今日の「読売新聞」夕刊のトップを飾っていた、ちょっとショッキングな記事。
アスペルガー、高次機能障害、多動性障害、学習障害、等々。かつては「問題児」で片づけられていたものが実は発達障害だったことが分かってきたことで、特別支援学校の児童・生徒数が増えているにもかかわらず、学校施設が追いつかないのが原因。それにしても、廊下を仕切って教室に使っているというのはあんまり。
どの子にも、それぞれの能力と条件にあった最良の教育を提供するのは政治の責任なのだから。
特別支援学校、教室不足が深刻に
[2010年10月19日 読売新聞]
更衣室、廊下、職員室まで転用…2008年文科省調査
障害児が学ぶ全国の特別支援学校で、深刻な教室不足が起きている。倉庫を教室に転用したり、1教室をカーテンで二つに仕切ったり。発達障害などで入学してくる子どもが増え続けているためとみられる。
政府内では障害児教育のあり方を巡る議論が進められているのに、障害児の教育環境は悪化するばかりだ。発達障害児の入学増背景に
知的障害の小中学生が通う東京都立小金井特別支援学校の校舎は、鉄筋コンクリート造り2階建て。一般教室はもともと18室だった。ところが、児童生徒数が10年前の1.5倍の約150人に膨らんだ結果、家庭科室などの特別教室、更衣室や印刷室、廊下の一部まで一般教室に転用。特別教室をカーテンやロッカーで仕切って2クラスで使い、何とか35教室を作り出している状態だ。
福島市にある福島県立大笹生養護学校では、職員室も教室に転用した結果、教師は廊下に机を置いている。
国の学級編成基準では「小中学部6人、高等部8人まで」とされるが、熊本県合志市の県立菊池養護学校では、教室不足のため、10人、11人学級を編成している。
少子化で子どもの数は減っているのに、特別支援学校の児童生徒数は急増し、文部科学省のまとめでは、昨年の公立特別支援学校の在籍者は約11万3000人。10年間で約2万8000人増えた。2008年の調査では、全国の公立966校の2万9008学級に対し、教室不足数は2797。1割の学級が、臨時の「教室」を使っていた。
文科省は昨年度、約2600億円の補正予算を組み、自治体の教室増設を促した。しかし、児童生徒の増加に追いつけず、間仕切りで教室の出入り口が1か所になり、自治体が建築基準条例に定める「二方向避難」を守れない教室も散見される。
特別支援学校の児童生徒が急増するのは、本来、一般の小中学校に入ることになっている発達障害の子どもが、支援学校に入学してきているためとみられる。
茨城大学の荒川智教授(障害児教育)は、「一般の学校には障害児教育の経験、知識が十分な教師が少なく、場所を失った子どもが、特別支援学校にきている。教室増設も急務だが、小中学校の体制も見直す必要がある」と指摘している。◇ ◇ ◇ ◇ ◇
特別支援学校 従来の養護学校(知的障害、肢体不自由等)、盲学校、ろう学校が、2007年4月の学校教育法改正により、「特別支援学校」として制度上、一本化された。地域の幼稚園、小・中学校、高校の障害児教育に助言し、支援する役割も担う。学校名が旧区分のままのケースもある。
発達障害 脳の機能障害で、対人関係やコミュニケーション、社会生活に困難を抱える。知的障害を伴うケースと、そうでないケースがある。自閉症、アスペルガー症候群などの広汎性発達障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害などが含まれる。