仕送りも減り、バイト収入も減って大変な学生生活

大学生協の「学生生活実態調査」によれば、大学生の仕送りは30年前の水準にもどり、さらにバイト収入も減って、学生は食費や書籍代を切り詰めて生活せざるを得なくなっているという。

仕送り30年前の水準 大学生協調査、奨学金は最高:朝日新聞
大学生:仕送り、80年代並み 親の収入減影響 食費、書籍代切り詰め――生協調査:毎日新聞

大学生協の公表資料はこちら↓。
第46回学生生活実態調査の概要報告:全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)

たとえば、仕送りの額では、「10万円以上」が1996年の65.6%から31.7%に減少し、「5万円未満」「5〜10万円」を合わせると、24%(1996年)から61.6%へと増加。平均額でも、2000年の97,120円から71,310円に落ち込んでいる。しかし住居費は、ほとんど変わっていない(2000年=54,140円、2010年=54,640円)から、おのずと食費その他を切り詰めざるを得なくなるわけだ ((私がお世話になっているアパートの大家さんも、バブル華やかなりし頃に、古い木造モルタルのアパートを、次々におしゃれなワンルームに改造していた。その頃は、少々家賃が高くても、きれいじゃないと部屋が埋まらず、古いアパートにいるのはオイラのような貧乏社会人ばかりということがあった。しかし最近は、そのワンルームが埋まらず困っているという。))。

奨学金の利用者が増えているが、以前にこのブログでも紹介したように、就職「超氷河期」で、やむを得ず非正規職に就こうものなら、たちまち返済が滞り、ブラックリストに載せられてしまう――「カネがないなら、奨学金は借りるな」と言われるご時世だから、大変だ。

バイトの収入が減っている理由の1つは、就職活動を始めると、いつ呼び出しがかかるか分からないので、バイトができないという事情があるらしい。僕が学生の頃は、学費が高く「バイト必修、授業選択」などと言われたが、いまや、必修のバイトもままならないということだ。

仕送り30年前の水準 大学生協調査、奨学金は最高

[asahi.com 2011年2月28日11時27分]

 親元を離れてアパートなどで暮らす大学生への仕送りが4年連続で減少し、約30年前の水準にまで落ち込んでいることが、全国大学生活協同組合連合会の調査で分かった。生活費に占める奨学金の金額、割合がともに過去最高となるなど、下宿生がぎりぎりの生活を強いられている実態が明らかになった。
 昨秋、国公私立31大学の1〜4年生約1万人に聞いた。
 仕送りは月額7万1310円で、1983年の7万2200円を下回った。仕送りゼロの学生は10.5%で、09年より0.3ポイント増えた。
 仕送りが減る一方で、下宿生の奨学金は2万6740円となり、09年より310円増加。収入に占める奨学金の割合は21.8%で金額、割合ともに過去最高となり、奨学金頼みの暮らしがうかがえる。
 アルバイト収入は下宿生、自宅生ともに減った。学年が上がるにつれて減少額が拡大していた。学生からは「就職活動のため」という声が寄せられたという。

大学生:仕送り、80年代並み 親の収入減影響 食費、書籍代切り詰め――生協調査

[毎日新聞 2011年2月15日 東京朝刊]

 大学生への仕送りの昨年の平均月額は7万1310円と、09年に比べ約2800円減り、80年代初頭の水準まで低下したことが14日、全国大学生協連(加盟212大学)の学生生活実態調査で分かった。親の厳しい経済状況が要因とみられ、下宿生の生活費に占める奨学金の額、割合はともに過去最高となった。食費は30年前の水準以下に落ち込み、書籍代などを切り詰めながらの学生生活が浮き彫りになっている。
 調査は昨年10月、全国の大学1〜4年生の男女9871人(うち下宿生5344人)の回答を集計した。仕送り額は01年以降、下降を続けており、10年は83年の7万2200円を下回った。仕送りがゼロ円という下宿生は10人にひとり以上の10.5%で前年より0.3ポイント増えた。奨学金は下宿生が月平均で2万6740円で、過去最高だった前年を310円上回った。
 下宿生の親の年収は500万円未満が30%と10年前の24%から6ポイントも上昇した。同生協連は「親の収入減が、学生生活に如実に影響している」と分析している。

他方で、気になるのは、1ヶ月の書籍代が自宅生2,090円、下宿生2,250円という少なさ。新書や文庫で3冊分ほどにしかならない。この中に、マンガ本代まで入っているとしたら、まったく寂しい限りだ。

生活が苦しいという事情はよく分かる。実際、11万円ほどの収入で、食費と家賃で8万円では、どうがんばっても、書籍代に回せる額が限られていることは明らかだ。しかし、大学の4年間は、人生で唯一、好きな本を好きなだけ読むことを許された貴重な時間だ。文学でもよいし、専門の勉強でもよいが、ある意味でこの4年間にどれだけ本を読んで、自分のなかにため込めるかによって、その後の人生が決まるといっても言い過ぎではないだろう。

本代は自分自身の将来への投資。なんとかやり繰りをして、必要な本は手に入れて、蓄積をしていってほしい。

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