周辺自治体、原子力発電からの脱却求める決議

東京電力福島第一原発事故を受けて、原発立地の地元自治体や周辺自治体での原子力発電からの脱却・縮小を求める決議、意見書の採択が続いている。

小浜市会、原発脱却求め意見書可決 全会一致 国へ5項目要望:福井新聞
「脱原発」意見書 糸島市議会可決 国に安全確保要望:西日本新聞
原発の縮小求める意見書、新潟・上越市議会が可決:朝日新聞
原発安全対策求める意見書:中国新聞
「国、原発政策転換を」 島根・江津市議会:読売新聞
浜岡原発の廃炉などを求める議員提出議案が、全会一致で可決:伊那ケーブルテレビジョン
原子力政策の転換求める決議 取手市議会:茨城新聞
氷見市議会、原発の安全求め意見書可決:北日本放送
世羅町議会が原発中止意見書:中国新聞
泊原発:周辺4町、国と道に停止求め意見書 プルサーマル中止も/北海道:毎日新聞
余市町議会が「泊は段階停止」 プルサーマル撤回を 知事に意見書:北海道新聞
原子力政策の抜本的見直しを 唐津市議会が意見書可決:佐賀新聞

小浜市会、原発脱却求め意見書可決 全会一致 国へ5項目要望

[福井新聞 2011年6月10日午前1時00分]

 福井県小浜市議会は9日の本会議で、議員提案された「原発からの脱却を求める意見書」を全会一致で可決した。3月の東日本大震災による東京電力福島第1原発事故を教訓として、エネルギー政策の抜本的な転換を図り、期限を定めて原発から脱却することなど5項目を国に求めている。ただ、原発立地町に隣接していて雇用や財政面の恩恵も受ける中、立地自治体との関係など意見書の影響を懸念する声があり、波紋が広がりそうだ。
 提出者の山本益弘市議(市政改革ク)は提案理由について、深刻な事態となった福島の事故を受け「大飯原発から半径10キロ圏内には市民の半数に当たる約1万6千人が住んでいる。子孫に不安と危険を残さないため、期限を定めて原発から脱却することを強く求める」と述べた。
 意見書では「脱原発」のほか▽30年を超す高経年化原発の運転延長を認めない▽防災対策重点実施地域(EPZ)をはじめとする安全基準の抜本的な見直し▽避難道路や避難施設などの早急な整備▽原子力安全・保安院の経済産業省からの分離と独立、権限強化――を求めた。
 本会議後、池尾正彦議長は「原発事故で古里を離れなければならないような事態があってはいけない。市民の安全を考えて声を上げることは市議の責務。意見書という形で議会の意思を示した」と述べた。
 ただ、賛成した市議からも、雇用で恩恵を受けていることなどから「小浜が孤立するのではと心配」との指摘がある。また、小浜市など準立地市町が求めている安全協定の見直しに影響が出ないか懸念する声も上がっている。
 松崎晃治市長は意見書に関して「(可決を)重く受け止めている。現時点では原発の安全対策が急務であり、国に安全指針や原子力防災対策の見直しを要望している。市としては今後、市民の安全安心を確保するため、安全協定見直しなどに取り組んでいく」とのコメントを発表した。
 原子力関連施設をめぐり同市会は2004年3月、使用済み核燃料の中間貯蔵施設誘致を推進する決議案を賛成多数で可決した経緯がある。

「脱原発」意見書 糸島市議会可決 国に安全確保要望

[2011/06/17付 西日本新聞朝刊]

 福岡県糸島市議会は16日、東日本大震災に伴う福島第一原発事故を受け、原子力エネルギーから自然エネルギーへの転換を推進することなどを国に求める意見書を全会一致で可決した。脱原発に向けた意見書の可決は九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)から30キロ圏にある福岡、佐賀、長崎3県の7市では初めて。
 原子力防災対策重点地域(EPZ)の対象範囲拡大などを国に求める九州市議会議長会の緊急決議を受け、糸島市議会も国に対し、原発の安全確保を要望する意見書を提出する動きになった。
 意見書は、原発の安全確保とともに「原子力エネルギーから太陽光エネルギーなど自然エネルギーへの転換を国策として推進する」ことを求める内容。併せて、現在休止している原発の再開に当たっては万全の防災体制の確立を前提に対応するよう促している。
 糸島市議会では、松本嶺男市長も「電力総量の中で、原子力発電の比率が徐々に低下することを願っている」との見解を述べている。

