総選挙の結果について(2)

民主党圧勝の選挙結果を受けてのマスメディアの世論調査。

どれもだいたい似たような結果を示している。すなわち、民主党が勝ったことは「よかった」、民主党政権には「期待する」、しかし、民主党のかかげる政策については「心配だ」、というもの。ここらあたりに、今回の民主党圧勝を生み出した国民世論が反映しているように思われる。

民主新政権に「期待する」74% 朝日新聞世論調査 : 朝日新聞
民主圧勝「よかった」68%…読売調査1 : 読売新聞
自民「政権奪還できる」66%…読売調査2 : 読売新聞
「故人献金、納得できぬ」73%…読売調査3 : 読売新聞
「衆院選結果」2009年9月緊急電話全国世論調査 : 読売新聞
「新首相」に期待が71% 政権交代「よかった」は49% : 東京新聞

たとえば、朝日新聞の世論調査では民主党政権に「期待する」74%、政権交代が起きて「よかった」69%。読売新聞の調査でも、選挙結果を「よかった」と思う人が68%を占めている。

ところが、東京新聞にのった共同通信の世論調査では、民主党の大勝、政権交代は「よかった」49.2%、「どちらともいえない」42.3%、自民党の惨敗についても「どちらともいえない」47.2%、「よかった」44.8%と、やや違った数字が出ている。これは、朝日の調査が「よかった」「よくなかった」の二者択一なのにたいして、共同の調査では「どちらともいえない」という選択肢があったからだろう。つまり、7割にも届こうかという民主党政権への期待の高さの内実は、そういうものなのかも知れない。

民主新政権に「期待する」74% 朝日新聞世論調査

[asahi.com 2009年9月1日22時30分]

 衆院選の結果を受け、朝日新聞社が31、1日に実施した緊急の全国世論調査(電話)によると、民主党中心の新政権に「期待する」と答えた人が74%に達した。「期待しない」は17%。一方で、民主党政権が日本の政治を「大きく変えることができる」とみる人は32%で、「できない」の46%を下回った。
 政権交代が起きて「よかった」とする意見は69%、「よくなかった」は10%。衆院選比例区で自民党に投票したと答えた人の中でも46%が「よかった」と答えた。
 民主党が300議席を超えて大勝したことに対しては、「よかった」が全体の54%で、「よくなかった」は25%。政権交代への評価に比べて好意的な受け止めが減る。
 民主党大勝の要因については、「有権者の政権交代願望が大きな理由か」という問いに81%が「そう思う」と答え、「政策への支持が大きな理由か」との問いには「そう思う」が38%にとどまった。
 民主政権は日本の政治を「大きく変えることはできない」とみる意見は、新政権に期待する人の中でも37%、選挙で民主に投票したとする人の中でも31%いた。
 全体として、政権交代を歓迎しつつも、民主党の政策や力量には懐疑的な意見も少なくないことがみてとれる。
 新首相になることが確実な鳩山代表については、「期待する」が63%、「期待しない」が29%だった。
 野党に転落する自民党について、民主党に対抗する政党として立ち直ってほしいかどうかを聞いたところ、「立ち直ってほしい」が76%を占め、「そうは思わない」は17%止まり。自民党に「ノー」を突きつけた選挙結果だったが、巨大議席の民主党に対抗する自民党への期待を示す数字といえそうだ。
 政党支持率では、民主が39%と、07年参院選直後の34%を上回り、過去最高となった。自民は22%だった。

