マルクスの市場価値論

高橋勉『市場と恐慌』(法律文化社)

高橋勉『市場と恐慌』(法律文化社、2009年)を読み始めた。『季刊・経済理論』第47巻第3号(2010年10月、桜井書店)では、長島誠一氏が詳しい書評を書かれているが、なかなかの理論作品であることは間違いない。

まだ第1部「市場メカニズムに関する基礎的考察」の第2章までしか読んでいない。第1章で、投下労働を基準とした均衡が成り立っている場合には使用価値での部門間均衡が成り立つが、投下資本を基準とした均衡、投下自己資本を基準とした均衡では、均衡水準が動くので、使用価値での部門間均衡が崩れることが明らかにされている。投下自己資本を基準とした均衡というのが新しい議論なのだが、まだよく分からないところもある。いずれにせよ、生産価格が成り立つようになると、使用価値での部門間均衡が崩れ、そのことが資本主義の不均衡の一番根底にある不均衡ではないかという議論は、よく分かる。

しかし第2章でマルクスの市場価値論について著者が論じたもののを読んでいると、いろいろと疑問になるところが出てきた。それで、あらためて『資本論』を読み返してみた。自分でもまだも整理できていないが、とりあえずのメモとして、気づいたことなどを書いておく。

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