福島県浅川町の畜産農家が飼料として使っていた稲わらから9万7000ベクレルの放射能に汚染されていたことが判明。すでに42頭の牛が出荷されているという。
消費者の不安はもちろんだが、福島の農家こそ東京電力の原発事故の被害者だ。同時に、事故から4カ月もたつのに、政府がいまだに詳細な放射性物質の汚染実態を調査せず、後手後手になっていることにも怒りがわく。
福島県は、全県の牛の移動・出荷を当面停止する措置をとったというが、牛の飼育農家は4000軒に及ぶ。被害がこれ以上広がらないことを願いたい。
セシウム汚染の稲わら食べた牛、新たに42頭の流通判明:日本経済新聞
くり返し何度も書くが、チェルノブイリ原発事故のとき、スイスは、放射能に汚染された州では、羊を汚染されていない州へ移動させた。日本政府がそうした抜本的な対処をとらないと、これからも食品被害が広がっていくことになるのではないだろうか。
セシウム汚染の稲わら食べた牛、新たに42頭の流通判明 福島県浅川町の農家飼育
[日本経済新聞 2011/7/14 20:59]
福島県は14日、同県浅川町の肉用牛農家が高濃度の放射性セシウムを含む稲わらを肉牛に与えていたと発表した。すでに42頭が出荷され、横浜市など1都3県に流通。検出された放射性セシウムは暫定規制値を大幅に上回る最大1キログラムあたり9万7000ベクレルだった。
県によると、この農家は同県白河市の稲作農家が昨年刈り取り、屋外に保管していた稲わらを今年3月15〜20日に買い取り、飼育する肉牛に与えた。今月12日、この農家から「稲わらに放射性物質が含まれていないか心配だ」と相談があり、県が同13日に立ち入り検査をしたところ、稲わらや飼育牛の尿から規制値を超える放射性セシウムが検出された。
この農家は4月8日〜7月6日に計42頭を出荷しており、出荷頭数は横浜市14頭、東京都13頭、仙台市10頭、千葉県5頭。県によると、稲わらは矢吹町と白河市の2つの肉牛農家と、県内の乳用牛農家にも販売された。
この問題を巡っては、同県南相馬市の緊急時避難準備区域内の畜産農家が出荷した肉牛17頭から食肉の暫定規制値を超える放射性セシウムを検出。うち6頭の加工肉は少なくとも12都道府県に流通し、8都道府県で計約437キログラムが消費されたことが都の調査で判明した。
出荷元の農家がえさとして使用した稲わらからは高濃度の放射性セシウムが検出され、県は11日、県内すべての肉用牛農家を対象に、えさの管理状況などを調べる立ち入り調査を開始。計画的避難区域と緊急時避難準備区域内から出荷される肉用牛は全頭で、食肉処理時に放射性物質の有無を調べる方針を示している。
【追記】
日本共産党宮城県委員会のこの記事↓によると、宮城県でも5月に牧草から国の目安を超える放射性セシウムが検出されている。食肉の放射能汚染は福島だけの問題ですまない可能性もある。
牧草から国の目安を超える放射性セシウムが検出されたことについて宮城県原発センターが村井知事に緊急要望を行いました。- 日本共産党宮城県委員会のブログ