大震災の影響で、パンや牛乳・ヨーグルトがスーパーからなくなったり、納豆が品薄になったりしていますが、ちょっと意外なのが、印刷用のインキや用紙が供給不足になっていること。さらに、JR西日本が、電車の部品が確保できないということで、間引き運転を始めたとか。さらに、テレビの業務用テープも、シェア7割の工場が停止して、一気に品不足になっているそうです。
東京は、電力だけでなく、いろんなもので実は東北地方にお世話になっていたんですねぇ。
丸善石油化学、印刷用インキ原料の工場再開に最低1年:日本経済新聞
雑誌や本の発行ピンチ インクも「紙」も品不足:J-CASTニュース
震災で部品不足 運転本数削減:NHKニュース
【東日本大震災】テープがない! テレビ業界悲鳴「シェア7割」のソニー工場被災:MSN産経ニュース
【東日本大震災】住宅資材不足深刻化 震災・物流寸断・計画停電も追い打ち:MSN産経ニュース
しかし、震災の影響は、実はこれからなのかも知れません。
丸善石油化学、印刷用インキ原料の工場再開に最低1年
[日本経済新聞 2011/4/2 0:58]
丸善石油化学は1日、東日本大震災の影響で停止している千葉工場(千葉県市原市)の新聞や雑誌向け印刷用インキ原料の生産再開に最低でも1年間かかるとの見通しを発表した。丸善石化は国内唯一の供給メーカーだが当面は出荷も停止する。今後は輸入による代替出荷を検討する。
同社が手がけるのは「ジイソブチレン」と呼ぶ樹脂原料で、顔料や溶剤と混ぜてインキにする。同社は世界シェアの3分の1を占める最大手とみられる。震災後に起きた火災で設備の損傷が激しく、復旧に時間がかかる見込みだ。在庫も少ないという。現在は世界的に需給が均衡しており「どれだけ輸入できるかは不透明」(同社)という。
雑誌や本の発行ピンチ インクも「紙」も品不足
[J-CASTニュース 2011/3/26 15:00]
東北関東大震災の被害は、東日本の太平洋側に生産拠点を持つ製紙メーカー各社にも及んだ。宮城県を中心に生産工場が被災し、再開のメドは立っていない。
生産体制や流通の障害に加え、都内の湾岸地区に集中している印刷用紙の倉庫の周辺で液状化が発生し、道路が使えない状態になるなど問題が山積している。全国シェア2割の工場で生産不能
大地震は、出版業界を直撃した。集英社は2011年3月17日、人気漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」17号の発売日を、3月28日から4月4日に延期したとウェブサイトで明らかにした。「電力・輸送・資材などの確保が困難」なためとしている。光文社も3月16日、一部雑誌の発売延期を発表。雑誌社94社が加盟する日本雑誌協会は、地震の影響により「いくつかの出版物が発売日に店頭にお届けできない場合もございます」とサイト上で理解を求めている。
懸念されるのが、出版物に使われる紙の不足だ。印刷用紙を製造する製紙メーカーで、業界大手の日本製紙は宮城県の石巻工場と岩沼工場、福島県の勿来(なこそ)工場が操業不能に陥った。三菱製紙も青森県にある八戸工場が被災し、本格再開は5月中旬にずれこむ模様だ。これらの工場を合わせると、印刷用紙で全国シェアのほぼ2割を占める。日本製紙連合会の篠田和久会長は3月22日にコメントを出し、東北の太平洋側にある工場の被害状況は「全容を把握できるには時間がかかるものと思われます」とする一方、製品の供給は「業界として最大限の対応」を約束した。
ある専門紙に聞いたところ、新聞用に使う大きなロール状の「巻取紙」はすでに1年分を確保してあるため発行に問題はないとする半面、小冊子を刊行する際に使う「平版」の用紙の不足を心配する。東北地方の太平洋側の物流網が損害を受けたため、首都圏への入荷に支障が出る恐れが十分考えられるからだ。これが今後改善されたとしても、工場の再開が遅れれば品薄が続き、ひいては値上げにつながるのではないかとみている。