     ◇

 朝日新聞の全国世論調査で、民主党の新政権への期待が高い一方で、具体的な政策になると依然厳しい目が注がれていることがわかった。
 1人月2万6千円の子ども手当を支給して所得税の配偶者控除などを廃止することに賛成は31%で、反対は49%。衆院選比例区で民主に投票した人の中でも反対が37%(賛成43%)いた。他の政党に投票した人では反対がおおむね5?6割を占めた。
 高速道路を無料化して建設の借金は税金で返済することについては、賛成は20%にとどまり、反対が65%とかなり評判が悪い。民主党に投票した人でも56%が反対だ。
 この二つの政策について、総選挙の公示直前に公約としての評価を聞いた際には、子ども手当を「評価する」33%、「評価しない」55%、高速道路無料化を「評価する」23%、「評価しない」67%だった。選挙戦を通じてのアピールにもかかわらず、有権者に理解されていないことがうかがわれる。
 「有権者が政策を支持したことが民主大勝の理由」とみる38%を「そうは思わない」52%が上回った。政策がお墨付きを得たとはいいがたく、今後、国民に政策の意味をどう説明していくかが大きな課題となる。
 惨敗した自民党へも、期待の目はある。民主党に対抗する政党として「立ち直ってほしい」は76%と、大半が再生を求めている。比例区で民主党に投票した人も同じ76%が「立ち直ってほしい」と答え、代わりうる政党の必要性を認めているようだ。
 一方で、自民党に投票した人の約半数が今回の政権交代を肯定的に受け止めたり、民主党政権に期待を寄せたりしており、現状の自民党では敗れても仕方がないと思う支持者が少なくないことをうかがわせる。どう変われるかが、自民党の課題といえそうだ。

■質問と回答

 (数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。丸カッコ内の数字は、8月15、16日の前回調査の結果)

◆いま、どの政党を支持していますか。

 民主党39(32)▽自民党22(20)▽公明党6(2)▽共産党3(4)▽社民党1(1)▽みんなの党1(0)▽国民新党0(0)▽新党日本0(0)▽改革クラブ0(0)▽その他の政党1(0)▽支持政党なし22(34)▽答えない・分からない5(6)

◆今回の衆議院選挙の比例区では、どの政党に投票しましたか。

 民主党39▽自民党22▽公明党10▽共産党6▽社民党3▽みんなの党3▽国民新党2▽新党日本1▽新党大地1▽改革クラブ0▽その他の政党1

◆衆議院選挙の結果、民主党を中心とした政権に交代することになりました。政権交代が起きたのは、よかったと思いますか。よくなかったと思いますか。

 よかった 69 よくなかった 10

◆民主党は300を超える議席を獲得しました。民主党が大勝したことは、よかったと思いますか。よくなかったと思いますか。

 よかった 54 よくなかった 25

◆新しくできる民主党中心の政権に期待しますか。

 期待する 74 期待しない 17

◆民主党中心の政権は、日本の政治を大きく変えることができると思いますか。大きく変えることはできないと思いますか。

 できる 32 できない 46

◆新しい首相には、民主党代表の鳩山由紀夫さんが選ばれることが確実です。鳩山さんに期待しますか。

 期待する 63 期待しない 29

◆民主党が大勝したのは、有権者が自民党からの政権交代を望んだことが、大きな理由だと思いますか。そうは思いませんか。

 政権交代を望んだことが大きな理由 81 そうは思わない 12

◆民主党が大勝したのは、有権者が民主党が掲げた政策を支持したことが、大きな理由だと思いますか。そうは思いませんか。

 政策を支持したことが大きな理由 38 そうは思わない 52

◆民主党は、子どものいる家庭に1人あたり月2万6千円の手当を支給することを公約しました。代わりに、所得税の配偶者控除などを廃止して財源にする考えです。この政策に賛成ですか。反対ですか。

 賛成 31 反対 49

◆民主党は、高速道路の料金を段階的に無料にすることを公約しました。過去につくった高速道路の借金は、税金から返済する考えです。この政策に賛成ですか。反対ですか。

 賛成 20 反対 65

◆自民党は議席を大きく減らし、野党に転落することになりました。自民党に、民主党に対抗する政党として立ち直ってほしいと思いますか。そうは思いませんか。

 立ち直ってほしい 76 そうは思わない 17

民主圧勝「よかった」68%…読売調査1

[2009年9月2日03時34分 読売新聞]

 読売新聞社が8月31日?9月1日に実施した緊急全国世論調査(電話方式)で、「民主圧勝―自民大敗」の衆院選結果を「よかった」と思う人は68%に上り、民主党中心の政権に「期待している」との答えは71%に達した。
 ただ、民主が政権公約(マニフェスト)に掲げた政策を実現できると思う人は54%、実現できないは44%と割れた。国民は期待と不安をもって新政権の行方を見つめているようだ。
 期待感は政党支持率にも表れ、民主は46.6%を記録した。前回(8月25?27日)の36.0%から大きく伸ばし、過去最高となった。自民党は横ばいの23.5%(前回23.4%)だった。
 一方、衆院選で民主が大幅に議席を伸ばした理由を聞くと、「麻生首相や自民への不満」が46%で最も多かった。「政権交代への期待」37%が続き、「政権公約への評価」は10%、「鳩山代表への期待」は3%に過ぎなかった。
 「民主・社民・国民新」の連立政権の枠組みを「評価する」は48%、「評価しない」は39%だった。
 鳩山代表が、資金管理団体収支報告書への架空個人献金記載を、秘書の独断だったと説明していることについては、「納得できない」73%が「納得できる」15%を大きく上回った。