原発の縮小求める意見書、新潟・上越市議会が可決

[asahi.com 2011年6月24日20時38分]

 新潟県上越市議会は24日、既存の原子力発電所を段階的に縮小し、再生可能エネルギーへの転換・促進を政府に求める意見書を、賛成多数で可決した。同市は、東京電力柏崎刈羽原発のある柏崎市に隣接し、市の一部が同原発から20キロ圏内にある。
 意見書は、エネルギー政策を抜本的に見直し、太陽光など再生可能なエネルギーを「基幹エネルギー」と位置付けるとともに、新たな原発の建設計画の凍結や既存原発の計画的な運転停止を求めている。原案では「原発廃止」をうたっていたが、異論が出たため、「段階的縮小」に修正。同日の本会議では議長を除く出席議員44人中12人が「自然エネルギーは補完にしかならず、原発を一概に否定できない」などと反対した。

原発安全対策求める意見書

[中国新聞 2011/6/26]

 福島第1原発事故を受け、島根県内の市町議会で原子力発電所の安全対策の徹底や、エネルギー政策の転換を求める意見書を国や県に提出する動きが広がっている。中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の立地を踏まえ、4市町議会が意見書案を可決、2市町議会が可決見通しだ。
 島根原発の半径30キロ圏に入る雲南市の市議会は24日、同原発の安全対策の確立を国と県に求める意見書案を可決した。国の指針で原発から半径8〜10キロ圏とする「防災対策を重点的に充実すべき地域(EPZ)」の拡大を国に求めた。県には、原発の稼働にあたっては県民の十分な理解が得られるよう、「慎重な判断」を要請した。
 市は、中電との安全協定の締結を目指す。藤原政文議長は「第2弾の意見書も考えられる。電力会社と30キロ圏自治体との安全協定を義務付けることなどを盛り込み、議会の意思を国にアピールしたい」と話す。
 出雲市議会も、定例会最終日の7月4日に意見書案を提案する検討を始めた。
 島根原発から離れた県西部でも議会の意思表示は相次ぐ。25日までに原発問題に触れた意見書案を可決したのは、大田、江津両市と吉賀町の議会。津和野町議会も27日の提案を予定する。
 「事故による輸出品や観光など海外からの懸念を払拭(ふっしょく)する対策」(江津市議会)「自然エネルギー促進法の制定」(大田市議会)―などを盛り込んでいる。
 島根原発の立地する松江市議会や、県議会では、定例会の質問戦で主要なテーマになってはいるものの、現時点で意見書提出の予定はない。

「国、原発政策転換を」 江津市議会が意見書可決

[読売新聞 2011年6月25日]

 江津市議会は24日、商業用原発からの撤退を含めたエネルギー政策の転換を検討するよう国に求める「原発の安全対策及び防災対策の強化・確立を求める意見書」を可決した。
 意見書では、「県内でも島根原発周辺の活断層が懸念されており、原発に対する不信感や不安が高まっている」と指摘。国に対し、▽原発に依存する政策を転換し、商業用原発からの撤退を含め検討する▽福島第一原発の事故の原因究明を踏まえ、耐震設計審査指針を見直す▽原発の安全確保で、独立した審査・監督機関を早急に設置する、など5項目を求めた。

浜岡原発の廃炉などを求める議員提出議案が、全会一致で可決

[伊那ケーブルテレビジョン 2011/6/24放送]

 伊那市議会6月定例会が24日開かれ、現在運転を停止している浜岡原発の廃炉などを求める議員提出議案が、全会一致で可決されました。
 24日は議員提出議案として、原子力から安全で再生可能な自然エネルギーへの政策転換を国などに求める意見書が提出され全会一致で可決されました。
 意見書では、現在運転を停止している浜岡原発について、東海地震の震源域であることから廃炉とすることや、原発に依存せず安全で再生可能な自然エネルギーへの転換を図ることなどを求めています。
 また、日々の生活や産業の在り方を見直し、徹底した節電と地域資源を生かした電力の地産地消に取り組むなどとする誓いを、決議しました。
 24日は他に、市が提出した一般会計補正予算案など11議案と議員提出の6議案が可決され、閉会しました。

