東電副社長が原発事故は「人災」と認める

東京電力の皷紀男副社長が、福島県飯舘村を訪問して、住民に直接謝罪。そのなかで、「個人的」と断りつつ、原発事故は「人災だ」と認めました。

東電副社長“事故は人災”:NHKニュース
【放射能漏れ】「結婚して子供産みたい」 東電の住民説明会で怒り、困窮の声:MSN産経ニュース
東電の回答に怒号 飯舘村での住民説明会:福島民報
東日本大震災:福島第1原発事故 東電副社長、飯舘で謝罪 住民怒号、長期的な補償を:毎日新聞

「社長、会長がなぜ来ないのか」「なぜ事故後すぐに調査しなかったのか」「誠意がない」「謝って済む問題ではない」など、やりきれない住民の怒りに直面して、東京電力幹部もただただ身を固くするしかなかったでしょう。

しかし、「本格的な補償を迅速に行ってほしい」「村が再生できる時まで補償してほしい」「田畑や山の放射線をどうにかできるのか」という要望は切実なもの。また、「子供が産めない体になるのではないか」という質問が出されるほど、住民の方々が強い不安をもたれているということも分かりました。

東京電力は、こうした住民の要望、不安を正面から受け止め、それに答える努力を誠実にはたしてほしいと思います。

東電副社長“事故は人災”

[NHKニュース 5月1日 4時14分]

 東京電力の皷紀男副社長は、原発事故で計画的避難区域に設定された福島県飯舘村を訪れ、住民に謝罪したうえで、事故について「個人的には人災だと思う」と述べました。
 飯舘村は、原発事故で計画的避難区域に設定され、6000人余りのすべての住民が今月下旬までに避難するよう求められています。先月30日、飯舘村を訪れた東京電力の皷紀男副社長は、集まったおよそ1000人の住民を前に「今回の事故で村の全域が避難しなければならなくなったことを、深くおわび申し上げます」と謝罪しました。
 続いて住民から質問が相次ぎ、この中で「今回の原発事故は人災か天災か」と問われたのに対し、皷副社長は「個人的には人災だと思う」と答えました。
 このほか住民からは「本格的な補償を迅速に行うべきだ」とか「謝罪の気持ちが十分伝わってこない」といった発言が相次いでいました。住民への説明のあと、皷副社長は報道陣から「人災」という発言の真意を聞かれて、「原発事故は想定外だったという意見もあるが、飯舘村の皆さんのことを考えると、個人的には想定外のことも想定しなければならなかったと思い、そのように発言した」と述べました。

「結婚して子供産みたい」 東電の住民説明会で怒り、困窮の声

[MSN産経ニュース 2011.4.30 23:55]

 「結婚して子供を産むという夢がある」「原発事故で住む所さえない。戦争の時よりひどいと言うお年寄りもいる」。福島県飯舘村と川俣町で30日開かれた東京電力の住民説明会。住民から原発事故への怒りや生活面での困窮を訴える声が相次いだ。
 飯舘村の中学校の体育館フロアは、大勢の村民で埋め尽くされた。鼓紀男副社長ら東電幹部5人は返答する際に立ち上がる以外は、終始正座したままで質疑に応じた。
 質問に立った高校1年の渡辺菜央さん(15)は訴えた。東電側が「いろんな対策を取り、そうならないように努めています」と答えると、渡辺さんは「だったら、もっと早く避難を呼び掛けてほしかった」ときっぱり。参加者からは大きな拍手が起きた。

東電の回答に怒号 飯舘村での住民説明会

[福島民報 2011/05/01 08:50]

 東京電力の福島県飯舘村民への謝罪・住民説明会は30日、飯舘中体育館で開かれ、「持ち帰って検討する」「国の方針に従って」など東電の歯切れの悪い回答に怒号が飛び交った。
 皷(つづみ)紀男副社長が約1300人の村民に対し「収束に向けた道筋を目標に、一刻も早く皆さまを安心させたい」とあいさつし、頭を下げた。
 質疑応答では、約20人がマイクを握った。「社長、会長がなぜ来ないのか」「なぜ事故後すぐに調査しなかったのか」「誠意がない」「謝って済む問題ではない」との意見が出た。
 15歳の女子高生もマイクを握り「川俣高の友達が次々に避難していなくなる」「将来、子どもが産めなくなったらどうするのか」と訴えた。
 村民の追及に、皷副社長は「個人的には人災と考えている」と回答した。

東日本大震災:福島第1原発事故 東電副社長、飯舘で謝罪 住民怒号、長期的な補償を

[毎日新聞 2011年5月1日 東京朝刊]

 東京電力の鼓(つづみ)紀男副社長が30日夜、福島第1原発事故で全域が「計画的避難区域」に指定された福島県飯舘村を訪れ、東電側の説明を聞くために集まった1000人以上の住民に「誠に申し訳なく深くおわび申し上げます」と謝罪した。時折怒号も飛び交う中、住民は東電の責任を追及し家畜などの被害や長期的な補償も求めた。
 説明会で東電側は事故収束に向けた工程表や仮払補償金について説明。政府の原子力損害賠償紛争審査会がまとめた指針に基づき賠償する意向を示した。
 住民からは「村が再生できる時まで補償して」「田畑や山の放射線をどうにかできるのか」「原子力損害賠償法の免責事項だという社長の発言は撤回するのか」などの質問が出た。
 「人災ではないのか」との問いに、鼓副社長は「個人的な感覚ではそう思っている部分もあるが、政府などの調査の見解を待ちたい」と述べるにとどめた。東電側の説明に納得できない住民から「ふざけるな」と怒号が飛び、女子高生が「将来結婚し、子供を産む夢がつぶされたら補償してくれるのか」と問いかける場面もあった。
 説明会に訪れた兼業農家を営む斉藤照吉さん(57)は「飯舘村は原発の交付金も何もなく、被害しか受けていない。村を元の状態に戻して、原発は福島から撤退してほしい」と求めた。
 自動車修理業の佐藤一行さん(59)は自宅のローン900万円を残したまま避難する。「この村に誇りを持っている。どうしてこうなってしまったのかを説明してほしかったが、『検討する』ばかりで納得できない」と怒りをあらわにした。
 鼓副社長は同日、隣接する川俣町も訪れ、住民に謝罪した。【小泉大士、小畑英介、津久井達】

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