9条「変えない方がよい」が67% 「朝日」世論調査

憲法記念日を前に、各マスコミが世論調査を実施していますが、その中で、朝日新聞は、憲法9条にしぼって「変える方がよいか、変えない方がよいか」を真正面から質問しています。

もちろん、その結果は「変えない方がよい」67%で、「変える方がよい」24%を大きく上回っています。これは、先日の北海道新聞の世論調査の結果とも一致するもので、国民世論の実態を反映した妥当な結果だと思います。

憲法9条「変えない方がよい」67% 朝日新聞世論調査:朝日新聞
憲法世論調査―質問と回答〈4月17、18日実施〉:朝日新聞

憲法全体について「改正する必要があるか」との質問では、「改正する必要がある」が47%で「改正する必要はない」の39%を上回っていますが、それでも「改正必要」派は前年の53%から6ポイント下落して、半数以下となりました。

憲法9条「変えない方がよい」67% 朝日新聞世論調査

[asahi.com 2010年5月2日23時12分]

 憲法について朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)によると、戦争放棄と戦力不保持を定めた憲法9条を「変えない方がよい」は67%で、「変える方がよい」の24%を大きく上回った。「これからの日本の平和や東アジアの安定」に9条が「役立つ」と考える人は70%にのぼり、そうした評価が9条維持の世論につながっている。
 9条をめぐっては、憲法改正を目標に掲げた安倍内閣当時の2007年4月調査で、「変えない方がよい」49%、「変える方がよい」33%だったが、安倍首相の退陣後の08年調査からは「変えない方がよい」が6割台に増える一方、「変える方がよい」は2割台になり、それ以降は大きな変化はない。
 日本の平和や東アジアの安定に9条がどの程度役立つと思うかを聞くと、「大いに役立つ」16%、「ある程度役立つ」54%。否定的な見方は「あまり役立たない」19%、「まったく役立たない」3%と少なかった。「役立つ」という人は若い年代ほど多い。
 「大いに役立つ」と思う人は83%が9条を「変えない方がよい」とし、「ある程度役立つ」の人も75%が「変えない方がよい」を選んだ。
 憲法を全体でみた場合には、改正の「必要がある」は47%、「必要はない」39%で、改正派が上回っている。「必要がある」は07年は58%だったが、毎年少しずつ減り、50%を切った。
 改憲の「必要がある」という人の9条への態度をみると、「変える方がよい」は41%で、「変えない方がよい」が52%と多かった。
 調査は内閣支持率などとあわせ、4月17、18日に実施した。

     ◇

 〈調査方法〉 4月17、18の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した。世帯用と判明した番号は3457件、有効回答は2083人。回答率60%。

憲法世論調査―質問と回答〈4月17、18日実施〉

[asahi.com 2010 年5月2日23時12分]

 (数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は、09年4月18、19日の調査の結果)

◆憲法全体をみて、いまの憲法を改正する必要があると思いますか。必要はないと思いますか。

 改正する必要がある 47(53)
 改正する必要はない 39(33)

◇(「必要がある」と答えた47%の人に)それはどうしてですか。(択一)

 自分たちの手で新しい憲法を作りたいから 10〈5〉
 9条に問題があるから 15〈7〉
 新しい権利や制度を盛り込むべきだから 72〈34〉

◇(「必要はない」と答えた39%の人に)それはどうしてですか。(択一)

 国民に定着し、改正するほどの問題点はないから 43〈17〉
 9条が変えられる恐れがあるから 33〈13〉
 自由と権利の保障に役立っているから 21〈8〉

◆憲法は9条で「戦争を放棄し、戦力を持たない」と定めています。憲法9条を変える方がよいと思いますか。変えない方がよいと思いますか。

 変える方がよい 24(26)
 変えない方がよい 67(64)

◆いまの憲法9条は、これからの日本の平和や東アジアの安定に、どの程度役立つと思いますか。(択一)

 大いに役立つ 16
 ある程度役立つ 54
 あまり役立たない 19
 まったく役立たない 3

◆憲法を全体的にみて、いまの社会や暮らしの中で、憲法がどの程度生かされていると思いますか。(択一)

 大いに生かされている 6
 ある程度生かされている 60
 あまり生かされていない 27
 まったく生かされていない 3

     ◇

 〈調査方法〉 4月17、18の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した。世帯用と判明した番号は3457件、有効回答は2083人。回答率60%。

