民主党の企業献金再開 実は財界からの働きかけ

民主党が、小沢前幹事長の違法献金疑惑をうけて「自粛」を決めていた企業献金を再開することに決めたそうな。

とっとと公約を取り下げる民主党も見下げたものだが、朝日新聞によれば、実はこの方針変更の背景には財界からの働きかけがあったという。つまり、財界としては、政権党である民主党になんとかヒモをつけたい訳だ。そこで民主党も、堂々といただきましょうということになったのだろう。

民主党:企業献金の受け入れ一部再開へ:毎日新聞
民主、企業・団体献金を受領へ 自粛から一転、再開:朝日新聞
民主の献金解除を歓迎=経団連会長:時事通信

民主党:企業献金の受け入れ一部再開へ

[毎日新聞 2010年10月26日 21時32分(最終更新 10月26日 23時17分)]

 民主党は26日、今年に入って中断していた企業・団体献金の受け入れを一部再開することを決めた。小沢一郎元代表が幹事長時代の今年1月以降、受け入れを自粛していたが、岡田克也幹事長を中心に、政党交付金への過度の依存は好ましくないと判断した。同党は09年衆院選のマニフェスト(政権公約)で「企業・団体献金の全面禁止」を掲げており、公約との整合性を巡って、野党側が厳しく追及するのは必至だ。
 岡田氏は26日の常任幹事会で、献金の受け入れ再開を説明し、了承された。出席者から異論は出なかったという。受け入れを再開するのは、国や地方自治体との公共事業の受注契約額が1件1億円未満で、特に問題がないと認められる企業・団体に限定する。
 民主党は衆院選マニフェストで「当面の措置」として、国や地方自治体と1件1億円以上の受注契約がある企業などによる献金・パーティー券購入の当面禁止を公約。今年1月以降、企業・団体献金の受け入れ禁止を同1億円未満を含めたすべての企業に広げていた。
 民主党の枝野幸男幹事長代理は26日、記者団に対し「企業・団体献金全廃に向け、個人献金を促進するための税制改正議論が党内で始まっている。個人献金に転換していく議論を加速させたい」と述べ、受け入れ再開は「暫定措置」との認識を示した。ただ、小沢氏や鳩山由紀夫前首相の「政治とカネ」問題を抱える中での献金再開で、野党側の批判に拍車がかかりそうだ。
 政治資金収支報告書によると、民主党は企業・団体から08年に約1億1900万円、07年に約8500万円の寄付を受け取っている。

民主、企業・団体献金を受領へ 自粛から一転、再開

[asahi.com 2010年10月26日21時15分]

 民主党は26日、昨年9月の政権交代以降、自粛していた企業・団体献金の受け入れを再開することを決めた。2009年の衆院選マニフェストで掲げた企業・団体献金を全面禁止する政治資金規正法の改正にめどが立たず、暫定措置として再開に踏み切る。
 岡田克也幹事長が26日午後の党常任幹事会に提案。党の収入が政党助成金に頼っていることを念頭に「過度の国費依存でいいのか」と説明、了承された。民主党はマニフェストで3年後の企業・団体献金の全面禁止を掲げ、改正までの「当面の措置」として公共事業の受注額が年間1億円以上の企業・団体からの献金を受けないことにしており、再開の対象は1億円未満の企業・団体に限る
 企業・団体献金の受け入れを凍結したのは、小沢一郎元代表が政権交代後に幹事長に就いてから。小沢氏には、自らの資金管理団体をめぐる事件に対する批判をかわす狙いもあった。
 ところが、政権交代後も個人献金は伸び悩み、民主党の収入のほとんどを政党助成金が占める実態は変わらなかった。今年6月に小沢氏が幹事長を退いたことをきっかけに後任の枝野幸男氏が「税金で運営されている政党」との批判をかわすため、企業・団体献金の受け入れ再開について検討を始めていた。
 9月に幹事長に就任した岡田氏も「企業・団体が政治の面で資金を出すことは、一定の範囲で認められる」との立場だった。経済界からも早期の献金受け入れを促され、再開を決断した
 ただ、菅直人首相は25日の参院予算委員会で、公明党の草川昭三氏に対し、企業・団体献金の禁止や罰則強化を含めた政治資金規正法改正への協力を要請したばかり。民主党内からも「タイミングが悪すぎる」との批判があがっている。
 日本経団連の米倉弘昌会長は26日、富山市内での記者会見で「企業は社会的な一員であるから、日本をよくするための企業献金は必要なこと」としたうえで「民主党が企業献金も受けるのであれば、喜んでルールに沿ってやっていくというのは、やぶさかではない」と述べ、各企業の判断で対応すべきだとの考えを示した。

民主の献金解除を歓迎=経団連会長

[時事通信 2010/10/26-22:10]

 日本経団連の米倉弘昌会長は26日、富山市で記者会見し、民主党が企業・団体献金の受け入れ自粛の一部解除を決めたことについて「政治献金は個人や企業にとって社会的責任の一つだ。民主党が献金を受けるのであれば、ルールに沿って行うのはやぶさかでない」と述べ、歓迎する意向を表明した。
 経団連は今春、与野党の政策評価を通じた企業・団体献金への組織的関与を中止しており、献金は個々の判断としている。

日本経団連の米倉会長は、「政治献金は個人や企業にとって社会的責任だ」とか「企業は社会的な一員であるから、日本をよくするための企業献金は必要」と言っているが、米倉氏は日本国憲法を呼んだことがあるのだろうか? 参政権をもっているのは一人一人の国民であって、企業には参政権など認められない。結局、「カネ儲けのために、政治を動かいたいから、そのために献金する」と言っているに等しい。語るに落ちたとはこのことだろう。

民主党の企業・団体献金再開、野党が痛烈批判:読売新聞

民主党の企業・団体献金再開、野党が痛烈批判

[2010年10月27日19時48分 読売新聞]

 民主党が企業・団体献金受け入れの一部再開を決めたことについて、野党各党から27日、批判が相次いだ。
 自民党の石破政調会長は記者会見で、「民主党は鳩山前首相や小沢一郎元代表の『政治とカネ』の問題を挙げ、『だから企業・団体献金廃止が必要だ』と言っていた。今になってオーケーだというのは、全くつじつまが合わない」と述べた。
 共産党の穀田恵二国会対策委員長は記者会見で、「企業・団体献金の全面禁止は民主党の国民に対する公約だったはずだ。重大な姿勢の転換だ」と指摘。社民党の福島党首は記者会見で、「菅首相は本会議や予算委員会で、(企業・団体献金を)禁止する方向を何度も打ち出しているにもかかわらずなぜ解禁なのか。自民党にそっくりになりつつある」と批判した。

野党が痛烈批判と言うが、企業献金を一切受け取らない共産党が批判するのは誰でもよく分かる話だけれど、企業献金をもらい続けている自民党が批判するというのは理屈が立たない。民主党は公共事業を受注している企業からだって献金を受け取るとも言っている。献金の原資は税金なのだから、献金をうけとるということは形を変えた税金ネコババといえる。

そもそも自民党は、「公約違反だ」といって民主党を批判している場合ではない。財界が民主党への献金を望んでいるということは、「自民党は当分政権復帰できそうもない」と見放されたということだ。実際、民主党の失態が続いても、自民党の支持率はさっぱり上向いてこない。もはや、財界としても、自民党の政権復帰に期待をかけている場合ではない、民主党との関係を何とかしなければならない――そんな財界の思惑が見えてきそうだ。

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