『資本論』第1部第3章「貨幣または商品流通」の第3節「貨幣」b「支払手段」の終わり近く、注(107)がついているところで、マルクスは、次のように書いています。(上製版Ia、238ページ、新書版第1分冊、239ページ)
支払手段の通流速度にかんする法則の帰結として、どんな起源をもつ支払いであろうと、すべての周期的支払いにとって必要な支払手段の総量は、諸支払期間の長さに正比例する。
この部分、長谷部文雄氏の翻訳では、次のようになっています。
支払い手段の通流速度にかんする法則からして、その起源のいかんをとわずすべての周期的な支払いにとっては、支払手段の必要分量は支払期間の長さに逆比例する、ということになる。
ご覧のように、新日本訳で「正比例」となっている部分が、長谷部訳では「逆比例」(反比例)と、正反対の意味に訳されています。「正比例」か「反比例」か、 どっちが正しいのでしょうか?