アメリカのノンバンク大手のCITが経営破綻。まだまだ金融不安はおさまっていないようです。日経平均も231円安の9802円に急落。
米ノンバンク大手のCIT、破綻 : 読売新聞
日経平均、大幅反落し1万円割れ 10月7日以来の安値 : NIKKEI NET
焦点:米CIT破綻、ファクタリング部門への影響に懸念広がる : Reuters
米ノンバンク大手のCIT、破綻 公的資金の返済困難
[2009年11月2日 読売新聞]
【ニューヨーク=山本正実】資金繰りが悪化し経営危機に陥っていた米ノンバンク大手のCITグループは1日、米連邦破産法11章(日本の民事再生法に相当)の適用を裁判所に申請し、経営破綻した。
同社の資産規模は2009年6月末時点で710億ドル(約6.4兆円)で、米企業の破綻としては、09年6月に破綻した米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)に次いで米史上5番目。金融機関としては08年9月の貯蓄貸付組合(S&L)最大手ワシントン・ミューチュアルに次ぐ3番目の規模となる。CITの社債を保有する日本の金融機関に損失が生じる可能性もある。
CITが08年末に受けた23億3000万ドル(約2100億円)の公的資金は全額返済されない公算が大きく、08年秋以降の米金融危機への対応で初めて国民負担が発生する事例になりそうだ。米金融の不安定さ示す
米国史上5番目の大型倒産となったノンバンク大手CITグループの経営破綻は、アメリカの金融システムが依然として不安定な状態にあることを示している。
アメリカでは、地方の中小金融機関の倒産も急増しており、2009年の金融機関の破綻は前週末までに累計115件に達した。巨額の不良債権を抱えた貯蓄貸付組合(S&L)が相次いで倒産した「S&L危機」の1992年以来、17年ぶりの高い水準だ。
大手でも、バンク・オブ・アメリカの09年7?9月期決算は、不良債権処理費用が前年同期より約8割も増え、純利益は3四半期ぶりに赤字に転落。市場では「最悪期を脱したかに見えた金融大手の経営の先行きは再び不透明感を増している」(関係者)との声も多い。
金融機関の経営が振るわず、貸し渋りに走れば、立ち直りかけた米国経済にブレーキをかけかねない。
今年6月に倒産した米カジュアル衣料大手のエディー・バウアーは、CITの融資先の一つだった。CITの破綻で、融資を受けていた約100万社の中小企業の資金繰りも影響を受ける。
CITが受けた公的資金が焦げ付けば、政府が介入して金融危機を防ぐ措置への国民の見方がさらに厳しくなるのは必至で、今回の破綻は様々な影響を生じさせそうだ。
日経平均、大幅反落し1万円割れ 10月7日以来の安値
[NIKKEI NET : 2009/11/02 15:32]
11月相場入りとなる週明け2日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反落。終値は前週末比231円79銭(2.31%)安の9802円95銭で、再び節目の1万円を割り込んだ。10月7日(9799円)以来の安い水準となる。前週末の米株式相場の急落や円相場が一時1ドル=89円台まで上昇したことを嫌気し、輸出関連株を中心に売りが膨らんだ。後場は自律反発狙いの買いや上海株式相場の上昇を受け、やや下げ渋った。東証株価指数(TOPIX)も反落した。
前週末の米ダウ工業株30種平均は249ドル安と半年ぶりの下げ幅を記録。経済指標の減速を受けたクリスマス商戦の不振懸念や、商業用不動産市況の悪化による金融不安の台頭が重荷になった。米ノンバンク大手CITグループの経営破綻も追い打ちをかけ、朝方の日経平均は下げ幅を300円近くまで拡大する場面があった。自動車やハイテクのほか、資源や不動産株の下げも目立った。
ただ、主要企業の4?9月期決算では総じて損益改善傾向が示されているとあって、過度に下値を売り込む動きは限られた。
焦点:米CIT破綻、ファクタリング部門への影響に懸念広がる
[Reuters : 2009年 11月 2日 10:17 JST]
[ニューヨーク 1日 ロイター] 経営難に陥っていた米ノンバンク大手CITグループが1日、連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。
CITの破産法申請は以前から予想されていたが、同社と取引のある中小企業は100万社以上にのぼり、中小企業の資金繰りが悪化するのではないかとの懸念が浮上している。
CITは信用収縮と景気後退(リセッション)で資金繰りが悪化。債権者はすでに同社の再建計画に同意しており、事前調整型の破産法申請で経営再建を目指す。
1日発表された再建計画によると、債権者はCITの債務を約100億ドル圧縮する方針。
ただ、経営再建の長期的な行方は不透明だ。複数の法律関係者によると、取引先の中小企業100万社以上が、新たな資金調達先探しを迫られる恐れがある。
法律事務所ライスマン・パイレス&ライスマンのパートナー、ジェリー・ライスマン氏は「壊滅的な影響が出る恐れがある」と指摘。
同氏によると、特にCITのファクタリング(売掛債権買い取り)部門は全米最大規模で、同部門の顧客である中小企業約2000社への影響が懸念されるという。
CITのファクタリング部門は、顧客である販売業者から売掛債権(1件につき500万ドル─10億ドル)を買い取り、代金の回収を行っている。
ファクタリング部門の顧客の多くは、すでに年末商戦の苦戦が予想されている衣料販売業者。
法律事務所プライヤー・キャッシュマンの破産グループ・パートナー、マーク・ジェイコブズ氏は「景気の良いときであれば、他の金融機関がファクタリング業務への参入を検討しただろうが、今の環境では、信用全般が収縮しており、新規参入は期待できない」と述べた。
全米中小企業協会によると、CITは、昨年の中小企業庁保証ローンの実行額トップで、同融資全体の6%を実行していた。今年1─6月の融資額は、全体の1%に相当する6500万ドルまで減少している。
金融機関全体でも、中小企業向け融資は減っている。連邦預金保険公社(FDIC)によると、1─6月の中小企業向け融資は約2%(148億ドル)減少した。
中小企業庁は7月、CITが破綻すれば影響が大きいとして、ガイトナー財務長官に支援の検討を求めていた。
同庁の広報担当者は、CITの破産法申請に先立ち、再度支援を求めるかを検討する可能性があると述べた。<業務継続は不透明>
CITファクタリング部門の顧客にとって最大の問題は、同部門が通常通り営業を継続できるかどうかだ。
CITは1日、すべての事業子会社が通常通り営業を続けるとの見通しを示している。
同社のファクタリング部門は、2008年の事業価値が420億ドルと推定されており、事業規模は業界2位のウェルズ・ファーゴの少なくとも5倍。
その他、GMAC、ローゼンタール&ローゼンタールなどがファクタリング業務を行っているが、CITの既存顧客をすべて引き受けるだけの余力があるかは不明。
CITの顧客の多くは、CITの破綻を見越して、既に融資枠から資金を引き出している。CITが社債権者から緊急融資を取り付けた7月には、1週間の引き出し額が通常の2倍の7億ドルに達した。
CITは顧客への影響を最小限に抑えるため、早期の経営再建を目指すと表明しているが、経営再建の行方は不透明で、取引先の懸念は根強い。
バロン・ストール・ベーダー&ナドラーの弁護士、バノ・ハロウチュニアン氏は「(CITの)取引先企業は、非常に神経質になっている」と述べた。(Elinor Comlay記者;翻訳 深滝壱哉 編集 宮崎亜巳)