アメリカとの「特別な関係」を誇ってきたイギリスで、今後、アメリカとの「特別な関係」という表現を使うべきでないという報告書を、下院外交委員会が発表したというニュース。
アメリカとの「特別な関係」という表現は、第2次世界大戦後にチャーチル元首相が使い始めたそうだが、多極化する世界の実態と合わず、英国に「非現実的な期待」を生む、あるいは国益を損ねかねない場合には「より積極的にノーという必要がある」というのがその理由。
もはや「アメリカ言いなり」は、「特別な関係」にあったイギリスでも流行らなくなった、ということです。
米との外交「特別関係」、英下院委「表現使用やめよ」 : 日経新聞電子版
米との外交「特別関係」、英下院委「表現使用やめよ」
[日経新聞電子版 2010/3/29 11:49]
英下院外交委員会は28日、英外交の基軸である「米英の特別関係」と呼ばれる対米重視路線について、この表現は多極化する世界の実態と合わず、英国に「非現実的な期待」を生むとして、使用は避けるべきだとの報告書を発表した。
報告の背景には、ブレア前政権が米政権に全面協力したイラク戦争で「英政府は米政権にへつらうプードル犬であるとの認識が広がり、英国の国益と名声を深く傷つけた」ことへの反省がある。
報告書はまた、国益を損ねかねない場合、米国に「より積極的にノーと言う必要がある」と指摘した。
報告書は、米国との緊密な連携は継続すべきだと強調。しかし、国際社会で中国やロシア、インドなどが発言力を増し、オバマ米政権が対英関係の比重を相対的に低める姿勢を示していることを受け、英国も対米関係で同様の「現実的な」政策を取るべきだと英政府に求めた。
米英の「特別な関係」との表現は、第2次大戦の終結と冷戦開始を受け、チャーチル元英首相が1946年に使ったのが最初とされる。(ロンドン=共同)