都内の印刷会社に聞くと、被災しなかった北海道の製紙工場から受注する場合でも、岩手や宮城の配送ルートが混乱しているため東北地方の日本海側経由で輸送せざるをえなくなる。そうなれば時間もかかり、コスト増は免れない。印刷インキ工業連合会は「非常事態」宣言
用紙の保管の問題もある。印刷用紙は通常、製紙メーカーから代理店、卸業者を経由して印刷会社に納入される。代理店や卸業者が大きなロットで受注していったん倉庫に保管した後、各印刷会社に対して紙の種類やサイズ、枚数などのニーズに対応する。都内近郊の場合、倉庫は江東区の有明に集まっているようだが、今回の地震で倉庫の周辺が液状化に見舞われた。先述の印刷会社によれば、倉庫の中に積んであった在庫用の紙の束が地震で崩れ落ちたため、手作業で使えるかどうかを判別している最中だという。
さらに深刻なのが、液状化で倉庫周辺の道路事情が悪化したことだ。「今後、何十トンもの荷物を積んだトラックが通れるかどうか不明です」と印刷会社は明かす。
主要紙や週刊誌をはじめとした大部数の出版物の場合、今回のような不測の事態を見越して事前に相当量の用紙を備蓄しているケースが多く、発行に問題はなさそうだ。広告チラシやポスターなどの印刷物は、現時点では広告そのものが「自粛ムード」のためか発注自体が少ないようで、紙不足には陥っていない。だが需要が復活した場合、工場の生産体制や流通網の整備、倉庫の確保といった点が改善されない場合、品薄や値上げが現実化するかもしれない。
紙だけでなく、実はインクもピンチだ。主要な生産工場が多数被災。印刷インキ工業連合会は、新聞をはじめとした印刷の主要原料が入手困難な「非常事態」との声明をウェブ上で発表している。現在抱えているインクの在庫が尽きたら「印刷不能」に陥る新聞社もあるようで、海外製品で代替できるインクがあるかを探すところも出てきた。
震災で部品不足 運転本数削減
[NHKニュース 4月2日 16時10分]
東日本大震災の影響で、JR西日本は定期的に交換する部品の調達ができなくなったとして、2日から関西や中国地方などの一部の路線で、電車の本数を最大で半分に減らして運行を始めました。
震災の影響で、電車の部品を製造する茨城県と福島県の工場が操業できなくなったため、JR西日本は、定期的に交換が必要なモーターの部品を調達するめどが立たなくなっています。この部品は、在来線のおよそ半数の電車で使われており、JR西日本は交換時期を延ばすため、2日から関西や中国地方などの一部の路線で、電車の本数を最大で半分に減らして運行を始めました。このうち、JR山陽線では、広島県から山口県にかけての一部の区間などで通勤や通学の時間帯を除いてふだんの本数より40%減らしました。
テープがない! テレビ業界悲鳴「シェア7割」のソニー工場被災
[MSN産経ニュース 2011.4.2 01:18]
テープがない――。東日本大震災で、テレビ業界で圧倒的シェアを持つソニーのデジタルテープ工場が被災し、撮影などに必要なテープ不足に業界が悲鳴を上げている。他社製品に注文が殺到しているものの、安定供給は当面難く、危機感が高まっている。
被災したのは、ソニーケミカル&インフォメーションデバイスの多賀城事業所(宮城県多賀城市)。テレビ番組の撮影・編集などに使用される「HDCAM」規格のデジタルテープの生産拠点で、「業界でソニー製以外を見るのはまれで、シェアは7割」(関係者)とも言われる。しかし、津波で1階が浸水して操業が停止。同社によると、復旧のめどはたっていない。
テレビ朝日広報部は「節約や可能な範囲での再使用、他のメーカーとの相談などで放送に支障が出ないよう努める」、NHK経営広報部は「すでに他メーカーに切り替えて対応している」とコメント。だが、テレビ局より深刻なのは、番組を制作し、テレビ局に納入している映像プロダクションなどだ。
