沖縄普天間基地問題。鳩山内閣は年内決着を見送りましたが、岡田外相は、沖縄を訪問して、県内移設しか道がないと説いて回ったようです。
しかし、宜野湾市の伊波市長からは、米海兵隊の主力部隊はグアムに移転しているのだから基地も国外移転が可能だと指摘され、名護市の住民との懇談会では「シュワブ沖移設では公約違反だ」と迫られてしまいました。
普天間移設の遅れ懸念=宜野湾市長と会談?外相 : 時事通信
外相 名護市の住民と意見交換 : NHKニュース
そもそも、岡田外相をここまで追い込んだのは、4日のルース米駐日大使との会見。アメリカから猛烈な圧力をかけられ、いよいよ追い込まれてしまったようです。
ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で : MSN産経ニュース
やっぱり、ここまできたら、「そもそも、本当に沖縄に海兵隊の基地は必要なのか?」という根本問題から考え直さなければだめですね。「はじめに基地ありき」で、それをどこに移設するかの議論だけでは、いつまでたっても堂々巡りは避けられません。
普天間移設の遅れ懸念=宜野湾市長と会談?外相
[時事通信 2009/12/05-11:51]
沖縄を訪問中の岡田克也外相は5日午前、米軍普天間飛行場がある宜野湾市の伊波洋一市長と那覇市のホテルで会談した。席上、岡田外相は4日に開いた普天間移設に関する日米閣僚級作業グループの協議に言及し、「状況は非常に厳しい。彼ら(米政府)は(現行計画の)辺野古への移設以外に選択肢はないということなので、危険性がなくならないという最も懸念すべき事態になりかねない」と述べ、移設が遅れる可能性を伝えた。
これに対し、伊波市長は、米側がグアムに移転させる沖縄海兵隊の人数を当初計画よりも増やしていると指摘。「沖縄の実戦部隊がほとんどいなくなるのに、辺野古に基地を造る議論は納得できない」との考えを重ねて示した。伊波市長はかねて、同飛行場の早期撤去を求める一方、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部に移す計画に反対し、国外移設を主張している。
外相 名護市の住民と意見交換
[NHKニュース 12月5日 19時14分]
沖縄県を訪れている岡田外務大臣は、今の計画でアメリカ軍普天間基地の移設先となっている名護市で5日、住民との意見交換会に出席し、連立政権を組む社民党の反発などから、現状では移設問題の年内決着は難しいという認識を示しました。
名護市で開かれた意見交換会には、地元の住民およそ100人が集まりました。この中で、岡田外務大臣は「沖縄の負担を少しでも減らすという思いが実現できないか、この2か月余りアメリカと交渉してきたが、連立政権を組む社民党にとって普天間基地の移設問題は非常に重要で、政権離脱も辞さずという話があり、煮詰まっている」と述べ、現状では移設問題の年内決着は難しいという認識を示しました。そのうえで、岡田大臣は「日米同盟を持続し、より強くしていくことと、普天間基地の移設問題をどうするかというジレンマのなかで、われわれは選択を迫られている。ぜひ率直な意見を伺いたい」と述べました。
これに対し、住民からは「民主党は普天間基地を名護市のキャンプシュワブ沿岸に移設する今の計画を見直すと言ってきており、計画どおり移設すれば公約違反だ」といった意見や「普天間基地は、県外や国外に移設すべきだ」といった意見が、相次いで出されました。
ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で
[MSN産経ニュース 2009.12.5 01:38]
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり鳩山由紀夫首相が年内決着を断念したことに、米国側が激怒した。
4日午後、日米合意に基づくキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)移設を念頭にした、日米閣僚級作業グループ(WG)の検証作業が開かれた外務省4階大臣室隣りの接見室。
関係者によると、少人数会合に移った後、米国のルース駐日大使がそれまでの穏やかな語り口を一変させた。「いつも温厚」(防衛省筋)で知られるルース氏は、岡田克也外相と北沢俊美防衛相を前に顔を真っ赤にして大声を張り上げ、年内決着を先送りにする方針を伝えた日本側に怒りをあらわにした、という。
いらだちを強める米国側の姿勢は、会合後、首相官邸を訪れた岡田、北沢両氏から鳩山由紀夫首相にも伝えられたとみられる。
伏線はあった。鳩山首相は4日、「グアムに全部移設することが、米国の抑止力ということを考えたときに妥当か検討する必要がある」と記者団に語り、年内決着どころか、グアム移設も含め検討する考えを示していたのだ。福島瑞穂消費者・少子化担当相(社民党党首)は「選択肢の幅が明確に広がったことを大変歓迎している」と強調した。
もともと日米合意に基づく普天間移設計画は、普天間の米海兵隊ヘリコプター部隊を辺野古の代替施設に移し、司令部機能などはグアムに移設させることが柱だ。ヘリ部隊も一緒にグアムに移設した場合、有事の際にグアムからヘリ部隊が県内に展開する地上部隊をピックアップしに沖縄に立ち寄る手間がかかる。政府関係者は「ヘリ部隊と一体のグアム案は想像をはるかに超える」と語る。
これまでの米軍再編協議で議論された案は、いずれも県内が対象だった。移設先に県外を持ち出せば日米作業グループの検証作業は困難になる。岡田外相が米空軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)への統合を主張する事情でもある。
一方、海兵隊の戦闘機とヘリを分散移設させる案も政府・与党内にある。ヘリ基地を辺野古に隣接するシュワブ、ハンセンいずれかの陸地に建設し、海兵隊の戦闘機については嘉手納に統合する案だ。ただ、米側は部隊運用上の理由から日米合意が唯一の選択肢との立場。与党内からは「実現可能だったら、とっくにやっている」(政務三役)と嘆きの声も出ている。
共産 基地の無条件撤去求める
[NHKニュース 12月5日 12時18分]
共産党の志位委員長は、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設先として計画されている名護市のキャンプシュワブ沿岸を視察したあと、記者団に対し、政府はアメリカ政府に対し、普天間基地の無条件撤去を求めるべきだという考えを強調しました。
志位委員長は5日午前、沖縄県の名護市を訪れ、これまでの日米合意でアメリカ軍普天間基地の移設先として計画されているキャンプシュワブ沿岸を視察し、現地で新しい基地建設に反対している住民らから現状の説明を受けました。
このあと志位氏は記者団に対し、「普天間基地の海兵隊は、日本の平和や安全に役立つ『抑止力』ではなく、実際にはイラク戦争などに参加した『侵略力』だ」と述べました。そのうえで、志位氏は「政府は『抑止力』というじゅ縛にとらわれているために、『移設先を探さなければならない』という議論になっているが、『海兵隊は日本にはいらない』という立場に立って、普天間基地の無条件撤去を求める交渉を行うべきだ」と述べました。