『資本論』第13章「機械と大工業」を読んでいて、ふとわいた疑問です。
たとえば、機械と道具の違いについてマルクスは、機械の場合は、道具が「人間の道具」としてではなく、「1つの機構の道具」になっていると説明しています(新日本出版社、新書版『資本論』第3分冊、647ページ)。この「機構」の原語は、Mechanismus です。
確かに、ドイツ語の Mechanismus は英語で言えばメカニズム mechanism ですから、辞書的には「機構」という訳語で問題ありません。しかし、「機構」というと、たとえば NATO(北大西洋条約機構)のように、具体的な物ではなく、組織・制度を指す場合もあります(要するに「機構」という言葉には、Organismus もしくは Organisation の訳であるという可能性がつきまとうわけです)。だから、「機構の道具」と言われても、今ひとつピンとこないのです。