますかわ・としひで)/書名:科学にときめく――ノーベル賞学者の頭の中/出版社:かもがわ出版/発行:2009年6月/定価:本体1500円+税/ISBN 978-4-7803-0280-6