春の新番組を控えてテープ需要が高かった上、期末で業者が在庫整理をしていたこともあり、映像プロでは「現在、ソニー製のHDCAMがまったく手に入らない」と声をそろえる。
ある大手映像製作会社の社員は「特に連休明けの3月22日ごろはテープが枯渇状態。海外取材にいくチームに持たせるテープが見つからず、ようやく調達して送り出したときは心底ほっとした」という。
HDCAM規格のテープでシェア第2位の富士フイルム、第3位の日立マクセルには注文が殺到。両社は「震災後3週間で通常の2カ月分の注文を受けた」という。しかし、映像プロ向けの注文はさばき切れず、増産についても「計画停電もあり、当面は通常の生産量維持がやっと」(富士)という状態だ。
前述の社員は「今は震災で番組の制作スケジュールが延びて助かっている。通常放送に戻る前に、何とかテープが出回るようになってほしい」と話す。(岡本耕治)
住宅資材不足深刻化 震災・物流寸断・計画停電も追い打ち
[MSN産経ニュース 2011.3.26 00:58]
東日本大震災の影響で住宅資材の不足が深刻化している。関連メーカーの被災のほか、物流網の寸断や計画停電の影響のトリプルパンチの直撃を受けた。今後、仮設住宅や全半壊した住宅の建て直しなどで急増する復興需要に対応できない恐れがある。また被害が出ていない地域でも、着工や完工の遅れが相次いでおり、日本全体の住宅市場が冷え込むのも避けられない状況だ。
震災で国内の合板市場で約3割のシェアを占める東北地方に拠点を持つメーカーは壊滅的な打撃を受けた。国内最大手セイホクは石巻工場をはじめ、主力工場が軒並み被災し操業を停止している。物流網の分断や燃料不足が追い打ちをかけ、「関東の市場に商品が出回らない事態になっている」(関係者)。
断熱材でも、旭化成グループの生産拠点である境工場(茨城県境町)で復旧のめどがたっていない。セメント業界では全国30工場のうち6工場が被害を受け、国内生産能力の約1割が止まったままだ。他の拠点もすでにフル操業の状態で、「代替生産の余力はない」(セメント協会)という。
計画停電の影響も大きい。建設用鋼材を生産する電気炉メーカーは、停電後に電炉を立ち上げるのに2?3時間が必要。王子製鉄では「操業時間が大幅に減り、地震前より2割ほど生産量が落ちた」。
水道用の塩化ビニール管を手がける積水化学工業では、群馬県などの生産拠点が計画停電で操業に支障が出ており、中国などからの輸入を検討している。
商社では、三井物産が東南アジアから南洋材の合板を輸入することを検討するなど、安定調達先の確保を急いでいる。
平成7年の阪神大震災の際は、被災地域が限定的で合板などの集積地もなく、「これほどの資材不足は起きなかった」(住宅大手)。今回は広範囲の地域で住宅関連の多数の業種が被害を受け、事態を深刻化させている。
当面の最大の課題は、仮設住宅の建設。全半壊した家屋は把握されているだけで約2万5千戸。国土交通省は業界団体に今後2カ月で3万戸の仮設住宅建設を要請したが、すでに各自治体からの要請戸数は3万戸を上回っている。
被害状況は震災から2週間が経過した現在も正確には把握できておらず、どれだけの仮設住宅が必要になるのか分からない。大手建材メーカーは「5万、10万となった場合は在庫でまかなえない」としている。
復興需要が本格化すれば、需給はさらに逼迫(ひっぱく)し、「価格が高騰する」(大和総研の渡辺浩志シニアエコノミスト)のは確実で、復興に大きな支障が出る懸念が高まっている。
被災地以外でも、震災直後から壁紙、断熱材などあらゆる資材の生産・流通がストップし、着工や完工が遅れるケースが相次いでいる。住宅版エコポイントなどの追い風を受け、戸建ての新設着工が1月まで15カ月連続で増加するなど、持ち直しの動きが見え始めていた住宅市場が冷え込むのは必至だ。