原子力政策の転換求める決議 取手市議会

[茨城新聞 2011年6月17日(金)]

 取手市議会の定例会は16日、本年度一般会計補正予算など7議案を可決、前年度一般会計補正予算の専決処分など4件を承認、閉会した。
 本会議では、東電福島第1原発事故に関連して国などに提出する「原子力・エネルギー政策の転換を求める意見書」「福島原発事故被害者への全面的な補償・賠償を求める意見書」などを賛成多数で可決。「空間放射線量が県内で最も高く、重大な土壌汚染報告もある。市は、教育環境の安全対策に最大限の努力を払わなければならない」とする「放射能汚染から市内の乳幼児や子どもたちの未来と健康を守るための決議」も可決した。

氷見市議会、原発の安全求め意見書可決

[北日本放送 2011年06月24日 12:48 現在]

 福島第一原子力発電所の事故を受けて、氷見市議会は24日、原子力の安全対策の強化を国に求める意見書を本会議で可決しました。
 氷見市は、石川県志賀町の北陸電力志賀原子力発電所から最も近いところで21キロの距離で、30キロ圏内には市内の3分の2の地域が含まれていることから、福島第一原発の事故を受けて、市民の間に不安が広がっています。
 このため、氷見市議会議員6人が原発の耐震安全性審査指針や原子力防災指針の見直しなどを政府や国会に求める意見書を提案し、24日の本会議で可決されました。
 意見書では、「安全対策を早急に構築し、原発の周辺住民の安全・安心を確保」するよう国に求めています。
 原発の運転再開や防災重点対策地域の拡大などには踏み込んでいません。
 氷見市議会は、来月11日に議員全員で志賀原子力発電所を視察し、今後の対応を協議する方針です。

世羅町議会が原発中止意見書

[中国新聞 2011/6/24]

 広島県世羅町議会は23日、本会議を開き、山口県上関町に計画されている上関原発をはじめ全ての原発の新設、増設計画の中止を政府に求める意見書案を可決した。
 意見書では「東日本大地震と津波により福島第1原発は大事故に至った。原発の安全性は確立していない」として、原発の新設、増設はしないよう訴えている。既存の原発については、新たな安全基準を作り、総点検の実施を求めている。

泊原発:周辺4町、国と道に停止求め意見書 プルサーマル中止も/北海道

[毎日新聞 2011年6月24日 地方版]

 東日本大震災による東京電力福島第一原発事故を受け、北海道電力泊原発(泊村)を抱える後志地方の4町議会で、国や道に対し、原発の段階的運転停止や泊原発3号機のプルサーマル計画の撤回などを求める意見書が相次いで可決された。
 余市町▽黒松内町▽仁木町▽古平町の4町議会で、意見書は各町議会で異なるが、原発からの撤退や自然エネルギーへの転換を国へ求める内容だ。倶知安町とニセコ町でも同様の意見書が提出されており、常任委員会で審議を継続、9月の定例議会で結論が出る見込み。
 余市町議会は23日、安全協定や地域防災計画の見直し▽プルサーマル発電に使用するMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料の製造申請の撤回か凍結▽将来的な廃炉に向けた段階的運転停止▽道内の放射能調査の継続▽国に対し原発推進のエネルギー政策の転換を要望――の5項目の意見書を道へ送付した。国への意見書も同封した。
 意見書を可決した4町は泊原発からは半径10〜40キロの距離にあり電力会社と安全協定などが締結されるEPZ(防災対策の重点地域)の範囲外。

余市町議会が「泊は段階停止」 プルサーマル撤回を 知事に意見書

[北海道新聞 06/23 09:46]

 【余市】後志管内余市町議会は22日、定例議会の本会議で、高橋はるみ知事に対し、北電泊原発(同管内泊村)の段階的運転停止と、同原発3号機で計画しているプルサーマル発電の撤回を求める意見書案を全会一致で可決した。意見書は、泊原発1〜3号機の将来的な廃炉に向けた段階的運転停止と、定期検査中の1号機の運転再開中止を国と北電に要請するよう知事に求めている。

