音楽は「緊張と緩和」?

東フィル第64回オペラシティ定期(2011年7月6日)日フィル第632回定期演奏会(2011年7月8日)

順番が前後してしまいましたが、今週もコンサート2つ行ってきました。1つめは、東フィルの定期。5日は「古典教室」だったため、6日のオペラシティ定期に振り替えていただきました。

  • 小倉朗:管弦楽のための舞踏組曲
  • モーツァルト:ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595
  • ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op.68

指揮は大植英次氏、ピアノはジャズピアニストの小曽根真さん。

8日は日フィルの定期。プログラムは、ハイドン、ヒンデミット、リヒャルト・シュトラウスと並んで、いったい何? という感じですが、広上淳一氏が振るとなれば、何かきっとオチがあるはず…。それを期待してサントリーへ。

  • ハイドン:交響曲第60番 ハ長調 《うつけ者》
  • ヒンデミット:交響曲《画家マティス》
  • R・シュトラウス:組曲《薔薇の騎士》

東フィルの定期。期待は、ジャズピアニストの小曽根氏がモーツァルトをどんなふうに弾くのか、というところにありました。しかし、ジャズ風のカデンツァが飛び出すこともなく、かえってタッチ・ミスが気になり、う〜むな出来になってしまいました。

アンコールはビル・エバンズの How my heart sings。こちらはお見事でした。

振り替えていただいた席がステージの真横で、間近に見えたということもありますが、大植氏の指揮も、あそこまで大げさになると、少々……ねぇ〜 (ビオラの須田祥子さんが、楽しげに弾いておられる姿が堪能できたのはよかったのですが)

ということで、休憩後は、3階正面席に移動して(すんません…)、遠くからブラームスを聴かせていただきました。なかなか小気味いい演奏ですが、ただ力奏するとちょっと弦の音が雑になってしまうあたりが残念でした。

結局、この日の収穫は小倉朗の「管弦楽のための舞踏組曲」。途中で、オケ・メンバーによる手拍子やかけ声まで登場したのは、作曲年代を考えても、いささかちょっとジャポニズム趣味がすぎましたが、リズムが楽しい曲でした。

さて、日フィルの定期。

いつものように肩で風を切って登場した広上さん。ハイドン「うつけ者」は全部で6楽章の曲なんですが、4楽章? が華々しく終わったところでお客さんが拍手してしまって、思わず「まだ続きがありますから」といった感じで広上さんも後ろを振り返っておりました。で、6楽章になると、突然オケのチューニングが狂ってしまったというていで、コンサートミストレスの江口さんなどが立ち上がって、広上さんに詰め寄る小芝居なんぞも飛び出して、なかなかユーモラスな作品でした。

続いてのヒンデミットは、この日の秀逸。交響曲といいながら3楽章形式で、全体で25分程度の小振りな作品ですが、非常に輪郭のはっきりした骨太な演奏で、この間腕をあげた日フィルの弦、管のかみ合いも見事でした。ヒンデミットは僕の大好きな作曲家なので、すっかり堪能させていただきました。

最後、組曲「薔薇の騎士」については、東条碩夫氏はいささか無骨すぎて騎士が甲冑を着ているようだと書かれているとおり、確かに、少々ごつい感じはしましたが、歌なしの管弦楽曲としてはこれぐらいがっつりやった方が聴き応えがあるんじゃないかと思いました。

で、ハイドン、ヒンデミット、リヒャルト・シュトラウスという異色の取り合わせ、そのココロは? と思っていたら、友人D井氏によれば「オペラからとった管弦楽曲ということでしょう」とのこと。なるほど、おもしろいところを突いてきましたねぇ。

それにしても広上さん、後ろから見ていると、おつむの様子をふくめて、ますます亡くなった桂枝雀に似てきたような…。音楽も「緊張と緩和」が肝心なのかも知れません。(^_^;)

【演奏会情報】
◆東京フィルハーモニー交響楽団第64回オペラシティ定期演奏会
指揮:大植英次/ピアノ:小曽根真/コンサートマスター:三浦章宏/会場:東京オペラシティ・コンサートホール/開演:2011年7月6日 午後7時
◆日本フィルハーモニー交響楽団第632回定期演奏会
指揮:広上淳一/コンサートミストレス:江口有香/ソロ・チェロ:菊地知也/会場:サントリーホール/開演:2011年7月8日 午後7時

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