自民「政権奪還できる」66%…読売調査2

[2009年9月2日03時34分 読売新聞]

 衆院選結果に関する読売新聞社の緊急全国世論調査(電話方式)によると、自民党が再び政権を取ることができると思う人は66%で、「できない」の19%を大きく上回った。
 政権奪還を「できる」との回答は、民主党の支持層でも62%、支持政党のない無党派層でも61%を占めた。自民が党勢を回復し、民主との2大政党による政権交代が起きると見る人が多いようだ。
 自民が大幅に議席を減らした理由では、「政策や実績への不満」32%がトップで、「政権担当能力の低下」27%、「自民への拒否感」19%、「麻生首相への不満」17%が続いた。
 民主中心の新政権に対し、自民はどう対応することを期待するかを聞くと、「政策の内容によっては協力すべきだ」77%が最も多く、「全面的に協力すべきだ」14%、「あくまで対決すべきだ」5%となった。

「故人献金、納得できぬ」73%…読売調査3

[2009年9月2日03時34分 読売新聞]

 読売新聞の世論調査で、民主党の鳩山代表の「故人献金」問題について、鳩山氏側の説明に対し、「納得できない」(73%)が、「納得できる」(15%)を大きく上回ったが、自民、公明両党は、国会などの場でさらにこの問題を追及する構えだ。
 鳩山新政権は立ち上がりから「政治とカネ」の問題で揺さぶられそうだ。民主党内からも「鳩山氏自身が一層、説明責任を果たすことが必要」との指摘が出ている。
 自民党の細田幹事長は「やはり、国民は納得していない。我々はしっかり追及していきたい」と強調した。公明党の山口政調会長は「まずは本人が説明責任を尽くすべきで、なお疑惑が晴れなければ、政党として自浄作用を発揮することが大事だ」と語った。
 これに対し、民主党の内藤正光選対委員長代理は、「今後、鳩山さん自身が情報発信し、謙虚に説明責任を果たせば、国民の理解は得られる」と述べた。

「衆院選結果」 2009年9月緊急電話全国世論調査

[読売新聞 2009/09/02]

▽調査日:2009年8月31日-9月1日 対象者:全国有権者
 方法:RDD追跡方式電話聴取法
 発信用電話番号(対象全域バンク4)4600件
 有権者在住世帯が確認できたもの  1780件
 各世帯で有権者1人を無作為に指定(乱数方式)
 有効回答 1065件(有権者世帯に対する回答率 59.8%)

Q あなたは、今、どの政党を支持していますか。1つだけあげて下さい。
 答 1.民主党 46.6
   2.自民党 23.5
   3.公明党 5.9
   4.共産党 2.8
   5.社民党   1.6
   6.みんなの党 1.4
   7.国民新党  0.8
   8.新党日本  0.0
   9.その他の政党 0.1
   10.支持政党なし 15.9
   11.DK.NA     1.5

Q 今回の衆議院選挙では、民主党が300を超える議席を獲得する一方で、自民党は議席を大幅に減らし、民主党を中心とする政権に交代することになりました。今回の選挙結果を、よかったと思いますか、よくなかったと思いますか。
 答 1.よかった   68.3
   2.よくなかった 16.1
   3.どちらとも言えない 14.1
   4.DK.NA        1.5

Q 民主党が議席を大幅に増やした最大の理由は何だと思いますか。次に読みあげる4つの答えの中から、1つだけ選んで下さい。
 答 1.民主党の政権公約、マニフェストへの評価 10.0
   2.鳩山代表への期待            2.5
   3.麻生首相や自民党への不満        46.4
   4.政権交代への期待            37.4
   5.その他                 0.9
   6.DK.NA                  2.8

Q 民主党の獲得議席は、もっと多い方がよかったと思いますか、もっと少ない方がよかったと思いますか、それとも、ちょうどよいくらいだと思いますか。
 答 1.多い方がよかった  7.4
   2.少ない方がよかった 47.7
   3.ちょうどよいくらいだ 38.9
   4.DK.NA         5.9

Q あなたは、民主党を中心とする政権に、期待していますか、期待していませんか。
 答 1.期待している 70.9
   2.期待していない 23.3
   3.DK.NA 5.8

Q 民主党は、政権公約、マニフェストに掲げた政策を、どの程度、実現できると思いますか。次の4つの中から、1つ選んで下さい。
 答 1.かなり実現できる  4.0
   2.ある程度実現できる 49.6
   3.あまり実現できない 41.3
   4.全く実現できない  3.0
   5.DK.NA        2.2

Q 民主党の鳩山代表は、社民党、国民新党と連立政権を作る方針です。この政党の組み合わせについて、評価しますか、評価しませんか。
 答 1.評価する 48.3
   2.評価しない 38.5
   3.DK.NA 13.2

Q 次の内閣に、優先的に取り組んでほしい課題があれば、次の8つの中から、いくつでも選んで下さい。
 答 1.景気や雇用     60.4
   2.年金など社会保障  66.7
   3.少子化や子育て   42.2
   4.消費税など税制改革 34.4
   5.外交や安全保障   27.5
   6.中央省庁の改革 29.1
   7.地方分権    21.4
   8.政治とカネ   34.1
   9.その他     0.3
  10.とくにない 0.7
  11.DK.NA    1.0

Q 民主党の鳩山代表は、自らの資金管理団体の収支報告書に、架空の個人献金を記載していた問題について、秘書が独自の判断で行ったものだと説明しています。この説明に、納得できますか、納得できませんか。
 答 1.納得できる 15.0
   2.納得できない 72.8
   3.DK.NA 12.2

Q 自民党が議席を大幅に減らした最大の理由は何だと思いますか。次の4つの中から、1つだけ選んで下さい。
 答 1.自民党の政策や実績への不満 32.2
   2.麻生首相への不満      17.3
   3.政権担当能力の低下     27.4
   4.自民党への拒否感      18.8
   5.その他           0.5
    6.DK.NA            3.8

Q 自民党は、再び、政権を取ることができると思いますか、できないと思いますか。
 答 1.できる 65.8
   2.できない 18.9
   3.DK.NA 15.4

Q 今後、自民党が、新しい政権にどのように対応することを期待しますか。あくまで対決すべきだと思いますか、政策の内容によっては協力すべきだと思いますか、それとも、全面的に協力すべきだと思いますか。
 答 1.あくまで対決すべきだ       5.3
   2.政策の内容によっては協力すべきだ 76.5
   3.全面的に協力すべきだ       14.4
   4.その他              —
   5.DK.NA               3.8

新首相」に期待が71% 政権交代「よかった」は49%

[東京新聞 2009年9月1日 22時13分]

 共同通信社が、政権交代確定を受けて8月31日、9月1日に行った全国緊急電話世論調査で、新首相となる民主党の鳩山由紀夫代表に「期待する」と答えた人は71.1%となった。直接の比較はできないが、昨年9月の麻生内閣発足直後の支持率48.6%を大幅に上回っており、新政権への期待度の強さをうかがわせた。「期待しない」は20.2%だった。
 一方、民主党が大勝し、政権交代することについて「よかった」は49.2%、「どちらともいえない」が42.3%となった。自民党の惨敗についても「どちらともいえない」が47.2%、「よかった」は44.8%だった。
 政党支持率も、民主党が41.1%で過去最高を記録、19.0%の自民党を大きくリードした。麻生内閣の支持率は14.2%、不支持率75.3%だった。
 発足予定の鳩山内閣が優先して取り組むべき課題(複数回答)では「景気・雇用対策」が40.2%で最多。次いで「税金の無駄遣い一掃など行財政改革」39.7%だった。
 辞任する麻生太郎首相(自民党総裁)の「次の総裁」にふさわしい人でトップは29.1%の舛添要一厚生労働相、2位は石原伸晃幹事長代理12.2%、3位は石破茂農相10.5%の順だった。(共同)

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