厚生労働省の毎月勤労統計調査(毎勤統計)の2009年分が公表されました。それによれば、勤労者1人当たりの月平均現金給与総額は前年比3.9%減。3年連続のマイナスであるだけでなく、1991年以来、最大の減少率 ((毎勤統計の「平均現金給与額」は、5人以上の事業所について調べたもの。解雇されたり、企業が倒産して失業した人の失った所得は考慮されていない。したがって、失業が増えている昨今では、勤労者全体の購買力は毎勤統計の「平均現金給与額」以上に低下していると考えなければならない。))。
しかし他方で、大企業は1991年度の約100兆円から2008年度の約214兆円へと、内部留保を大幅に増やしています。まずは国民の懐を暖めないと、景気回復は望むべくもありません。
企業の内部留保は、財務省の「法人企業統計」から計算することができます。
内部留保の範囲の取り方には、いくつか考え方がありますが、ここでは資本剰余金と利益剰余金の合計額を内部留保として、資本金10億円以上の企業で金融・保険業を除く全産業について、計算してみました。
それにたいして、こちら↓が、「毎月勤労統計調査」2009年分結果速報で公表された「現金給与額の推移」。対前年増減率の推移ですが、この間伸び率は下がり続けていることが分かります。(「決まって支給する給与」は、残業代などを含む月々の月給のこと。そのほかにボーナスなど「特別に支払われる給与」があり、それらの合計が「現金給与総額」です)
給与、最大の3.9%減 09年勤労統計
[中日新聞 2010年2月2日 夕刊]
厚生労働省が2日発表した2009年の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上の事業所)によると、基本給や残業代などすべての給与を合わせた1人当たりの月平均現金給与総額は31万5164円で、前年比3.9%減と3年連続のマイナスとなった。消費者物価の影響を除いた実質賃金も2.6%減と4年連続のマイナス。減少率はともに、現行調査方式の統計が残る1991年以降で最大となった。
リーマン・ショック後の世界的不況の中、残業時間の削減や給与カットが進んだためとみられ、個人消費の低迷を招き、デフレが深刻化する恐れがある。
給与のうち、基本給など所定内給与は24万5758円で1.2%減にとどまったが、残業手当など所定外給与は13.5%減の1万6672円、ボーナスなど特別給与は12.1%減の5万2734円と大幅にダウンした。
月平均の総労働時間は144.4時間と2.9%減で、このうち残業など所定外労働時間は15.2%減の9.2時間。所定外は製造業では32.2%も減っており、景気後退による減産の影響などが大きいとみられる。
同時に発表した09年12月の現金給与総額(速報)は、前年同月比6.1%減の54万9259円。ボーナスなど特別に支払われた給与が10.6%減の28万5606円となったことが響いた。
厚生労働省の発表資料はこちらから↓ PDFファイルが開きます(510KB)。
ところで、MSN産経ニュースは、今日の衆議院本会議で、共産党の志位和夫委員長が「大企業の内部留保を取り崩して、労働者や中小企業に還元させるべきだ」と質問したのにたいする鳩山首相の答弁が麻生前首相の答弁とそっくりだと報じています。
首相答弁、麻生前首相答弁とそっくり?! : MSN産経ニュース
首相答弁、麻生前首相答弁とそっくり?!
[MSN産経ニュース 2010.2.2 19:35]
2日の衆院代表質問で鳩山由紀夫首相が、昨年1月の衆院本会議での麻生太郎前首相とほぼ同じ答弁をする場面があった。
共産党の志位和夫委員長が「大企業の巨額の内部留保を中小企業に還元させる政策が必要だ」とただしたところ、首相は「内部留保の活用は企業がそれぞれの状況に応じて経営判断を下すものだ。その上で労働者の雇用と生活をしっかり守るように最大限努力することは重要だ」と述べた。
麻生前首相は当時、これとほぼ同じ言い回しをしており、首相は官僚が用意した答弁を棒読みした可能性が濃厚。「政治主導」の看板に偽りあり?
産経新聞としては、民主党政権を揶揄したつもりなんでしょうが、いまの不況から国民の暮らしをどう守るのか、という点で、鳩山政権が自民・公明政権にかわる足場を持っていない、ということが証明されたかっこうです。
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