見てきました ブリューゲル版画の世界

ブルーゲル版画の世界(Bunkamuraミュージアム)

渋谷Bunkamuraミュージアムで、「ブリューゲル 版画の世界」を見てきました。

ブリューゲルは16世ネーデルランドの画家。同時に、「聖アントニウスの誘惑」に代表されるような奇妙奇天烈、奇々怪々な版画でも有名です。今回は、そのブリューゲルの現存する版画全作品を、同時代の作品とともに展示するというので、見逃す手はないと出かけてきました。

ブリューゲル版画の世界 ベルギー王立図書館所蔵 | Bunkamura ザ・ミュージアム

ピーテル・ブリューゲル「聖アントニウスの誘惑」(ベルギー王立図書館所蔵)

で、美術展を見てわかったことは、ブリューゲルというのは、決して「聖アントニウスの誘惑」のような奇妙奇天烈な世界ばかりを描いていたわけではない、ということ。

たとえば、これ↓。

ブリューゲル「エマオへの道」(ベルギー王立図書館蔵)

画題は聖書にちなむものだけれど、描かれているのはおそらく当時の田園風景。手前に丘などを配置して、パノラマの風景を描く構図のうまさもそうですが、描かれている風景や、その風景の中に溶け込んでいる人々の姿がおもしろい。

美術展を見て、もう1つわかったことは、ブリューゲルの版画といっても、ブリューゲル自身が版画を作ったわけではないということ。ブリューゲルが描いたのは版画の下絵で、これを独自の製版家が版画に仕上げていました。そういう意味で言えば、ブリューゲルの絵もすごいけれど、それを見事に再現した版画屋もたいしたものです。(^_^;)

たとえば、これ↓は、1559年の「正義」というタイトルの版画の下絵。

ブリューゲル「正義」下絵(ベルギー王立図書館蔵)

で、これが版画になったのがこちら↓。

ブリューゲル「正義」(ベルギー王立図書館蔵)

当然のことながら、下絵と版画では、左右が反転しています。また、版画(エングレーヴィング)独特のタッチというものがありますが、しかし、ブリューゲルの下絵もかなり細部にまで書き込まれているのに感心しました。

それからブリューゲルの作品に共通して言えるのは、描かれている子どもがかわいくないこと。なんで? と思うぐらい、かわいくありません。体は子どもサイズでも、顔はオヤジみたいな、憎たらしいというより不気味な姿で描かれています。やっぱり、「子供の誕生」以前だからなんでしょうかねぇ。

それにしても、全部見て回るのに2時間半ほどかかってしまいました。作品が小さいのに、細部にまでいろいろと描き込まれているので、ついついじっくり見入ってしまうということもありますが、ともかく混雑していました。お盆休みだからでしょうか? 疲れました。(^_^;)

Bunkamuraザ・ミュージアムでは8月29日まで。そのあとは、新潟、京都を回るようです。

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