福島原発事故を受けて、原発問題にかんする世論調査。
大事なことは、あれだけの事故が起きても、「原発はただちにやめるべきだ」といういわゆる「脱原発」は、けっして世論の多数ではない、という事実をどうとらえるか、という問題。
朝日新聞では、「原子力発電を利用することに賛成ですか。反対ですか」の質問に、賛成50%、反対32%という結果が出ている。あるいは、「日本の原子力発電は、今後、どうしたらよいと思いますか」の質問に、さすがに「増やす」は5%しかないが、「減らす・やめる」が合わせて41%なのにたいして、「現状維持」が51%にのぼっている。毎日新聞の調査では、「原子力発電にたよる日本のエネルギー政策は?」の質問に、「すべて廃止」は13%しかなく、「やむを得ない」と「減らすべきだ」が40%、41%とほぼ拮抗している。読売新聞の調査でも、もっとも多いのは「現状維持」46%で、「減らす」29%、「全廃」12%しかない。
しかし、他方で、朝日世論調査でも、89%が福島第一原発の事故に「不安を感じている」と答え、88%が福島第一原発以外の原発についても「不安を感じる」と回答しており、ほぼ9割の国民が原子力発電に不安を感じているのだ。福島新聞の世論調査では、66.8%が「運転は止めない」と言いつつも「安全対策の充実」を求めている。
原発には不安を持つが、原発を減らしたり廃止したりすることは難しいのではないかと思い、当面安全対策の充実を求める――だいたい、ここらあたりに現在の世論の特徴があると言えよう。
世論調査―質問と回答〈4月16、17日実施〉:朝日新聞
東日本大震災:復興増税、賛成58%――毎日新聞世論調査:毎日新聞
時事ドットコム:仏原発支持、58%に低下=日本は39%―世論調査
函館市民 大間原発「不安」87% 本社世論調査 建設中止も49%:北海道新聞
「原発運転継続容認」7割超 敦賀市長選世論調査:福井新聞
「内閣・政党支持と東日本大震災関連」2011年4月電話全国世論調査:読売新聞
世論調査―質問と回答〈4月16、17日実施〉
[asahi.com 2011年4月18日0時1分]
(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は、2月19、20日の前回調査の結果)
◆菅内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持する 21(20)
支持しない 60(62)◇それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一。左は「支持する」21%、右は「支持しない」60%の理由)
首相が菅さん 21〈4〉 5〈3〉
民主党中心の内閣 35〈7〉 8〈5〉
政策の面 14〈3〉 20〈12〉
実行力の面 10〈2〉 65〈38〉◆どの政党を支持していますか。
民主17(19)▽自民19(18)▽公明3(3)▽共産2(2)▽社民1(1)▽みんな1(2)▽国民新0(0)▽たちあがれ日本0(0)▽新党日本0(0)▽新党改革0(0)▽その他の政党0(0)▽支持政党なし49(50)▽答えない・分からない8(5)
◆仮にいま、衆院選の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか。
民主18(19)▽自民30(25)▽公明4(5)▽共産3(3)▽社民1(1)▽みんな5(6)▽国民新0(0)▽たちあがれ日本0(0)▽新党日本0(0)▽新党改革0(0)▽その他の政党1(1)▽答えない・分からない38(40)
◆菅さんに首相を続けてほしいと思いますか。早くやめてほしいと思いますか。
首相を続けてほしい 36(30)
早くやめてほしい 43(49)◆菅内閣の東日本大震災への対応を評価しますか。評価しませんか。
評価する 22 評価しない 60
◆菅内閣の福島第一原子力発電所の事故への対応を評価しますか。評価しませんか。
評価する 16 評価しない 67
◆民主党と自民党が大連立政権をつくることに賛成ですか。反対ですか。
賛成 43 反対 37
◆震災復興の財源にあてるため、増税することに賛成ですか。反対ですか。
賛成 59 反対 31
◆震災復興の主な財源にするのは増税がよいと思いますか。国の借金である国債がよいと思いますか。
増税がよい 48 国債がよい 25
