先週の、サントリー定期でのショスタコーヴィチ交響曲第7番があまりに感動的だったので、昨日は、ふたたびテミルカーノフの振る読響の演奏会を聴きに、池袋へ。
- プロコフィエフ:交響曲第5番 変ロ長調 op.100
- エルガー:創作主題による変奏曲 エニグマ op.36
前半プロコフィエフが約45分、後半エニグマが約30分という、ちょっと変則的なプログラム。プロコフィエフの交響曲は、ラザレフ×日フィルがチクルスに取り組んでいますが、正直言って、まだよく分かりません。しかし、この日の5番は、先日の「レニングラード」と同じように、音をppからffまで自由自在に操って、決して爆裂させないけれども、情感がたっぷりと込められた演奏で、初めて「ああ、プロコフィエフの5番って、こんな曲なんだ」と思って聴くことができました。
ただ読響の弦には、やや硬さと、いま一つ全体が一つにしっくりと融合しないもどかしさが感じられました。それは、とくに後半の「エニグマ」で気になってしまいましたが、しかし、それは贅沢な悩みというべきでしょう。「エニグマ」にしても、何度かコンサートで聴く機会があったものの、これまでは、ほんとに「なに、これ?」という感じだったのが、オーケストラの音色の多様な表現を味わいつくすような、この作品の魅力に触れたような気分になりました。
それにしても、この日の芸術劇場は、大目に見ても約7割の入り。3階席などは、1割か2割の席しか埋まっておらず、「座席は指定席ですので、勝手に移らないでください」という係員の声を尻目に、みんなぞろぞろと移動するほど ((ただし、東京芸術劇場は3階席は音もよく上がってくるし、ホール全体の反射音が適度に混じり合って音が豊かに聞こえるので、なまじ1階の中途半端な席などよりもよほどよく聞こえるから、席を移った方が得とは限らない。))。プログラムが渋すぎるのか、テミルカーノフの名前が知られていないのか、分かりませんが、滅多に聞けない名指揮に、勿体ない限りです。
というわけで、会場でついついテミルカーノフ指揮、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団のCD「プロコフィエフ:交響曲第5番&平和の祈り」を買ってしまいました。(^_^;)
【演奏会情報】 読売日本交響楽団第172回東京芸術劇場名曲シリーズ
指揮:ユーリ・テミルカーノフ/コンサートマスター:藤原浜雄/会場:東京芸術劇場大ホール/開演:2010年5月21日 午後7時