で、家族の問題は解決したのか?

クリスマス・ストーリー

正月明けですが、恵比寿ガーデンシネマでクリスマス映画を見てきました。主演はカトリーヌ・ドヌーヴ。今年、御年67歳の大御所ですが、この映画でもばりばりの貫禄を発揮しております。(今年3本目)

公式サイト:クリスマス・ストーリー

ストーリーは公式サイトを参照していただくとして、字幕だったからか、それともオイラがぼんくらだからなのか、ともかくこのややこしい人間関係の展開に十分着いてゆくことができませんでした。(^^;)

それでも、家族のゴタゴタ、親子、兄弟、夫婦と、表向きは円満でもそれぞれ複雑な事情を抱えて、暮らしているということを、雰囲気たっぷりに描き出すあたりは、やっぱりフランス映画ならでは。

いちばん常識人を誇る長女エリザベートと夫クロードのあいだも、アンリや息子ポールをめぐって実はかなり緊迫している様子。クリスマスに集まった親族のなかではいちばんまともそうだった末っ子イヴァンと妻シルヴィアの関係もかなり…。

僕にとって、いちばん謎だったのは、“問題児“アンリが突然連れて帰ってくるフォニアという女性。最後、去り際に「3時間のつもりが2日になった」と言っていたのは、ヴュイヤール家に3時間だけ滞在するつもりだったという意味なのか、それとも、そもそもアンリと会って3時間だけつきあうつもりだったという意味なんでしょうか? ヴュイヤール家に、まったく何の関係もない唯一の登場人物だから、ひょっとすると同家のゴタゴタを解決するキーパーソンになるのかと思ってみていたのですが、果たして彼女はいったい何者だったのでしょうか。

いろいろ考えてみると、いちばんまともなのはアンリとポールかも知れません。

そして、結末がまたよく分かりません。白血病を宣告された母ジュノン(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、ポールの骨髄を移植することに決めたと言っていたはずなのに、実際に移植した骨髄は…。そして、最後のエリザベートの台詞は、何を意味するのか? 結局、このややこしいヴュイヤール家にも和解のときが訪れたということなんでしょうか?

ということで、はっきりとした答えを出すことよりも、ゴタゴタそのものを描くところにこの映画の狙いがあったのだと思うことで、とりあえず、疑問は棚上げにしておきます。

ドヌーヴ扮するジュノンの夫を演じるジャン=ポール・ルシヨン(2009年没)がなかなかの名演技。アンリを演じるマチュー・アマルリックが、ドヌーヴの貫禄に負けない存在感を見せています。そして、アンリの謎の恋人フォニアを演じたエマニュエル・ドォヴォス、多感な少年ポールを演じたエミール・ベルリングが好演。シルヴィア役のキアラ・マストロヤンニは、名優マルチェロ・マストロヤンニとドヌーヴの娘。この豪華俳優陣のなかで、気後れすることなく、のびのびと芝居をしているのはさすがです。

カトリーヌ・ドヌーヴ主演の映画は、現在、「クリスマス・ストーリー」のほか、昨年10月に公開された「隠された日記 母たち、娘たち」と、先週末封切りの「しあわせの雨傘」の3本が上映中です。

【映画情報】
原題:Un Conte de Noël(クリスマス物語)/監督:アルノー・デプレシャン/製作:フランス、2008年

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