福島産の食用牛から放射性セシウムが見つかった問題で、政府は、福島県全域の出荷制限を検討しているという。しかし、稲わらの放射能汚染は、すでに宮城でも検出されている。
しかし、放射能汚染がみつかるたびに出荷制限をおこなっていても、問題の根本的解決にはけっしてならない。
福島県の牛 出荷制限指示を検討:NHKニュース
宮城の稲わら 目安の2.7倍:NHKニュース
なによりも、大急ぎで各地の放射能汚染の実態を詳細に調べて、どこにどれぐらいの危険があるかを明らかにしなければ、いつまでたっても、食品の放射能汚染が見つかるたびに、私たちは不意打ちを食らって、「すでに流通してしまった」「食べてしまったが、大丈夫か?」と大騒ぎを繰り返すだけ。食品の安全管理のために、抜本的な調査・対策をすすめなければいけない。
稲わらの汚染が発見された宮城県登米市、栗原市は福島原発から150km圏。これだけの範囲に放射性セシウムが広がっているとすると、相当な広範囲を調査する必要があるだろう。また、こんご稲わら→食用牛だけでなく、ほかにもさまざまな食品の汚染も起こりうるかも知れない。
また畜産農家に、稲わらを牛に食わせるか、出荷するなと言われるだけでは、農家は経営が成り立たなくなってしまう。自分でつくっていた牧草がだめとなれば、農家は他所から干し草を買うしかないが、干し草のロールは1つで50万円もするという。それで、何頭の牛がどれぐらいの時期食べてゆけるのか分からないけれど、飼料を確保するのに金がかかり、そうやって牛を育てても出荷制限をされていたのでは、畜産農家はたちまち経営的に行き詰まってしまう。
牧草を飼料に使うなというなら、国が安全な飼料を確保して農家に提供しなければならないだろう。
何度も何度も書くけれど、スイスは、チェルノブイリ原発事故のときには、汚染された州の羊を、汚染されなかった州に移動させた。それぐらいの取り組みをしなければ、今回の原発事故から食品の安全を守ることはできないと思う。東京電力の福島原発事故は、それぐらい深刻な事故だったということだ。
福島県の牛 出荷制限指示を検討
[NHKニュース 7月15日 18時9分]
福島県浅川町の肉牛農家から出荷された牛の肉から、国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたことを受けて、政府の原子力災害対策本部は、新たな検査態勢を整えるには時間を要するとして、福島県に対して県内全域の牛の出荷制限を指示する方向で検討を始めました。
福島県浅川町の肉牛農家が餌として肉牛に与えた稲わらからは、最大で国の目安のおよそ73倍に当たる放射性セシウムが検出されました。さらに、この農家から出荷された42頭の牛の一部の肉からは、国の暫定基準値を上回る1キロ当たり650ベクレルの放射性セシウムが検出されました。これを受けて福島県は、県内すべての肉牛農家を対象に、餌の管理や飼育状況について緊急の立ち入り調査を行い、この調査が終了する今月18日ごろまでは県内全域で肉牛の出荷を自粛するとしています。しかし、政府の原子力災害対策本部は、調査が終了しても新たな検査態勢を整えるには時間を要するとして、福島県に対して県内全域の牛の出荷制限を指示する方向で検討を始めました。
宮城の稲わら 目安の2.7倍
[NHKニュース 7月15日 18時41分]
宮城県は、県内の3か所で肉牛用の稲わらを調べたところ、最大で国の目安の2.7倍に当たる放射性セシウムが検出されたと正式に発表しました。これを受けて、宮城県は県内のすべての畜産農家に対し、原発事故よりあとに収穫された稲わらを与えた肉牛の出荷を自粛するよう要請しました。
福島県で肉牛に与えていた餌の稲わらから、国の目安を大幅に超える放射性セシウムが検出されたことを受けて、宮城県は登米市と栗原市の合わせて3か所で保管されている稲わらを13日に採取し、放射性物質を測定しました。その結果、登米市の稲わらから1キログラム当たり3,647ベクレルの放射性セシウムが検出されました。これは水を含んだ状態に換算すると、国の目安のおよそ2.7倍に当たります。このほか、栗原市の稲わらや登米市の別の稲わらからも、国の目安を超える放射性セシウムが検出されました。3か所のうち、放射性セシウムが検出された稲わらを肉牛に与えていたのは、最も高い値が検出された登米市の農家だけで、県によりますと、この肉牛は市場に出荷されていないということです。これを受けて、宮城県は県内のすべての畜産農家に対し、原発事故よりあとに収穫された稲わらを肉牛や乳牛に与えないこと、そして、稲わらを与えた肉牛は出荷しないように要請しました。さらに、県は県内のすべての肉牛農家を対象に、稲わらの使用状況を調べるとともに、県内産の肉牛を出荷する際は、放射性物質の測定を強化する方針です。
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