あともう1冊、いま読んでいる本を忘れていました。赤嶺守氏の『琉球王国』(講談社選書メチエ)です。
沖縄の歴史というと、第二次世界大戦末期の沖縄戦の話や、戦後の米軍基地問題を取り上げたものはいろいろありますが、それ以前の沖縄の歴史となると、なかなか手軽に読める本がありません。そういうなかで、本書は、11〜12世紀に始まる「グスク時代」から説き起こして、琉球処分にいたるまでの琉球王国の歴史を通史的に描いた貴重な一冊です。
とくに琉球王国が東アジア貿易で栄えるきっかけが、明が倭寇対策のために、冊封関係にある他の国と違って琉球王国を優遇したことだったなど、非常に勉強になりました。
中国がいまも持っている、かつて宗属関係にあった国にたいする優越意識については、もう少しいろいろと考えなければならないのではないかと思うのですが、それにしても、中国側の史料によって、沖縄の歴史がこのように豊かに明らかにされてきた、というのはちょっと新鮮でした。
【書誌情報】
著者:赤嶺守(あかみね・まもる、琉球大学教授)/書名:琉球王国/出版社:講談社(講談社選書メチエ297)/発行:2004年4月/定価:本体1,500円+税/ISBN4-06-258297-X