原子力政策の抜本的見直しを 唐津市議会が意見書可決

[佐賀新聞 2011年6月22日]

 唐津市議会は22日、国に原子力政策の抜本的見直しを求める意見書を全会一致で可決した。玄海原発2、3号機の再稼働問題に関し、緊急安全対策後の判断について国が明確な説明を行い、全責任を負うことを求めている。
 意見書では、老朽化した原発の運転とプルサーマルの安全性の再検証や原子力防災計画・訓練の改善、分かりやすい情報公開などを求め、再生可能エネルギーを中心とする政策への早急な転換を訴えている。
 同市議会で原子力政策に関する意見書が可決されたのは2009年12月に原子力安全・保安院の独立性確保を求めて以来。このほか、震災復興に向けた補正予算の早期編成、夏場の電力需給対策、災害時の避難所となる公立学校の防災機能強化を国に求める意見書3件も可決した。
 一方、玄海原発プルサーマル裁判の会(石丸初美代表)など反原発3団体が提出していた住民説明会の開催を求める請願は「市議会特別委でも審議中で、26日には経産省から県民への説明がある」として、賛成少数で不採択になった。

伊方原発に近い八幡浜市議会は、四国電力に対して伊方原発周辺自治体と結んでいる「安全協定」に同市も加えるように求める決議を採択。

前にこのブログに書いたように、日本の原発防災マニュアルは最大で10km圏内しか避難を想定していない。しかし、こんどの事故で、20kmないし30kmあるいはそれよりも遠いところでも避難が必要になる場合がありうることが明らかとなった。当然、そうした自治体では、避難計画をつくらなければならないわけで、電力会社に対して、こうした「安全協定」締結の申し入れをする自治体が増えるだろう。

八幡浜市議会が「安全協定」要請:朝日新聞

八幡浜市議会が「安全協定」要請 四電に提出へ

[朝日新聞 2011年06月24日]

 八幡浜市議会は23日、四国電力と県、伊方町が結んでいる伊方原発(伊方町)に関する安全協定に、半径20キロ圏内に全域が入る八幡浜市も加えることを求める要請書を四電に提出することを決めた。 要請書には、「想定外」の原発事故を防ぐために抜本的な安全対策の実施を求めることなども含めている。
 また、福島の原発事故を受けて、国の防災基本計画や原子力防災指針の見直しを求める意見書を国に提出する。

複雑な動きを見せているのは、敦賀市議会。原子力発電所特別委員会では「エネルギー政策見直しの意見書」の本会議上程を決めたが、決議の内容は、<1>エネルギー政策を見直し、将来的に再生可能エネルギーに転換<2>原発の安全基準の評価、見直し<3>避難道路や避難施設の早急な整備<4>原子力安全・保安院を経済産業省から分離独立し、権限強化、を求める一方で、「廃炉や計画中止は求めていない」とも説明されており、どういう内容かいまいち不明。それでも、賛成できないという議員もいて、本会議で採択されるかどうか注目される。

原発立地、敦賀市会が“脱原発” 特別委が意見書 もんじゅ再開:福井新聞

原発立地、敦賀市会が“脱原発” 特別委が意見書

[福井新聞 2011年6月25日午前7時54分]

