10月の失業者数・失業率が発表された。完全失業率は、季節調整値で5.1%、9月に比べて0.2ポイント改善した。
とはいえ、12カ月連続で、失業者は前年同月比増。しかも、失業者344万人のうち116万人が「勤め先都合」による失業。前年同月比で増加した失業者89万人のうちでいえば、実に55万人が「勤め先都合」による。「勤め先都合」による失業が依然として改善されていないことが分かる。
失業率5.1%、0.2ポイント低下=求人倍率は2カ月連続改善 ?10月 : 時事通信
就職内定率:大学生62.5% 下落幅は96年以来、最大に : 毎日新聞
総務省の発表資料はこちら↓。PDFファイルが開きます。
労働力調査(基本集計) 2009年10月分(速報)結果の概要 (PDF:327KB)
ちなみに、失業者数344万人は原数値。9月は、同じく原数値で363万人だったから、実数でいっても若干減少している。しかし、就業者全体でも6295万人(9月)から6271万人(10月)に減少している。雇用者で見ても、5470万人(9月)から5465万人(10月)に減少している。つまり、就業者や雇用者が増えて、失業者が減ったわけではない、ということだ。実際、非労働力人口が4392万人(9月)から4438万人(10月)へ、46万人も増えている。
労働力調査で「完全失業者」に登録されるためには、ハローワークに登録して職探しをしていることが条件。逆にいえば、「なかなか仕事が見つからない」と職探しをあきらめてしまえば、非労働力人口に分類されて、失業者ではなくなってしまうのだ。9月から10月へ失業者が減った背景には、このように職探しそのものをあきらめてしまった部分というのが相当数あるのではないだろうか。
さらに、大学生や高校生の就職内定状況はきわめて深刻な状態だ。大学生の内定率は10月1日現在で62.5%。前年同時期比でマイナス7.4ポイントという厳しさ。高校生の場合はもっと深刻で、内定率はわずか37.6%、前年同期を13.4ポイントも下回っている。
とても失業率が下がったといって、喜んでいられる状況ではない。
失業率5.1%、0.2ポイント低下=求人倍率は2カ月連続改善?10月
[時事通信 2009/11/27-10:55]
総務省が27日発表した労働力調査によると、10月の完全失業率(季節調整値)は5.1%と前月に比べ0.2ポイント改善した。改善は3カ月連続。一方、厚生労働省が発表した10月の有効求人倍率(同)は、前月比0.01ポイント上昇の0.44倍と2カ月連続で改善した。
失業率改善は完全失業者数が前月比で減少したことが主因だ。しかし、倒産や人員整理など勤め先都合による失業者は116万人と前月より3万人増加。長妻昭厚生労働相は同日、「若干良くなっているが、依然として厳しい状況に変わりがない」と述べた。
男女別の失業率は男性が5.3%、女性が4.8%で、それぞれ前月比0.3ポイント、0.1ポイント低下した。
完全失業者数は前年同月比では89万人増の344万人だった。これに対し、就業者数は117万人減の6271万人。製造業の減少幅は88万人で前月より拡大した。
有効求人倍率はハローワークの求職者1人に何件の求人があるかを示す。このうち、正社員は0.27倍と前月から0.01ポイント改善した。ただ、雇用の先行きを示す新規求人倍率は0.78倍と前月から0.01ポイント悪化。厚労省は求人倍率について「底打ちしたと言うのはまだ難しい」としている。
就職内定率:大学生62.5% 下落幅は96年以来、最大に
[毎日新聞 2009年11月19日 東京夕刊]
厚生労働省と文部科学省は19日、来春卒業見込みの大学生らの就職内定率(10月1日現在)を公表した。それによると、大学生の内定率は前年同期比を7.4ポイント下回る62.5%となり、下落幅は96年の調査開始以来最大となった。景気の低迷が続く中、就職氷河期並みの状況が浮き彫りになった。
調査は全国の大学などから112校を抽出し、6250人に面接や電話で調査した。男女別では、男子が63.3%(前年同期比6.5ポイント減)、女子が61.6%(同8.5ポイント減)となり、女子がより厳しくなっている。短大生は29.0%(同10.4ポイント減)、高等専門学校94.7%(同0.1ポイント減)、専修学校43.4%(同2.8ポイント減)といずれも前年同期を下回る結果となった。
大卒の内定率(10月1日時点)は、03年の60.2%が最も低い。今回厳しい状況となった背景には急激な経済悪化がある。昨年の就職時期に、いったん内定を出した学生の内定を取り消す企業が相次ぎ批判を浴びたことから、採用を抑制したのも要因とみられる。
政府は緊急雇用対策本部の「新卒者支援チーム」が19日に会合を開き、支援策の検討を行う。【東海林智】
就職内定状況の詳しい資料はこちら↓。
厚生労働省:2009年度高校・中学新卒者の就職内定状況等(2009年9月末現在)について
厚生労働省:2009年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(2009年10月1日現在)について