◆福島第一原発の事故についてうかがいます。今回の事故について、どの程度、不安を感じていますか。(択一)
大いに感じている 56
ある程度感じている 33
あまり感じていない 9
まったく感じていない 2◆福島第一原発以外の原子力発電所でも、大きな事故が起きる不安を、どの程度感じますか。(択一)
大いに感じる 50
ある程度感じる 38
あまり感じない 10
まったく感じない 1◆福島第一原発の事故について、政府の情報提供は適切だと思いますか。適切ではないと思いますか。
適切だ 16 適切ではない 73
◆原子力発電を利用することに賛成ですか。反対ですか。
賛成 50 反対 32
◆日本の原子力発電は、今後、どうしたらよいと思いますか。(択一)
増やすほうがよい 5
現状程度にとどめる 51
減らすほうがよい 30
やめるべきだ 11◇
〈調査方法〉 16、17の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は3352件、有効回答は1999人。回答率60%。
東日本大震災:復興増税、賛成58%――毎日新聞世論調査
[毎日新聞 2011年4月18日 東京朝刊]
◇政府の原発対応「評価せず」68%
毎日新聞は16、17両日、全国世論調査を実施した。東日本大震災の対応のうち、福島第1原子力発電所の事故に対する政府の取り組みに対しては、「まったく評価しない」(23%)と「あまり評価しない」(45%)と合わせ、否定的な回答が68%に上った。放射性物質に関する政府の発表についても「信用していない」が58%に上り、原発事故に対する国民の不安・不信感が浮き彫りになった。被災地復興財源の確保に向けて、増税については「賛成」が58%を占め、「反対」(33%)を上回った。
内閣支持率は22%にとどまった。今年2月に実施した前回調査と比べ、3ポイント上昇したものの、菅政権発足以来、2番目の低さで、非常時の政権の支持率としては低水準。内閣支持は民主党支持層でも63%で、支持政党なし層では17%と低かった。一方、不支持率は6ポイント減の54%と高く、引き続き不支持が支持を大きく上回っている。
◇自衛隊の活動、評価する95%
震災対応を巡り、「菅直人首相はリーダーシップを発揮していない」との回答は78%を占めた。「発揮していない」との回答は、民主党支持層でも54%に上る。被災地に対する政府支援については「評価する」が50%を占め、「評価しない」(46%)と拮抗(きっこう)。政府対応の評価が割れる中で、自衛隊の活動については「大いに」と「ある程度」を合わせた評価派が95%を占めた。自衛隊と米軍の連携が深まっていることに対しても「適切だ」が88%に達している。
主な調査結果 ※数字は%、カッコ内は前回調査
◆菅内閣を支持しますか?
支持22(19) 不支持51(60)◆福島第1原発に対する政府の取り組みは?
大いに評価する 4
ある程度評価する 24
あまり評価しない 45
まったく評価しない 23◆菅首相は大震災の対応でリーダーシップを発揮していますか?
発揮している 16
発揮していない 78◆被災地復興の財源を確保するための増税は?
賛成 58
反対 33◆原子力発電にたよる日本のエネルギー政策は?
やむを得ない 40
原発は減らすべきだ 41
原発はすべて廃止すべきだ 13◆民主党と自民党の連立政権は?
賛成 57
反対 32◆どの政党を支持しますか?
民主 14(15)
自民 20(20)
公明 5( 5)
みんな 4( 8)
共産 2( 2)
社民 1( 1)
支持政党はない 48(45)震災復興に対応するため、民主、自民両党が連立政権を組むことについては「賛成」(57%)が「反対」(32%)を上回った。支持政党別にみると、民主党支持層の69%、自民党支持層の51%が大連立に賛成。公明党支持層は賛成が40%にとどまった。
日本の電力の約3割を原発でまかなう現在のエネルギー政策については「やむを得ない」が40%。「原発は減らすべきだ」(41%)と「全て廃止すべきだ」(13%)を合わせると、54%がエネルギー政策の見直しが必要との認識を示した。
菅首相に「いつまで首相を続けてほしいか」を聞いたところ、「復興対策が一段落するまで」が53%と最多。「できるだけ早くやめてほしい」も26%を占めた。政党支持率は、民主党が前回比1ポイント減の14%で、自民党は横ばいの20%。与野党対決が続くなかで、「支持政党なし」も48%に及んでいる。【大場伸也】◇