 福井県の敦賀市会の原子力発電所特別委は24日、「将来的に再生可能エネルギーに転換を図る」ことなどを国に求める「エネルギー政策見直しの意見書」を30日の本会議に上程すると決めた。既存の原発や、準備工事が進む日本原電敦賀3、4号機増設計画を推進する立場は変わらないとしているが、立地地域が“脱原発”を目指す意思表示となるだけに、委員外の市議からは疑問の声も出ている。
 今大地晴美議員(無所属)が提案。「事故が起きると、ほぼ市全域が半径20キロ圏内に入る」とし<1>エネルギー政策を見直し、将来的に再生可能エネルギーに転換<2>原発の安全基準の評価、見直し<3>避難道路や避難施設の早急な整備<4>原子力安全・保安院を経済産業省から分離独立し、権限強化――を国に求める内容。同特別委では、委員長を除く9人全員が上程に賛成した。
 同特別委委員長の高野新一議員は「エネルギー政策が原子力に傾き過ぎたきらいがある。ただちには無理だが、将来的には代替エネルギーも視野に入れていかねばならない」とし“ゆるやかな脱原発”であると説明。同市内に立地する日本原電敦賀1、2号機、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」や敦賀3、4号機増設計画については「廃炉や計画中止は全く求めていない。共存の姿勢は変わらない」と強調した。
 同委では、傍聴していた委員外の議員が「敦賀3、4号機増設に対する市会の考え方をきちんと整理しなければいけない。文書だけでは『増設は認めない』と受け止められかねない」と指摘。また市議の一人からは「原子力と共存している敦賀市の在り方そのものを否定する内容。文言の修正等がなければ反対せざるを得ない」と反発の声も聞かれた。
 意見書は市会最終日の30日に議員提出議案として上程され、可決されれば関係省庁に提出する。

他方、中国電力が計画中の上関原発の隣接する柳井市では、「一旦凍結」の意見書が可決されたが、中国電力社員でもある議員が退席したほか、共産党や無所属の議員3人も退席し、採決を棄権した。これは、3人が提出していた「建設中止」を求める意見書が否決されたため。

柳井「原発一旦凍結」:朝日新聞

柳井「原発一旦凍結」

[asahi.com 2011年06月25日 マイタウン山口]

◆市議会「上関中止」は否決

 柳井市議会(定数18)は24日、最終本会議を開き、原発の新設・増設の「一旦(いったん)凍結」を国などに求める意見書案を可決した。採決の際は議員4人が退席し、残った議員全員が賛成した。一方で「上関原発建設を中止」とする意見書案は否決した。
 市は上関町に隣接し、大半が上関原発の建設予定地から30キロ圏内に入る。採決の前に中電社員でもある藤沢宏司議員(政友ク)が退席。「中止」案を賛成少数(3人)で否決した。その後、東泰雄議員(共産)が「折衷案を探ることなく多数決で否決されたのは残念。『一旦凍結』案には賛成もできないが、反対もできない」と延べ、光野恵美子(同)、下土井進(無)両議員と共に退席した。残った13人(議長除く)が全員賛成し、可決した。
 閉会後、井原健太郎市長は「意見書は一つの民意の形。尊重しつつ、国のエネルギー政策見直しを注視する」と話した。採決前に退席した藤沢議員は「福島の事故の収束を見るのが先だと思う。ただ議会の意見書は全会一致が基本なので退席した」と話した。中電には「相談せず、一方的に(退席すると)言った」という。

その上関町では、原発撤回の動議が3対8で否決された。原発建設計画が明らかになってから30年もたっていて、地元では、複雑に利害関係もからみあって、一朝一夕に「撤回」とはならない。しかし、「ここで弱腰になってはいけない」とは、いったいどういう言いぐさだろう。原発の危険性を指摘したり、不安を感じたりすること自体を敵視する、こういうやり方が、東京電力のこんどの事故を招いたというのに…。

原発撤回動議否決 上関町議会、3対8で:山口新聞

原発撤回動議否決 上関町議会、3対8で

[山口新聞 2011年6月23日(木)掲載]

 上関町議会は22日の最終本会議で、原発反対派の議員から提出された上関原発計画の白紙撤回を決議するよう求める動議を賛成少数で否決した。
 動議は清水敏保氏が2氏の賛同を得て提出。内容は「東日本大震災に伴う福島第一原発の事故で国や電力会社のいう原発安全神話は完全に崩壊した。周辺の市町議会は国や県に上関原発の中止や凍結を求める意見書を可決している。上関町議会も今回の事態を重く受け止め、町民の安全・安心を第一に考えて上関原発計画を白紙撤回するよう決議を求める」とした。
 これに対し、原発推進派の議員が「30年近く原発推進の町づくりを続けてきた町民の思いを考えた場合、ここで弱腰になってはいけない」「今は福島事故の原因究明や安全対策、国のエネルギー政策の見直しを見守る時期だ」と反対意見を述べた。
 採決の結果、賛成3、反対8の賛成少数で動議は否決された。

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