日刊「しんぶん赤旗」を読もう(3)

昨日は忙しくて書き込めなかったので、2日分の「しんぶん赤旗」について。

まず今日の「しんぶん赤旗」。1面トップは、1973年、東京電力福島第2原発をめぐって日本で初めて開かれた公聴会の時、東京電力が世論誘導の「やらせ」をやっていたと暴露している。あきれるのは、地元・楢葉町の人口が7000人しかないのに、公聴会の傍聴希望者が1万6158人もいたこと。組織的動員以外の何ものでもないだろう。そういうことを、電力会社は、最初の時からやっていたのだ。電力会社の「やらせ」体質は根深い。

3面は、原子力発電を推進するために税金から出されている原子力広報・教育予算が毎年60億円にのぼる、という特集記事。大手広告代理店の電通、博報堂や、経済産業省・文部科学省所管の財団法人・日本原子力文化振興財団(まあ、要するに、役人の天下り先外郭団体だ)が、そうした企画を請け負っているのは当然とも言いうるが、「産経新聞」がそれを請け負っているというのは、ジャーナリズム失格だろう。

6面(経済面)の「こちら経済部」は、原発問題の取材で、政府や東京電力、関係機関の取材をすすめるなかで、原発推進にかかわってきた団体の役員が、「これまで、原発事故が起こっても危険にならないと信じ、宣伝してきた。実際は宣伝どおりにはいかなかった」と語ったという話を紹介している。ていねいな取材だからこそ、引き出せた言葉なのだろうと思う。

14面(社会面)では、授業料が無償になったはずの高校で、全国2000人の高校生が授業料を徴収されているという記事が載っている。日本高等学校教職員組合(日高教)が調査して、15日、発表したもの。授業料を徴収されているのは、全日制36カ月、定時制48カ月の「標準修業年限」を超えて在学している生徒(要するに留年した生徒)や、既卒(再入学)の生徒。実際に授業料を徴収されている生徒の9割は、定時制・通信制の生徒だという。いろんな困難があって、けっして順調ではない人生を歩んでいるのだろう。一度つまずいたからといって、授業料の無償化から外すなどと「懲罰」を重ねて、はたして問題が解決するのだろうか。自治体によっては、全日制48カ月、定時制72カ月は徴集せずと決めたところもあるという。必要な予算は20億円。原発広報予算をけずれば、すぐに片づく問題ではないか。ひぜ教育的配慮を願いたい。

次いで、昨日7/15付の紙面。

いちばんおもしろかったのは、国際面の「イタリア 電力自給の街、急増」という記事。先日、国民投票で、ベルルスコーニ政権の原発再導入をストップさせたイタリアだが、その背景には、再生可能エネルギーの導入をすすめる市町村が全自治体の94%にも上っているという、国民的バックグラウンドがあったことを紹介している。

イタリアの自治体は、どこかの国の「○○の大合併」みたいに国にいわれてやすやすと合併してしまうようなやわな末端行政組織ではないので、いまだに人口3000人とか2000人とかのこじんまりした自治体も多いのだが、それでも全自治体の94%というのはすごい。すでに再生可能エネルギーだけで消費量を上回る規模の発電をしている自治体も964自治体に及んでいる。

きっかけは、EU(ヨーロッパ連合)での動き。2007年の新エネルギー・気候変動統合政策のなかで、2020年までに差異性エネルギーの割合を20%にするという目標を決め、2009年には「EU指令」で、イタリアの導入目標が17%と決められたこと。紹介されている資料をみると、こうした動きに合わせて、再生可能エネルギーの発電施設をもつ自治体数は、5年前の356から、5年間で7661にまで増えたというのだから、政府が本気で再生可能エネルギーの開発・利用に舵を切れば、どれだけ大きな仕事が短期間にできるか、ということがわかるだろう。

8面(経済面)の「電源3法 自治体を原発に縛る」は、原発立地自治体を推進側に縛り付けてきた「仕掛け」を暴露している。電源3法というのは、<1>電源開発促進税法、<2>特別会計に関する法律、<3>発電用施設周辺地域整備法の3つ。この記事がわかりやすかったのは、「電源3法交付金の推移」というグラフがついていること。原発立地を決めると、どんなふうに地元自治体に「税金」が交付されるかを試算したものだが、135万キロワットの原発で、着工すると74.5億円、翌年には77.5億円の交付金が出されるが、10年目に運転が始まると16.7億円に急減する。さらに、先日、不破さんが原発講義で指摘したように16年たつと減価償却が完了し、原発からの固定資産税がゼロになる。だから、一度原発の立地を認めると、次から次へ原発増設を受け入れていかなければ、地元自治体は「カネが続かない」状態に追い込まれるわけだ。

3面の特集は、九州電力の「やらせメール」問題。実は、7月4日、鹿児島県議会で共産党の松崎真琴県議が「やらせメール」を問いただしたとき、中村明・原子力発電本部部長(当時)は「そういうことは一切ない」と回答。さらに「やらせメール」が発覚したあとの11日には、この中村部長は、「事実関係を調査した結果、そういう要請をしていたという事実があった」と回答していた。当事者でありながら、知らぬ存ぜぬを決め込み、「やらせメール」が明らかになっても、まるで自分は関係ないかのような態度をとり続けたわけだ。

実際、九州電力の報告書を見ると、「部下(課長級社員)に番組周知を指示することが、協力会社や当社原子力部門社員等に対し、賛意の投稿を要請する行為につながり、説明番組に影響を与えることを全く認識していなかった」と、責任を全面的に課長級職員に押しつけている。この中村明氏は、株主総会後、九州電力原子力発電本部の副本部長に昇格しており、いまのところそのまま居座っている。

九州電力 「経済産業省主催の県民説明番組への意見投稿呼びかけ」に関する事実関係と今後の対応(再発防止策)について

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