どうして原発って、こんなに笑えない笑い話ばかりなんだろう

東京電力の福島第一原発で、どうして大事な非常用発電機を、津波が来れば水没するような地下に置いていたのか? その疑問に、今日の「朝日新聞」夕刊(6月11日付)が答えてくれています。

記事によると、アメリカではハリケーンの強風で樹木が吹き飛ばされきて、それに直撃されて被害を受けるので、それから発電機を防護するために地下に設置することになったそうです。ところが、1960年代に日本で原発をつくり始めたとき、何でもアメリカ仕様でやらないといけないと思って、ハリケーンなどこない日本でも、そのまま発電機は地下へ。その結果、津波で完全に水没することになった、というわけです。

そもそも日本の原子力開発は、アメリカから濃縮ウラン+軽水炉を購入するところから始まったものですが、建屋の設計図までアメリカ引き写しだったとは……。

「地下に非常電源」米設計裏目に ハリケーン対策だった:朝日新聞

「地下に非常電源」米設計裏目に ハリケーン対策だった

[asahi.com 2011年6月11日15時0分]

 東京電力福島第一原発が40年前、竜巻やハリケーンに備えて非常用発電機を地下に置く「米国式設計」をそのまま採用したため、事故の被害が大きくなったことが関係者の証言でわかった。原発は10メートル以上の津波に襲われて水につかり、あっけなく全電源を失った。
 風速100メートルに達する暴風が原発に襲いかかる。周辺の大木が根こそぎ吹き飛ばされ、ミサイルのように建屋の壁を突き破り、非常用電源を破壊する――。1960年代初頭、米国ではこんな悪夢のシナリオを想定して原発の災害対策が練られた。非常用発電機は原子炉建屋ほど壁が厚くない隣のタービン建屋に置かれた。「木のミサイル」から守るためにより安全なのは地下だった、と東電関係者は解説する。米国ではハリケーンに男女の名前を交互に付ける。津波よりも身近な災害だ。
 東電初の原発だった福島第一の1号機は、ゼネラル・エレクトリック(GE)など米国企業が工事を仕切った。「東電は運転開始のキーをひねるだけ」という「フル・ターン・キー」と呼ばれる契約で、技術的課題は丸投げだったという。
 東芝や日立など国産メーカーの役割が増した2号機以降の設計も、ほぼ1号機を踏襲。津波など日米の自然災害の違いをふまえて見直す余裕はなかった。旧通産省の元幹部は「米側の仕様書通りに造らないと安全を保証しないと言われ、言われるままに造った」と振り返る。
 1号機の運転開始から40年。「非常用発電機は重く、振動も生じる。移すなら建物全体の抜本的な工事になる」(東電関係者)と、設計が見直されることはなかった。
 この結果、福島第一原発1〜6号機の非常用発電機計13台のうち、主要10台が地下1階に集中。津波の直撃を受けて水損を免れたのは、6号機の1階にあった1台だけだった。原子炉を冷却するための電源が失われ、運転中だった1〜3号機は炉心溶融(メルトダウン)を起こした。
 米国式は国内の他の原発にも踏襲されている。菅直人首相が運転停止を要請した中部電力は真岡原発も非常用発電機が原子炉舘谷の1階にあるため、緊急対策として建屋の屋上に発電機を増設した。

非常用発電機は「重く、振動も生じる」から、すでに建ててしまった原発では移動させるのが大変というのは、まだわからなくもありませんが、原発を新設するときに設計図を見直すぐらいならできたのではないでしょうか。

しかし、そんな重くて振動もするものを原子炉建屋の屋上に増設して、浜岡原発ははたして大丈夫なんでしょうか? 地震が来たとき、津波対策用に増設した発電機が原因で天井が抜け落ちて原子炉が壊れたのでは、またまた笑えない笑い話にしかなりません。

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