東日本大震災による被害が大きかった岩手、宮城、福島3県の一部地域は、今回の調査対象に含まれていません。
仏原発支持、58%に低下=日本は39%―世論調査
[時事通信 2011/04/21-08:53]
【パリ時事】フランス人の58%が原子力発電に賛成しているものの、その割合は東日本大震災前の66%から低下したとする世論調査が20日、同国テレビで公表された。電力供給の約8割を原発に依存する「原発大国」フランスだが、福島第1原発の事故を受け、信頼が揺らいだ。
AFP通信によれば、調査は事故後に47カ国で実施された。原発への支持率が最も高かったのは中国で、70%。韓国が64%、ナイジェリアが63%、ブルガリアとチェコが各61%でこれに続く。
原発反対はオーストリアの90%を筆頭に、89%のギリシャ、80%のグルジアなどが高率。原発計画の無期限凍結を決めたイタリアは75%、反原発を掲げる「緑の党」が支持を伸ばしているドイツでも73%が反対と回答した。
日本では事故前に62%だった原発支持が39%にまで急低下。米国は支持が47%、ロシアは52%と、賛否が拮抗(きっこう)している。
調査はギャラップ・インターナショナルなどが実施した。
函館市民 大間原発「不安」87% 本社世論調査 建設中止も49%
[北海道新聞4月19日朝刊掲載]
【函館】函館から30キロ圏内にある青森県大間町で建設中の大間原子力発電所について、北海道新聞社が17、18日に函館市民を対象に実施した世論調査で、87%が「不安を感じる」と回答した。東日本大震災による東京電力福島第1原発の事故が長期化する中、函館市民の間で安全性への懸念が強まっていることが明確になった。
同原発は電源開発(東京)が建設を進め、2014年度の運転開始を目指している。
「不安を感じる」の内訳は、「大いに不安を感じる」が67%、「やや不安を感じる」が20%だった。
その上で、同原発の建設について、「中止」が49%と半数近くを占め、「安全対策を強化して建設」が44%、「計画通り建設」が5%だった。
「原発運転継続容認」7割超 敦賀市長選世論調査
[福井新聞 2011年4月21日午前10時58分]
福井新聞社が行った敦賀市長選の世論調査で、新市長に力を入れてほしい政策(2項目選択)としては「原子力対策」が最も多く、全体の3割近くを占めた。東京電力福島第1原発事故を受け、敦賀の原発をどうすべきかについては「運転は止めずに安全対策を充実させる」が66.8%と最も多く、「これまで通り運転を続ける」を合わせた運転継続の容認意見が7割を超えた。
◆敦賀の原発について
これまでどおり運転を継続 6.7
運転は止めず安全対策を充実 66.8
一度、停止して国の基準、方針を待つ 17.3
現在ある原発は廃止 5.5
その他 3.3
分からない・無回答 0.3力を入れてほしい政策で「原子力対策」と回答したのは28.6%。各年代別、男女別でも最も高く、男女別では女性が16.3%と男性より4ポイントほど高かった。
次いで「高齢化・福祉対策」17.7%。「行財政改革」12.2%、「産業振興」11.7%、「中心市街地活性化や観光対策」11.3%、「少子化対策や教育政策」10.1%が続いた。「北陸新幹線の敦賀までの建設」は3.5%にとどまった。
深刻な事態に陥った福島第1原発事故を受け、敦賀の原発をどうすべきかとの問いでは「運転は止めずに安全対策を充実させる」66.8%、「これまで通り運転を続ける」が6.7%で、運転継続容認は73.5%に上った。
一方で「一度停止して国の基準、方針を待つ」は17.3%で2番目に多かった。「現在ある原発は廃止」は5.5%だった。
男女別では「運転は止めずに安全対策を充実」が男性69.4%に比べ女性は5ポイント低く、「一度停止して国の基準、方針を待つ」は女性が19.4%で男性より4.3ポイント高かった。
年代別では「運転は止めずに安全対策を充実」と答えた20、30、40代は7?8割台に上る一方、50、60代、70歳以上は5?6割台。「一度停止して国の基準、方針を待つ」は20代6%、30代11.5%、40代8.3%に対し、50代23.4%、60代21.2%、70歳以上26.8%で年齢が高い方がより慎重な姿勢を示す傾向となった。
「内閣・政党支持と東日本大震災関連」 2011年4月電話全国世論調査
[読売新聞 2011年4月4日]
