今日は、上野で二期会オペラ「ファウストの劫罰」(ベルリオーズ)を見てきました。
残念ながら、ソリストはまだまだ。ファウスト役の樋口達哉氏もメフィストフェレス役の泉良平氏も、なんだか喉を絞るような声でちょっと聞きづらい感じでした。メフィストフェレスは、前半では音程まで怪しい(後半にはぐっとよくなって、かえってファウストが見劣りしたぐらいでしたが)。やっぱりBキャストだから? などとくだらないことまで考え始めて、東フィルの演奏までごちゃごちゃしたように聞こえてしまいました。
もともと長大なゲーテのファウストから4つの場面を抜き出したというのが正直なところ。だから、オペラだけでは筋がつながらず、そのあたりの消化不良もあったのかもしれません。ファウストに共感するのか、それともメフィストフェレスに軸足を置くかによってもずいぶんと見方が変わるかもしれませんが、僕自身はそこらあたりがはっきりせず、結局、あまりストーリーには入り込めないまま終わってしまったという感じです。
しかし、そのソリストたちのバックで踊っていたダンサーのみなさんの踊りが非常によかったです。いわゆるコンテンポラリー・ダンスという分野になるのでしょうか。なるほど、ベルリオーズの譜面の音符たちが踊りだしたら、こんなふうになるだろうという感じで、見ていて面白かったです。
演出も、文化会館のステージの「高さ」を生かした非常に立体的・空間的な演出で変化が楽しめました。
終わってみればカーテンコールは2回だけ。ブラボーの声も高かったけど、引くのも速かったという感じ。それに空席が少々目立った。まあ、そのあたりがだいたいの評価というところでしょう。
【関連ブログ】
東条碩夫のコンサート日記 7・18(日)東京二期会 ベルリオーズ:「ファウストの劫罰」4日目
クラシカル・ウォッチ: 二期会公演「ファウストの劫罰」
東京二期会によるベルリオーズ『ファウストの劫罰』のこと: 樋口裕一の筆不精作家のブログ
【演奏会情報】 東京二期会オペラ劇場/ベルリオーズ:ファウストの劫罰
指揮:ミシェル・プラッソン/演出・振付:大島早紀子/ファウスト:樋口達哉/マルグリート:林正子/メフィストフェレス:泉良平/ブランデル:北川辰彦/ダンサー:白河直子、木戸紫乃、斉木香里、泉水利枝、池成愛、野村真弓/合唱団:二期会合唱団/児童合唱:NHK東京児童合唱団/管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団