ベルリン・フィルを政調費で聴きにいくのが適切とは思わないが、「コンサートに行かなくてもわかる」という意見には賛成できない

少し古い記事ですが、川崎市で、ある市議が、2年間に87回のクラシック・コンサートなどに政務調査費から55万円を支出した、という記事が「朝日新聞」に出ていました。87回のコンサートのうち、60回は川崎市が出資するミューザ川崎でのコンサートですが、たとえば同ホールでひらかれたベルリン・フィルのコンサートのチケット4万円なども政務調査費から支出されていて、はたしてそれが政務調査費の適切な使途か? という問題です。

僕も、ベルリン・フィルのチケット代を政務調査費から出すことが適切だとは思いませんが、しかし、「客層や収益性、運営についてはコンサートに行かなくても分かる」という意見はあまりに乱暴。市から5億円も出資しているのだから、はたしてそれが適切かどうか、身をもって判断するために、むしろ本来ならすべての市議さんがコンサートを聴きに来るべきじゃないか? などと思ったりもするのですが、どうでしょうか。

政調費55万円で演奏会87回 川崎市議「必要な視察」:朝日新聞

政調費55万円で演奏会87回 川崎市議「必要な視察」

[asahi.com 2010年12月6日15時3分]

 川崎市議会議員の一人が、2008年度からの2年間に87回のクラシック音楽のコンサートや能のため、計約55万円の政務調査費を使ったことが分かった。地元の市民団体は「市は『音楽のまち』を掲げており、コンサートを見るのも議員の仕事のうちだが、回数が多すぎる」と批判。一方、市議は「あくまでも市のホール運営に必要な視察」と反論している。
 この市議は、前議長の鏑木茂哉(かぶらき・しげや)市議(62)=自民。同市議の政務調査費に関する支出伝票、領収書などによると、駐車場代だけを政務調査費から支出した「招待」の7回を含む87回のうち60回はJR川崎駅前にある市の施設・ミューザ川崎シンフォニーホールで開かれた演奏会。1回の最高額は08年11月に同ホールであったベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートで4万円を計上している。
 また、09年5月には同ホールをフランチャイズにする東京交響楽団のソロ・コンサートマスターの公演を長野県軽井沢町まで1万5千円をかけて聴きに行った。計約55万円には交通費や駐車場代も含まれる。
 川崎市民らで構成する市民団体「政務調査費改革かながわ見張番」は08年度の政務調査費に対する住民監査請求で、鏑木市議のコンサート代の4分の3を私的活動だと主張。しかし、市監査委員は今年5月、別の市議が印刷代を二重計上したことなどは違法と判断した一方で、鏑木市議については理由を明示しないまま違法性を認定しなかった。
 鏑木市議は「ミューザ川崎は市が(運営費として)年間約8億円出している。議場で予算も決算も含めてかかわる我々が、ホールの運営や(演奏の)響き、客層がどうなのか見もしないのがおかしい」と説明する。
 一方、全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は「政務調査費をコンサート代に使うべきではない。客層や収益性、運営についてはコンサートに行かなくても分かる。演奏の響きといったコンサートのよしあしは、調査に名を借りて趣味を満足させているだけではないのか」と疑問を示している。
 鏑木市議は95年市議に初当選し、現在4期目。07年5月から2年間議長を務めた。自身のホームページで趣味について「音楽鑑賞(NHK交響楽団定期演奏会会員歴38年)」と記している。
 川崎市議会をめぐっては、同じ市民団体が鏑木市議を含む03?06年度の政務調査費に対して住民監査請求し、同市監査委員が委託した個別外部監査人の判断に基づく07年11月の監査結果で、コンサート代を含めた05、06年度分の約1億2千万円を目的外支出と指摘。自民党市議団など4会派へ返還を求めるよう市長へ勧告し、4会派が返還した経緯がある。(小島泰生)

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