それにたいして、意味不明なのが「毎日新聞」の世論調査。なにを思ったか、憲法についての意見を問うのではなく、「国民投票法」の施行についてのアンケートを実施。結局、「憲法改正の動きが進むことを期待する」50%にたいして「期待しない」48%という、ほとんど半々という結果がでたにもかかわらず、紙面ではなぜか「『改憲に期待』50%」の見出しが踊っています。

しかし、その前提である国民投票法について、「日経新聞」の世論調査では、「知っている」20%にたいし「知らない」は76%にも達しています。これでは、そもそも国民投票法の施行で「憲法改正の動きが進む」かどうかを問う世論調査が成り立つのかどうかが問われるのではないでしょうか。

憲法記念日:きょう、施行63年 「改憲に期待」50%――毎日新聞世論調査:毎日新聞
改憲支持、横ばい47% 本社世論調査:日本経済新聞

憲法記念日:きょう、施行63年 「改憲に期待」50%――毎日新聞世論調査

[毎日新聞 2010年5月3日 東京朝刊]

 日本国憲法は3日、施行63年を迎えた。5月18日には憲法改正手続きを定めた国民投票法が完全施行される予定で、これまで一度も改正されなかった現憲法にとって、初めて改憲の法的仕組みが整う。毎日新聞が4月17、18日実施した全国世論調査では、同法施行によって憲法改正の動きが進むことに「期待する」との回答が50%、「期待しない」が48%と拮抗(きっこう)。憲法改正には与野党の幅広い協調が必要だが、今夏の参院選へ向け政争が激化しており、憲法論議は盛り上がっていない。(2面に各党談話、10、11面に特集、社会面に関連記事)
 国民投票法が成立したのは07年5月。「改憲」を掲げた安倍晋三首相(当時)のもと、自民、公明両党が採決を強行した結果、皮肉にも法成立を境に与野党間の憲法論議はストップした。準備期間として設けられた施行までの3年間だったが、一部施行(07年8月)で設置された衆参両院の憲法審査会は開かれることなく、同法に盛り込まれた選挙権年齢の18歳以上への引き下げは実現していない。
 政権交代が行われて以降、初めて迎えた憲法記念日でもある。鳩山政権は情報公開法の改正に着手するなど「知る権利」をめぐる新たな取り組みが注目されている。ただ、「政治主導」の政策決定の場となった政務三役会議の議事録がまともに作成されていなかったり、審議会や有識者会議の公開も自公政権より進んだとは言い難い。内閣支持率の低落に苦しむ民主党だが、情報公開の面でも政権交代の真価が問われている。

改憲支持、横ばい47% 本社世論調査

[日経新聞 2010/5/2 22:00]

 日本国憲法は3日、施行から63年を迎える。憲法改正手続きを定めた国民投票法は18日に施行される。日本経済新聞社が実施した世論調査によると、現憲法を「改正すべきだ」との回答が47%で「現在のままでよい」の40%を上回った。1年前の調査と比べて改憲支持は変わらなかったが、護憲支持が2ポイント増え、その差は縮まった。国民投票法の18日施行を聞いたところ、「知らない」は76%に達し、「知っている」は20%にとどまった
 民主党は昨年の衆院選マニフェスト(政権公約)で憲法改正への取り組みを強調した。さらに2007年に成立した国民投票法の18日施行により、形式上は憲法改正に向けた発議が可能になる。
 しかし、同法成立に伴って新設された憲法審査会は衆参両院とも一度も開かれていない。昨年9月の鳩山政権誕生後も国会での憲法論議は停滞が続いており、そうした実情が今回の調査結果にも反映したとみられる。
 世論調査によると、改憲を支持する理由は「時代に沿った考え方を盛り込む必要がある」が前回調査より2ポイント減の60%で最多。「改革を進めやすいように国の仕組みを変える必要がある」(15%)、「現実とかけ離れた条文が目立つ」(11%)が続いた。
 「現在のままでよい」と考える理由は「よほどのことがない限り、憲法は改正すべきではない」(29%)が最も多かった。次いで「憲法改正をきっかけに平和主義が変質する恐れがある」(28%)、「ほかに取り組むべき課題がある」(23%)の順だった。
 調査は日経リサーチが4月23?25日、全国の成人男女を対象に乱数番号(RDD)方式により電話で実施。有権者のいる1477世帯に調査を依頼し、914件の回答を得た。回答率は61.9%だった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください