米政府、「国家安全保障戦略」を発表

オバマ政権が、初めての「国家安全保障戦略」を発表。

問題は日米関係。「日韓との同盟はアジア安保の基盤」「両国での持続可能な駐留基盤を確立する」などと書かれているらしい。しかし詳しい内容が分からないので、とりあえず関連事を貼り付けておこう。

米国家安全保障戦略:米国の指導力 再定義することに主眼:毎日新聞
「国際協調」を重視、オバマ政権の新安保戦略:読売新聞
「オバマ・ドクトリン」発表 「先制攻撃」排除、北とイランには圧力も:MSN産経ニュース
米国家安全保障戦略のポイント:日本経済新聞
在日・在韓米軍の安定駐留確保=再編計画を着実に履行?米安保戦略:時事通信

米国家安全保障戦略:米国の指導力 再定義することに主眼

[毎日新聞 2010年5月28日 20時07分(最終更新 5月28日 20時15分)]

 【ワシントン古本陽荘】オバマ米政権になって初めて発表された「国家安全保障戦略」は、財政赤字や教育、移民政策まで含めた包括的な戦略文書となった。中国やインドの台頭を受け、相対的に国際的な影響力が低下しているとみられる米国が、国際競争力をいかに高めるか道筋を示すとともに、国際社会における米国の指導力を再定義することに主眼が置かれた。
 これまでの政権の国家安全保障戦略は、軍事も含めた対外政策を中心とした伝統的な安全保障政策の方向性を示す報告書だった。
 新戦略では、「軍事的な優位性は維持しているものの、過去数年、米国の競争力は後退している」と危機感を露呈。国際的な影響力を保持するためにも、国力増強が必要で、その中心は「米国の力の源泉」である経済力と指摘した。具体的には、財政赤字の削減、教育や科学分野への投資、医療保険負担の軽減に取り組む姿勢を強調した。
 一方、国際社会の安定のため米国が果たすべき指導力のあり方としては、「軍事力を使い過ぎれば、米国民に過重な負担が及び、米国の指導力は軍事力と受け止められる」と強調。外交や開発支援などを国防政策と統合させ、柔軟な力の行使を目指す姿勢を示した。
 核不拡散に関するイラン・北朝鮮に対する強い警戒姿勢、国際テロ組織アルカイダを米国に対する最大の脅威ととらえる点など政策を継続している点もある。

「国際協調」を重視、オバマ政権の新安保戦略

[2010年5月28日01時33分 読売新聞]

 【ワシントン=黒瀬悦成】オバマ米政権は27日、米国の軍事・外交政策の指針を定めた文書「国家安全保障戦略」を、政権として初めて発表した。
 同戦略は、「国際協調」を重視する立場から武力行使を最後の手段と位置づけ、ブッシュ前政権が、テロ組織やならず者国家に対する「先制攻撃」を辞さないと記した2002年の米安保戦略から大きく転換した。
 「最も深刻な脅威」としては、核兵器など大量破壊兵器の拡散を挙げ、その阻止に向けた国際的連携を進める立場を表明した。
 特に、北朝鮮とイランの核問題を巡っては、「朝鮮半島の非核化とイランの核兵器開発阻止」に向けた関与政策を進めつつも、核放棄に応じなかった場合は、「両国をさらに孤立化させるための多角的措置を講じ、国際的な不拡散の規範に従わせる」と表明した。
 また、日本、韓国との同盟について、「重要性が増している」と指摘した上で、「米国との対等な協力関係に立ち、(日韓両国で)持続可能な米軍駐留基盤を確保する」とした。台頭する中国に対しては、「軍事近代化を監視し、適切に準備する」とした。

「オバマ・ドクトリン」発表 「先制攻撃」排除、北とイランには圧力も

[MSN産経ニュース 2010.5.28 21:46]

