自民党が勝てば消費税10%、民主党が勝てば消費税10%って、オイッ!!

自民党が選挙公約で、消費税「当面10%」の公約を掲げると、民主党・菅直人首相は、民主党のマニフェスト発表記者会見で、自民党の消費税10%が「1つの参考になる」と発言。

ということは、自民党が勝てば消費税10%、民主党が勝っても消費税10%ということで、消費税増税が一大争点に……なってないじゃないか!! (と、いちおうノリツッコミしてみる)

自民が参院選公約、消費税10%に引き上げ:読売新聞
消費税、今年度中に改革案=「10%が一つの参考」?首相:時事通信

なんで、こんなことになるのか? ずばり、その背景に「財界あり」なのだ。

日本経団連が、今年4月13日に発表した「豊かで活力ある国民生活をめざして」と題する「経団連成長戦略2010」。

日本経団連:豊かで活力ある国民生活を目指して ?経団連 成長戦略 2010? (2010-04-13)

この中で、日本経団連は、「2011年度から速やかかつ段階的に(たとえば、毎年2%ずつ引き上げ)、消費税率を少なくとも10%まで引き上げていくべきである」(同119ページ)と、消費税の税率引き上げを要求している。10%という税率まで同じ。財界の要求に付き従うから、自民党も民主党も、消費税10%を公約する異常事態になっているのだ。

「社会保障が充実するなら、消費税10%もやむを得ない」などと納得したら、大変なことになる。日本経団連の要求は、「消費税率を一刻も早く引上げ、所得税の基幹税としての機能を回復し、法人税への過度な依存を改め」るというもの。

まず、消費税の引き上げでは、「一刻も早く」10%に引き上げるだけでなく、「2020年代半ばまでに消費税率を欧州諸国なみの10%台後半ないしはそれ以上へ引き上げ」ていく、というもの。

2つめの「所得税の帰還税としての機能」回復では、配偶者控除の見直し、公的年金等控除の廃止を含めた縮減など、控除を減らして課税強化をねらう一方で、最高税率の見直しについては「財源確保の効果にも乏しい」「慎重に検討すべき」と、事実上拒絶している。

3つめの法人税率の引き下げは、この提言では%は明記されていないが、たとえば昨年9月に発表された「平成22年度税制改正に関する提言」では「わが国も30%を目途に法人実効税率の引下げを行うべきである」と、10%の引き下げを要求している。

法人税は引き下げよ、所得税の最高税率は上げるな、消費税は上げろ、所得税控除は減らせ――これが財界の要求だ。

自民が参院選公約、消費税10%に引き上げ

[2010年6月17日20時47分 読売新聞]

 自民党の谷垣総裁は17日、党本部で記者会見し、「参院選公約J―ファイル2010(マニフェスト)」を発表した。
 消費税について、社会保障給付と少子化対策の財源に全額を充てることを目的に、税率を「当面10%」に引き上げると明記し、同党の選挙公約で初めて具体的税率を明示した。「恒久政策には恒久財源」の原則で財政規律重視を訴え、民主党との差別化を図った。
 消費税率の引き上げ時期は「政権復帰時点で決定」とし、検討に際し、超党派の円卓会議設置を提唱した。
 公約は、早期のデフレ脱却と景気回復に向け、「3年間であらゆる政策を総動員し、名目4%成長を目指す」とした。国際競争力強化のため、現行約40%の法人税実効税率を20%台に引き下げることも掲げた。
 一方で、民主党の看板政策である子ども手当については、「財源の裏付けもなく、政策目的や効果も不明のため全面的に見直す」と明記した。高速道路料金も、受益者負担の原則を堅持し、無料化しないとした。
 谷垣氏は民主党の参院選公約との違いについて、「筋が通っているか、付け焼き刃かが、根本的違いだ」と述べた。

消費税、今年度中に改革案=「10%が一つの参考」?首相

[2010/06/17-21:05]

 菅直人首相は17日夕、都内で記者会見し、民主党の参院選マニフェスト(政権公約)で触れた消費税について「2010年度内に、あるべき税率や(低所得者ほど負担感が増す)逆進性対策を含む改革案の取りまとめを目指していきたい」と表明した。税率に関しては、自民党が参院選公約で提案した10%への引き上げを「一つの参考としたい」と語った
 国政選挙を前に首相が消費税率の引き上げに積極姿勢を示すのは異例。財源対策が常に批判を浴びてきた民主党の公約を、現実路線に修正したことをアピールする狙いがある。自民党の税率案に理解を示すことで、同党との対立軸をなくす意図もありそうだ。
 また、首相は超党派の協議で合意を得て、税制改革関連法案の提出を目指す考えを示したが、超党派での意見集約が困難な場合は「民主党が中心になって取りまとめる」と決意を示した。
 この後、玄葉光一郎政調会長が会見し、年度内に政府・民主党で消費税の見直し案をまとめ、仮に超党派で合意すれば、実施時期は「最速で12年秋」との見通しを語った。参院選後は党内に財政健全化の作業チームを発足させ、同チームを中心に改革案をまとめ、各党に協議を呼び掛ける意向を示した。

民主党政権は、菅新政権に交代する前から、すでに法人税引き下げをめざしている。6月3日に発表された経済産業省の「産業構造ビジョン」では、法人税率は「国際的水準(25?30%)を目指」し、「5%程度の法人税率引下げを先行的に実施すべき」と明記。さっそく、日本経団連からのお褒めに預かっている。

経団連:法人税率引き下げ求める 米倉会長、経産相に:毎日新聞

経団連:法人税率引き下げ求める 米倉会長、経産相に

[毎日新聞 2010年6月16日 19時33分(最終更新 6月16日 19時47分)]

 日本経団連の米倉弘昌会長は16日、直嶋正行経済産業相と東京・大手町の経団連会館で会談し、企業の競争力強化のため法人税率を引き下げるよう求めた。
 経団連側は、経産省がまとめた「産業構造ビジョン」に法人税の実効税率引き下げなどが盛り込まれた点を歓迎する一方、研究開発税制の維持拡充や規制改革の推進も要望。米倉会長は「費用対効果を見極めながら政策に優先順位をつけて実行してほしい」と訴えた。
 直嶋経産相は「政策の実行が何より大事。産業界と同じ意識を共有していく」と応じ、年末の11年度税制改正論議で法人税減税などを実現したいとの考えを示した。経団連会長と経産相の政策対話は、鳩山前政権発足直後の昨年10月以来で、5月の米倉会長就任以降は初めて。【米川直己】

民主党・玄葉光一郎政調会長によれば、消費税増税は「最速で12年秋」からという。これは実施時期だから、今度の参院選後に「超党派」の消費税増税協議が始まれば、来年には増税法案を可決するつもりなのだ。

いよいよもって、今度の参院選で、消費税増税にどういう民意を示すか。それがきわめて重要になってきている。

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