小雨の降る中、サントリーホールへ。読響の5月定期演奏会は、ロシアのユーリ・テミルカーノフの指揮で、ショスタコーヴィチの交響曲第7番。
演奏はややスローなテンポで始まり、透明感の高い読響の弦をたっぷりとふくらませて、それがホールいっぱいに充溢してゆくといった印象。これはなんだかすごい演奏になりそうな予感を生み、思わず姿勢を正してしまったほど。そして、あの「戦争の主題」。ピチカートと小太鼓の刻む音が、非常にかすかに、しかし確実に聞こえ始め、緊張が高まってゆきます。
ショスタコーヴィチというと、とかく角の立った演奏を思い浮かべがち(僕の思い込み?)ですが、テミルカーノフの指揮は、弦の音を柔らかく響かせながら、ピアニシモからフォルテシモまで音量のダイナミックな変化が曲のイメージを的確に構築していく、という印象。最終楽章は、テンポがいっそうスローに感じられましたが、ラストに向かってエネルギーをため込みながら徐々に盛り上がっていって、最後はもう完全に圧倒されてしまいました。
終わった瞬間、なんだかぐっとこみ上げてくるものが…。ところがテミルカーノフは、3回のカーテンコールで、あっさりとオーケストラのメンバーをはけさせてしまいました。これじゃ、この感動のもって行き場がない…!! と思ったのは、僕だけではなかったようです。オケがはけた後も拍手が続き、テミルカーノフ氏もふたたびステージに登場。こういうのって、観客が拍手で強制しているみたいで嫌う人もいますが、今回はほんとに自然な感じでした。
もともと独軍に侵攻・包囲されたレニングラードで書かれた作品ですが、ヒトラーの侵略とのたたかいということにとどまらない、人間性を押しつぶすあらゆるものにたいする抵抗という、もっと奥深いショスタコーヴィチの思いを感じました。
ということで、あちこちのブログでも絶賛されております。
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ショスタコーヴィチ交響曲第7番 – Enoの音楽日記
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【演奏会情報】 読売日響第493回定期演奏会
指揮:ユーリ・テミルカーノフ/コンサートマスター:藤原浜雄/会場:サントリーホール/開演:2010年5月11日 午後7時