日曜日、散髪してさっぱりしたあと、夕方から日比谷シャンテで、映画「セントアンナの奇跡」を見てきました。
予告編を見たときは、ミステリー仕立ての映画だろうか? 事件の秘密をこの子どもが握っているのかなと思ったのですが、実際に見てみると、まったく違っていました。
主人公たちは、米軍の黒人部隊“バッファロー・ソルジャー”の一員として、1944年、イタリア・トスカーナ地方での戦闘に参加する。しかし彼らがやらされたのは、とりあえず兵を散開させただけで、真昼間に敵前で渡河作戦をやるなんて、まったく無謀というか、無計画としかいいようのない作戦。しかも、弾幕をかいくぐって向こう岸にたどり着いた兵士たちが砲撃先を知らせてきても、白人の司令官は「そんなわけがない」と無視。逃げ惑う米黒人兵士たちの真っ只中に、砲撃を加えてしまう。
そんなこんなで、敵陣のなかに取り残された4人の黒人兵士たちが、この少年と出会うのだが、なぜ少年が一人で逃げ惑っていたのかは、映画の終わりになってようやく明らかになる。ドイツ軍が、なぜパルチザンの「掃討作戦」とともに、逃亡した一人のドイツ兵を血眼になって探しだそうとしたのかも。
セントアンナの虐殺は、実際にあったことだし、“バッファロー・ソルジャー”と呼ばれた第92歩兵師団も実在しました。あとはフィクションのようですが、スパイク・リー監督は、決して、ファシズムを打ち破った輝かしい勝利、というだけではすまない第2次世界大戦の実像を「奇跡」に託して描いたように思います。
ドイツ軍に包囲されたイタリアの村で、黒人兵が祖国でよりも自由に感じるシーンが印象に残りました。しかし、やっぱり最初と最後の場面は余計なような気がします。
【映画情報】
監督・製作:スパイク・リー/原作・脚本:ジェームズ・マクブライド/出演:デレク・ルーク(スタンプス二等兵)、マイケル・イーリー(ビショップ三等軍曹)、ラズ・アロンソ(ヘクター伍長)、オマー・ベンソン・ミラー(トレイン上等兵)、マッテオ・シャボルディ (アンジェロ少年)/制作:2008年、米・伊