朝はけっこう暖かかったのに、夜になるとすっかり冷え込んでしまい、駅から自転車で帰ってくるとき、かなりぶるってしまいました。(^_^;)
そんなとき見上げたら、ちょうどオリオン座が正中していました。それで思い出したのが、この記事↓。オリオンの右肩にある1等星ベテルギウスが、実は超新星として爆発しそうだ、というニュース。超新星はみたいけれど、オリオン座がなくなってしまうのはちょっと寂しい…。
ベテルギウスに爆発の兆候 大きさ急減、表面でこぼこ : 朝日新聞
ということで、こちら↓が、そのベテルギウスの写真。(^_^;)
APOD: 2010 January 6 – The Spotty Surface of Betelgeuse
写真につけられた説明によると、「写真には2つの大きな明るいスポットがある。これらスポットは、深部から上昇してきた非常に大きな対流セルを表わしているのかも知れない。それらが明るいのは、表面の残りの部分よりも高温だからである(といっても、2つのスポットも他の表面も、太陽の表面温度より低い)」ということです。
ベテルギウスは地球から約600光年離れているので、今日見上げたベテルギウスの光は、600年前、1410年にベテルギウスを発した光。ひょっとすると、現在この瞬間、実はもうすでにベテルギウスは存在していないかもしれません。
ベテルギウスに爆発の兆候 大きさ急減、表面でこぼこ
[asahi.com 2010年1月10日0時27分]
オリオン座の1等星「ベテルギウス」で、超新星爆発へ向かうと見られる兆候が観測されている。米航空宇宙局(NASA)が6日に公開した画像には、星の表面の盛り上がりとみられる二つの大きな白い模様が写っていた。この15年で大きさが15%減ったという報告もあり、専門家は「爆発は数万年後かもしれないが、明日でもおかしくない」と話す。もし爆発すれば、満月ほどの明るさになり、昼でも見えるようになる。
冬の大三角の一つでもあるベテルギウスは、赤色超巨星と呼ばれる巨大な星。直径は太陽の1千倍で、太陽系にあるとしたら、地球や火星はおろか木星までが覆われる大きさだ。重いため一生は短く、まだ数百万歳(太陽は46億歳)だが、すでに寿命に近い。最後は超新星爆発を起こし、ブラックホールなどになるとされる。
地球からの距離は約600光年。地球からベテルギウスを見ると、東京から大阪に置いてあるソフトボールくらいの大きさにしか見えず、これまでは大きな望遠鏡でも点程度にしか見えなかった。だが近年は、複数の望遠鏡を組み合わせて解像度を上げることにより、その表面や周囲のガスの流れまで撮影できるようになった。
昨年、米欧の研究者がほぼ同時に3本の論文を発表し、ベテルギウスが大量のガスを放出していることや大きさの急減が示された。ガスの放出によって星の表面が梅干しのようにでこぼこに膨らんでいるらしい。
ただ、その後の別の観測では、大きさの変化はあまりないという報告も出ているという。3本の論文のうちの1本の著者で、独マックスプランク電波天文学研究所の大仲圭一研究員は「爆発がいつかは分からないが、死の直前を見ているのは間違いない。今まで想像するしかなかった星表面の様子も、実際に見て確かめられるようになってきた」と話す。(東山正宜)
関連情報
ベテルギウスの質量放出の謎にせまる : AstroArts
オリオン座のベテルギウス、この15年で15%の謎の「縮小」 : AFPBB News
ベテルギウスの質量放出の謎にせまる
[2009年8月5日 ESO : AstroArts]
ヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡(VLT)による観測で、2つのチームがオリオン座のベテルギウスの詳細な姿をとらえた。表面からガスを激しく噴き出し、太陽系とほぼ同サイズまでガスを広げながら迫りくる最期を待つ赤色超巨星の様子が初めて明らかになった。
全天の中でも極めて巨大な星として知られるオリオン座のベテルギウス。その規模ゆえに寿命が数百万年しかなく、近い将来起こるであろう超新星爆発の時には、昼間の地上からでもはっきり見えると予測されている。
このような超巨星が激しく物質を放出するしくみについて、このたび2つのチームがヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡(VLT)を駆使し、その秘密にせまった。
パリ天文台のPierre Kervella氏のチームは、VLTの補償光学装置NACOで、「ラッキー・イメージング」(連写した中からシャープな画像を選び取る撮影法)を行い、37ミリ秒角という超高角分解能でベテルギウスを撮影した。これは、国際宇宙ステーション(ISS)にあるテニスボールを地上から認識できるレベルだ。
1枚目の図のように、ベテルギウスの表面から宇宙空間へとガスが広く流出していることがわかる。これは実に太陽から海王星までにも及ぶ距離だ。また、2枚目の図では、物質の放出の方向が偏っている様子がうかがえる。自転による極方向からの物質放出か?あるいはベテルギウス内部での激しいガスの噴出によるものだろうか?
その答えをもたらしたのは、ドイツのマックス・プランク電波天文学研究所の大仲圭一氏のチームだ。VLTと1.8m補助望遠鏡を組み合わせ、観測装置AMBERを使って、上述のNACOによるものの4倍(今度はISSのビー玉を認識できるレベル)の高角分解能での撮影に成功した。
「今回AMBERがとらえたベテルギウスは今まででもっとも鮮明なもので、表面の個所ごとにガスの動きの違いがわかるというのは、太陽以外の恒星では初めてのことです」(大仲氏)
これにより、ベテルギウスを取り巻くガスが上下に激しく流動し、星自身に匹敵するサイズの泡を生じている様子が確認された。このガスが、宇宙空間への膨大な噴出を引き起こすものと考えられる。
オリオン座のベテルギウス、この15年で15%の謎の「縮小」
[AFPBB News 2009年06月10日 10:19 発信地:ワシントンD.C./米国]
【6月10日 AFP】オリオン座の赤い一等星「ベテルギウス(Betelgeuse)」の大きさが過去15年間で15%以上も縮小しているとの研究結果が、米カリフォルニア(California)州パサディナ(Pasadena)で9日開催された米天文学会(American Astronomical Society、AAS)の会合で発表された。縮小の理由はまだ解明されていないという。
ベテルギウスは赤色超巨星で、その直径は太陽から木星軌道にまで及ぶ長さになるとされる。だが、1993年以降の15年間で太陽から金星軌道までに相当する距離が縮小したことが、南カリフォルニアのウィルソン山(Mount Wilson)頂上にある米カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の赤外空間干渉計(Infrared Spatial Interferometer、ISI)による計測で明らかになった。
1964年にレーザーの発明でノーベル物理学賞を受賞した同大のチャールズ・タウンズ(Charles Townes)教授によると、縮小は徐々に進んでいるが、年がたつにつれその速度は速まっているという。また教授は、近年になってこの星の表面に非常に明るい部分を確認しているが、星の変形は今のところ観測されていないという。
また、縮小にもかかわらず、光度の大幅な減少は見られないという。
赤色超巨星は、質量の大きい星が内部崩壊を起こして大爆発を起こす、いわゆるタイプ2型の超新星になると考えられている。
ベテルギウスは、全天で最も明るい星のベスト8に入るが、こうした星で測定が行われたのは、ベテルギウスが初めて。ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope、HST)による観測も行われている。