産経新聞とFNNの世論調査で、福島第一原発事故にかんする政府発表が「信頼できない」の回答が80%、東京電力の対応や発表が「適切でない」との回答が85%をしめた。内閣支持率は30%。内閣不信任案の提出については、「理解できる」45.6%、「理解できない」47.1%と拮抗している。
原発依存のエネルギー政策の継続・推進をねらう産経新聞は「脱原発は1割止まり」と報じているが、実際には「減らすべきだ」48.9%(4月調査より15.6ポイント増)、「すべてなくすべきだ」12.6%(同2.1ポイント増)で合わせると61%が原発政策の転換を求めている。
【世論調査】政府の原発発表、「信頼できない」80%:MSN産経ニュース
【世論調査】脱原発は1割止まり 自然エネルギーへの期待は大:MSN産経ニュース
政府の原発発表、「信頼できない」80%
[MSN産経ニュース 2011.5.30 21:22]
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が28、29両日に実施した合同世論調査で、東京電力福島第1原子力発電所の事故に関する政府の発表について「信頼できない」との回答が約8割に上った。また、野党が提出を目指している内閣不信任決議案が可決された場合、6割以上が解散総選挙ではなく、内閣総辞職を求めた。
原発事故の状況や放射性物質に関する政府の発表が「信頼できない」とする回答は80.8%で、前回調査(4月23、24両日)の66.2%を大きく上回った。また、東電の対応や発表についても84.7%が「適切ではない」と答え、こちらも前回より8.3ポイント上昇。同原発1号機への海水注入などをめぐり、政府や東電の発表が二転三転したことなどに対する有権者の不信が鮮明になった。
野党が今国会で不信任案を提出することについては「理解できる」が45.6%、「理解できない」が47.1%とほぼ拮抗(きっこう)。可決された場合は62.2%が総辞職を選ぶべきだと答えた。
本格的な復興策を盛り込んだ平成23年度第2次補正予算案をめぐっては、85.8%が今国会の会期を大幅に延長してでも成立させるべきだと回答。「成立させるべきだと思わない」は8.6%にとどまった。
一方、菅直人内閣の支持率は29.2%で、前回から7.4ポイント上昇した。不支持率は4.4ポイント下がり、58.3%。菅首相が浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の停止を中部電力に要請した件では、73.7%が「評価できる」と回答した。
復旧・復興や原発対応が急がれる中、望ましい政権の枠組みは民主党と自民党が参加する「大連立」が39%で最も多く、「政界再編を経た後の既存の枠組みによらない政権」が37.5%で続いた。
脱原発は1割止まり 自然エネルギーへの期待は大
[MSN産経ニュース 2011.5.30 18:50]
今回の合同世論調査では「今後、原子力発電所をどうすべきか」との問いに対し、「すべてなくすべきだ」とする原発全廃論はわずか12.6%だった。前回調査(4月23、24日実施)より2.1ポイント増えてはいるが、非現実的と言われる完全な「脱原発」について、世論は慎重な姿勢を示していることが分かった。
原子力発電の今後については「減らすべきだ」が前回より15.6ポイント増の48.9%と、原子力発電所に対して消極的な意見は増えている。「現状を維持すべきだ」とする答えは同15.2ポイント減の33.3%だった。
ただ菅直人首相が、引き続き日本で原発を維持するとの考えを示したことについては、「評価する」が46.9%で、「評価しない」の40.8%を上回った。
首相が打ち出した太陽光など自然エネルギーの割合を2020年代の早い時期に、現在の倍以上の20%まで引き上げる方針については、78.2%が評価した。
巨額の賠償金を支払うことになる東京電力への支援条件として、枝野幸男官房長官が求めた金融機関の債権放棄には「適切」が46.1%で、「適切ではない」の34.9%を上回った。
原子力発電にかんする意識動向としては、もちろん、「現状を維持すべきだ」とする回答が33%あることも軽視できない。また、「すべてなくすべきだ」が増えているとはいえ、全体に占める割合はわずか8分の1。やはり原発の危険性を目の当たりにして不安を持ちつつも、はたしてすべてなくすことができるのかという疑問、不安もあって迷ったり悩んだりしている、というのが正直なところだろう。
それだけに、耐震構造とか津波への備えがどうかという議論だけでなく、原子力発電はそもそも安全なのか? という根本問題をめぐって議論と理解を広げることが大切だと思う。
私がよく訪問する識者のブログがいくつかある。みなさん今の状況に「イライラ」なさっているような気がする。
衆議院の任期は4年なのだ。そう思えばこの4年を真剣に復興と日本再生にすべてを賭けて解散総選挙も悪くないと思う。
ただ、被災地は選挙などままならぬという実情もある。
国会議員だけでなく県民とまったく相談しないで「特区」をぶち上げる県知事もいる。
しかし、信頼できる情報がないことと信頼できる政治が実現されないことへの怒りはピークなのだ。