▽調査日:2011年4月1-3日 対象者:全国有権者
方法:RDD追跡方式電話聴取法
発信用電話番号(対象全域バンク4)4500件
有権者在住世帯が確認できたもの 1666件
各世帯で有権者1人を無作為に指定(乱数方式)
有効回答 1036人(有権者世帯に対する回答率 62%)
※東日本大震災の被災地のうち、被害の大きい岩手、宮城、福島の3県の一部地域は調査対象から除いた。Q あなたは、菅内閣を、支持しますか、支持しませんか。
答 1.支持する 31 2.支持しない 56 3.その他 6 4.答えない 7
Q 今、どの政党を支持していますか。1つだけあげて下さい。
答 1.民主党 20 6.みんなの党 2
2.自民党 20 7.国民新党 0
3.公明党 3 8.たちあがれ日本 0 11.その他の政党 1
4.共産党 2 9.新党日本 – 12.支持政党なし 49
5.社民党 1 10.新党改革 – 13.答えない 2Q 東日本巨大地震の被災地救援や復興支援をめぐる政府の対応を、評価しますか、評価しませんか。
答 1.評価する 43 2.評価しない 44 3.答えない 12
Q 福島第1原子力発電所の事故をめぐる政府の対応を、評価しますか、評価しませんか。
答 1.評価する 27 2.評価しない 61 3.答えない 12
Q 福島第1原発の被災状況や放射性物質の影響など、今回の事故に関する政府の説明は、全体として、適切だと思いますか、そうは思いませんか。
答 1.適切だ 24 2.そうは思わない 66 3.答えない 10
Q 現在、日本の電力の3割近くは原子力発電によるものです。今後、国内の原子力発電所をどうすべきだと思いますか。次に読みあげる4つの中から、1つだけ選んで下さい。
答 1.増やすべきだ 10
2.現状を維持すべきだ 46
3.減らすべきだ 29
4.すべてなくすべきだ 12
5.その他 1
6.答えない 3Q 今回の災害の被災者を支援するために、あなたは、どのようなことをしたいと思いますか。あるいは、すでにどのようなことをしましたか。次の4つの中から、あれば、いくつでも選んで下さい。
答 1.義援金を寄付する 91
2.生活物資を送る 33
3.被災地でボランティア活動を行う 9
4.被災地以外でボランティア活動を行う 26
5.その他 1
6.とくにない 3
7.答えない 0Q 今回の地震や原発事故のあと、あなたのご家庭で、新たに行ったことはありますか。次の6つの中から、あれば、いくつでも選んで下さい。
答 1.非常用の食料や飲料水を準備した 34
2.懐中電灯や電池などを買った 35
3.避難場所や避難路を確認した 46
4.家族との連絡方法を確認した 51
5.家具などが転倒しないようにした 20
6.電気を節約した 86
7.その他 0
8.とくにない 5
9.答えない 0Q 政府や自治体の防災対策のうち、今後、最も優先して行うべきだと思うものを、次の5つの中から、1つだけ選んで下さい。
答 1.建物の耐震対策 15
2.防波堤など津波対策 17
3.食料や水の備蓄 16
4.通信網の確保 17
5.交通・輸送網の確保 28
6.その他 3
7.とくにない 2
8.答えない 3Q 菅首相は、今回の地震と原発事故の対応で、指導力を発揮していると思いますか、そうは思いませんか。
答 1.発揮している 24 2.そうは思わない 69 3.答えない 8
Q 菅首相には、いつまで首相を続けてほしいと思いますか。次の4つの中から、1つだけ選んで下さい。
答 1.早く退陣してほしい 19
2.今の国会が終わる今年の夏ごろまで 31
3.民主党代表の任期が終わる来年の秋まで 23
4.衆議院議員の任期が終わる再来年の夏まで 16
5.その他 4
6.答えない 8Q 民主党が2009年の衆議院選挙のマニフェストに掲げた「子ども手当」などをやめて、今回の災害復興の財源とすることに、賛成ですか、反対ですか。
答 1.賛成 83 2.反対 13 3.答えない 5
Q 今回の災害復興の財源とするため、増税を行うことに、賛成ですか、反対ですか。
答 1.賛成 60 2.反対 32 3.答えない 7
Q 民主党と自民党は、今回の地震や原発事故に対応するため、連立政権を組む方がよいと思いますか、そうは思いませんか。
答 1.連立を組む方がよい 64 2.そうは思わない 27 3.答えない 9