今日は、都響の定期演奏会ということで、またもやサントリーホールへ(今シーズンは、どのオケの定期もみんなサントリーホールにしてしまったので、サントリーホール日参状態です)。ブル8月間のただ中で、本日は、インバルが都響相手に、ブル6を振ります。
- モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216
- ブルックナー:交響曲第6番 イ長調
インバルのブルックナーというと、いろいろと「稿」へのこだわりがあったりしますが、この第6番にかんしていえば、ブルックナーが改訂をおこなわなかったので、そういう問題はなし。安心して聴いていられます。(^_^;)
さらにいえば、インバルのブルックナーは、神々しさや荘厳さというよりも、もう少し世俗っぽいところがあって、好みが分かれるところですが、しかしこの第6番にはその少々俗っぽいところがちょうどぴったり合うのです。都響も非常にきれいな弦を響かせておりまして、とくに第2楽章は最高でした。
世の中には、「ブルックナーの6番なんか、どこがいいの?」という人もいますが、寺西基之氏がプログラム・ノーツに次のように書かれているとおり、なかなかおもしろい作品です。
実はブルックナー自身が大胆なスタイルで書いたと述べているように、第1楽章のいわゆるブルックナー開始に独自のリズミックな性格を持たせたり、第2楽章でソナタ形式を採用したり、終楽章では第1主題と見紛うような導入主題を置いたりなど、それまでの彼の交響曲とは違った新しい試みが様々になされているのだ。
実際、第1楽章の始まりなんぞは、聴いていて「むふふ…」と楽しくなる部分。ただ欲を言えば、ブルックナーにしてはエンディングがあっさりしているのが残念なところ。もう一押し二押し、壮麗な音楽を盛り上げてほしかったと思うのは、僕だけでしょうか。インバルの素晴らしい6番を聴きながら、あらためてその感を強くしました。(^_^;)
1曲目は、都響ソロ・コンサートマスターの四方恭子さんをソリストに迎えての演奏。正確無比という点ではお見事でした。ただ、ソリストとして観客を引き込むには、あと「何か」がほしい。そんな印象を持ちました。
【関連ブログ】
東条碩夫のコンサート日記 11・29(月)エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団のブルックナー「6番」他
【演奏会情報】 東京都交響楽団第707回定期演奏会
指揮:エリアフ・インバル/ヴァイオリン:四方恭子/コンサートマスター:矢部達哉/会場:サントリーホール/開演:2010年11月30日 午後7時