神戸の中谷武さん(神戸大名誉教授)、菊本義治さん(兵庫県立大名誉教授)たちの『マクロ経済学』の新版がでました。先日、「日経新聞」に三六ツの広告が出ていたので、さっそく買い込んできました。
本書の特徴はなんといっても、マクロ経済学といいながら、第1章「資本主義経済の基礎」で、マルクス的な資本主義の見方をしっかり押さえていること。マルクス経済学か、近代経済学か、という不毛の二者択一ではなく、マルクス経済学の基本を踏まえつつ、マクロ経済学、ミクロ経済学の合理的な部分をとりいれていること。
現実の経済のかかえる諸問題を、理論的にとらえようという人には、ぜひお勧めします。ただし、教科書として講義で使うことが前提になっているので、理論的にはちょっと食い足りないところもあります。そこは、各々が自覚的に努力して勉強する、というのが大切なようです。
ちなみに、初版が出たのは10年前。今回新しく第2章「マクロ経済学のデータ」と第12章「労働市場」、第16章「経済成長」の各章が追加されたほか、データやコラムなどが新しくなっています。(ということで、私もこれからじっくり読みたいと思います)
【書誌情報】
著者:中谷武、菊本義治、佐藤真人、佐藤良一、塩田尚樹/書名:新版マクロ経済学(勁草テキスト・セレクション)/出版社:勁草書房/刊行年:2009年10月/ISBN 978-4-326-50324-7/定価:本体2,600円+税
置塩門下生だけあってマルクス経済学にも配慮がなされているテキストですね。また、ハロッド=置塩関数がこのテキストで良い意味で色が出ていると思います。学部1,2年には十分なテキストだと思います。