この右肩上がりのグラフを見てください!! 財務省の法人企業統計で明らかになった企業の経常損益のグラフです。
一昨年のリーマンズ・ショックいらい、とくに製造業で大幅に落ち込んでいましたが、昨年10?12月期には全産業で10兆3763億円の利益。製造業4兆円近い利益をあげて、V字で業績を回復しています。
09年10?12月 設備投資が17%減少 : 東京新聞
法人企業統計:2年半ぶり増益 業績持ち直し傾向鮮明に : 毎日新聞
消費支出、6か月連続プラス…収入はマイナス : 読売新聞
しかし、こうした利益は、売り上げが伸びたためではありません。売り上げは前年比3.1%のマイナス。にもかかわらず、なぜ利益が増えたのか? それはひとえに、一昨年の派遣切り、非正規切りに始まって、正社員まで切り捨てる人件費削減の結果です。
そうして企業が利益を上げる一方で、先日、発表された家計調査(総務省)では、勤労世帯の収入は前年比0.5%のマイナスです。
そもそも、なぜ企業の設備投資が伸びないか、といえば、商品をつくっても売れる見込みがないから。では、なぜ商品の売れる見込みがないか、といえば、消費者が買い控えているから。なぜ消費者が買い控えるか、といえば、所得が減っているから。というわけで、人員削減で、当座、企業は経常利益を伸ばしたかもしれませんが、結局、自分で自分の首を絞めているわけです。
こんなことをやっていれば、企業は自滅、国民もそれにまきこまれて共倒れです。企業はまず、10兆円の経常利益をつかって、勤労国民の雇用と所得をしっかり保障して、そうすれば国民も安心して消費することができるし、景気もよくなるというものです。日本の経済政策の基本を、そういう方向にきりかえることが切実に求められています。
09年10?12月 設備投資が17%減少
[東京新聞 2010年3月4日 夕刊]
財務省が四日発表した昨年10?12月期の法人企業統計によると、金融・保険を除く全産業の設備投資は前年同期比17.3%減の8兆9009億円だった。2年9カ月連続で前年水準を下回った。
製造業では34.5%減の2兆8315億円で、昨年7?9月期(40.7%減)に次ぐ過去2番目の落ち込みを示した。景気の先行きへの不安から、企業が引き続き投資に慎重な姿勢が浮き彫りとなった。
全産業の経常利益は約2倍の10兆3763億円と2年半ぶりに増益に転じたが、人件費など経費削減が主な要因。財務省は「企業は依然厳しい状況に直面している」と分析しており、日本経済は国内需要の低迷から脱却できていないことがうかがえる。
設備投資は前期比(季節調整済み)でも0.9%減。自動車や電機の落ち込みが目立ち、生産の抑制でリース業も減少。情報通信や食品はプラスだった。
全産業の売上高は335兆1782億円で前年水準よりも3.1%減った。コスト削減や政策効果で経常利益は倍増し、自動車や情報通信などの企業業績は持ち直しているものの、建設需要が低迷した鉄鋼や、不動産など減益が続く業種もあった。
調査は資本金1000万円以上の企業が対象で、約2万2000社から回答を得た。
法人企業統計:2年半ぶり増益 業績持ち直し傾向鮮明に
[毎日新聞 2010年3月4日 11時25分(最終更新 3月4日 20時10分)]
財務省が4日発表した09年10?12月期の法人企業統計によると、全産業(金融・保険を除く)の経常利益は前年同期比102.2%増の10兆3763億円だった。前年同期比で増益となるのは07年4?6月期以来、2年半ぶり。リーマン・ショック直後で利益が急減した前年同期の反動増に加え、輸出の持ち直しやコスト削減で、企業業績の持ち直し傾向が鮮明となった。
一方、設備投資は17.3%減と11四半期連続の減少。特に製造業は34.5%減と過去2番目の減少率で、企業は依然、先行きへの慎重な見方を崩していない。法人企業統計は11日公表される09年10?12月期国内総生産(GDP)の2次改定値に反映される。そのため、2月15日のGDP速報で1.0%のプラスに転じた設備投資が再びマイナスとなり、実質成長率(年率換算4.6%)が下方修正される可能性もある。財務省は「企業は依然厳しい状況に直面している」として、現状判断を前期(09年7?9月)から据え置いた。
業種別では、製造業の経常利益が約9.6倍の3兆8360億円と、10四半期ぶりに増加した。前年同期に大幅な赤字だった自動車、電機が、政府の需要喚起策や輸出の持ち直し、コスト削減で黒字に転じたため。非製造業も38.1%増の6兆5403億円と6期ぶりの増益となった。
資本金1000万円以上の企業を対象に調査し、約2万2000社が回答した。【坂井隆之】
消費支出、6か月連続プラス…収入はマイナス
[2010年3月2日11時24分 読売新聞]
総務省が2日発表した1月の家計調査(速報)によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出額は、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比1.7%増の29万1918円となり、6か月連続で前年を上回った。
消費支出の伸びに占める「寄与度」を品目別にみると、エコカー補助金やエコポイント制度などの景気対策の効果で、自動車などの購入に充てる「自動車等関係費」が1.21ポイント、薄型テレビなどの「教養娯楽用耐久財」が0.60ポイントのそれぞれプラスだった。
また、勤労者世帯の現金収入の総額を示す実収入は、実質で前年同月比0.5%減の43万4344円と、6か月連続でマイナスとなった。