テレビの正月番組もろくなものがないし、正月休みに部屋でくすぶっていても仕方ないので、元日から渋谷で映画を見てきました。
といっても、話題作というわけでなく、そろそろ公開終了になる「アンナと過ごした4日間」というマイナーな映画です。ポーランドの“幻の巨匠”イエジー・スコリモフスキ監督の17年ぶり最新作! といわれる作品です。
「ポーランドの地方都市に暮らす独身の中年男レオンと若い看護師アンナの切なくも哀しい恋を描いた」(チラシ)というのですが、要するに、トラウマでフェチな中年男の究極のストーカー、というお話。はたして、「レオンとアンナの恋」といえるんでしょうか?
それにしても、舞台となった病院は、ヘリコプターで急患が運ばれてくる拠点病院であるようなのですが、それにしてはひどく荒れ果てていて、主人公の住む家やアンナの暮らす看護士寮もそうだし、道路もろくに舗装されておらず、「ひなびた」などというより「荒廃した」といった方がいいような雰囲気。雲が暗く垂れ込め、陰々滅々たる景色です。
主人公が恋い焦がれるアンナも、決して美人というわけでなく、スラブ民族的にかなりふくよか。最後はきちんと台詞のある場面も登場しますが、基本的に、寝息を立てて寝込んでいるばかりの役というのは、演じた女優さんもなかなか大変だったでしょう。
ということで、お客さんは9人だけ。もちろんカップルで見に来ているような客はおらず、元日から出かける場所もないような寂しい兄ちゃんや姉ちゃんばかりでした。(^_^;) ←そういってるオイラもそうだけど。
渋谷・宮益坂上のシアター・イメージフォーラムで1月9日まで公開。
【映画情報】
監督・脚本・製作:イエジー・スコリモフスキ/出演:アルトゥル・ステランコ(レオン)、キンガ・プレイス(アンナ)/フランス・ポーランド合作、2008年