 【ワシントン=佐々木類】米政府は27日、オバマ政権発足後、初めての「国家安全保障戦略」を発表した。「武力行使の前に他の手段を尽くす」とし、ブッシュ前政権が国家安全保障戦略で打ち出した「先制攻撃」を排除し、「ブッシュ・ドクトリン」との違いを明確にした。また、国際協調を進め、国際社会における米国の指導的立場の確立を目指すとした。
 新たな戦略は、ブッシュ前政権時代の「一国主義」を放棄することを宣言。従来の同盟国に加え、中国やインドなど国際社会で影響力を増す新興国を取り込み、「新たなパートナーシップの構築」を訴えている。
 米国は朝鮮半島の非核化とイランの核兵器開発阻止を追求するとし、両国に核兵器を放棄すれば、「政治経済面で国際社会と統合の道を歩むことができる」と方針転換を促した。
 一方で、核兵器の放棄に応じないなど、国際的な規範に抵抗する姿勢を続ければ、「孤立を深めるため複合的な手段を進める」とも明記し、その場合には外交努力だけでなく、軍事力を背景とした圧力も加えていく姿勢を示した。
 日韓両国との同盟関係では、「米国との対等な関係を原則に、米軍駐留の持続可能な基盤を確保する」と強調。新たな安全保障課題に対応させるため深化、発展させ、在日米軍再編などを着実に推進する方針を表明した。
 また、「軍事的優位性は国防の基礎」とし、米国が単独で重荷を担えば「米国の強さが失われる」と国際協調の必要性を指摘。国際的なテロ組織などの「非対称の脅威」に対抗するため、通常戦力の優位性を維持することも強調した。
 今回のオバマ・ドクトリンは、軍事力に依存したブッシュ前政権時代の「一国主義」を放棄し、国際協調主義へ舵を切る大きな方針転換を示した。しかし、核開発を進める北朝鮮とイランへの軍事力を背景とした圧力も排除しておらず、理念としての戦略を、具体的な対処方針にどう反映させていくかが課題だ。

米国家安全保障戦略のポイント

[日本経済新聞 2010/5/28 1:30]

  • 我々の国家安全保障戦略は米国のリーダーシップ再生が中心となる。米国の力の源泉である経済の再生が中核。
  • 中国、インド、ロシア、ブラジル、南アフリカ、インドネシアなどとの関係を強化。
  • 20カ国・地域(G20)首脳会議を国際的経済協力の最高レベルの協議の場として重視。
  • 「非対称の脅威」に対抗する能力を強化しつつ、通常戦力の優位性を維持する。
  • 武力行使の前に他の手段を尽くす。
  • 北朝鮮やイランが核放棄に応じなければ、孤立を深めさせ、国際的な不拡散の規範を順守させるため多角的手段を取る。
  • G20を通して国際通貨基金(IMF)、世界銀行の改革を目指す。
  • 日本、韓国などとの同盟はアジア安保の基盤で、地域繁栄の基盤だ。日韓は地域・世界の問題に対処する上でますます重要なリーダーとなっている。両国での持続可能な駐留基盤を確立し、安保関係を近代化する。
  • 中国との建設的かつ包括的な関係を追求。中国が責任ある指導的役割を果たすことを歓迎。中国の軍事近代化計画を注視する。(ワシントン支局)

在日・在韓米軍の安定駐留確保=再編計画を着実に履行?米安保戦略

[時事通信 2010/05/28-00:29]

 【ワシントン時事】オバマ米政権が27日発表した国家安全保障戦略は、日韓両国との同盟関係を深化・発展させるとともに、「地球規模の安全保障上の課題に取り組むため、対等な関係を原則に、両国での米軍駐留の持続可能な基盤を確保する」と表明した。具体的には触れなかったものの、沖縄県の米軍普天間飛行場移設を含む在日米軍再編計画を着実に履行していく方針を示したものだ。
 同戦略は日韓両国について「地域的または地球規模の問題を解決したり、われわれが価値を共有する民主主義を促進したりする上で、ますます重要な指導国になっている」と指摘。その上で、オーストラリアなどを加えたアジア・太平洋地域の同盟国と、地域の安定のほか、大量破壊兵器拡散やテロ、サイバー攻撃への対処などに関して連携していくと明記した。

あと、核戦略はどうなっているんだろう?

これが「国家安全保障戦略」の原文↓。PDFファイルで約1.5MB。

National Security Strategy, 2010

米政府、「国家安全保障戦略」を発表」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 村野瀬玲奈の秘書課広報室

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください