本日の「東京新聞」1面肩の記事。事故をおこし、東京電力が廃炉の方針を決めている福島第1原発1〜4号機が、法令上は廃炉にできないということがわかったというニュース。
それは、法令上、廃炉手続きは、原子炉が正常に終了して使用済み核燃料が安全に取り出されていることが条件になっているからだ。日本の原子力行政は、どこまで行っても大規模な事故に何の準備もしていなかったことが分かる。
福島第一原発 事故時の廃炉規定なし
[東京新聞 2011年6月16日 朝刊]
東京電力が廃炉の方針を決めている福島第一原発1〜4号機について、現行の法令に事故を起こした原子炉の廃止に関する規定がなく、廃炉の手続きを進められない可能性があることが分かった。
原子炉の廃止手続きは、原子炉等規制法や経済産業省令が定めている。
電力会社が耐用年数を経過して運転を終えた炉を廃止する場合、規制法は「廃止措置計画」を作成して経産省原子力安全・保安院に提出するよう義務付けている。保安院が廃炉の計画を認可する。
認可の基準は、省令により「原子炉の炉心から使用済み燃料が取り出されていること」「核燃料や、核燃料によって汚染された物の管理・処理・廃棄が適切であること」などとされている。
ただ、これらはいずれも運転が正常に終了していることが前提だ。
東電の勝俣恒久会長は3月30日の記者会見で、1〜4号機を廃炉にする方針を明言。しかし、1〜3号機は溶け落ちた燃料の一部が格納容器の底に堆積する「メルトスルー(溶融貫通)」が起きている可能性が高い。燃料が原形をとどめていないとみられ、どうやって取り出すか具体的な方法は見通せない。現状では廃炉の計画の認可基準を満たしていない。
東電は「(事故収束という)現状の対処に全力を尽くしており、廃炉に向けた検討をする段階にない」(松本純一・原子力立地本部長代理)として、申請は急がない意向。
保安院は法令の見直しの必要性について「まだ検討していない。いずれ考えなければならないが、その手前で考えることがたくさんある」とし、当面は事故対応を優先させる考えを示している。