先週の水曜日、オペラシティで、飯守泰次郎氏による、東京シティフィル「ベートーヴェン交響曲全曲シリーズ」の最終回を聴いてきました。当初は3月17日に予定されていましたが、東日本大震災のために延期されていたものです。
- ベートーヴェン:「コリオラン」序曲 op.62
- ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 op.36
- ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 op.67
会場に着くと、ちょうど飯守泰次郎氏がプレトークをやっている最後のあたりでした。第5番のエンディングについて、飯守氏がピアノを弾きながら、「こうやってもう終わるかと思うと、またこうやって……」「さらにこう続いて……、なかなか終わりそうで終わらない」と、5番も終わらないけれども、飯守さんのプレトークもこりゃ終わらんぞと思わせるような大熱弁をふるっておられました。(^_^;)
オケは、このシリーズでは一貫してコントラバスをステージの一番後ろに横に並べるスタイル。これは、ウィーンフィルが楽友協会大ホールのニューイヤーコンサートなどで見せるスタイルですが、今回のベートーヴェン・チクルスで、どうして飯守さんがこのスタイルを選んだのかは、ついに説明を聞けませんでした。残念。
1曲目、「コリオラン」序曲は14-12-10-8-7。なかなか低音を響かせた渋い演奏なんですが、ちょっと弦が濁るというか、荒っぽい感じ。最後はやや尻切れトンボな感じでした。
2曲目は12―10-8-6-6と編成を小さくして、軽めの演奏。しかし、やはり力奏すると弦の響きが濁る感じになるのが残念でした。
後半、5番は、やはり低音がよく響く、最近ではやや珍しい重厚なスタイル。とはいえ、テンポはけっして遅くなく、メリハリのよく聴いた演奏でした。前半2曲に較べると、かなり弦もがんばったという感じで、最後盛り上げていってもそれほど音が濁る感じはしませんでした。また、弦の重低音を響かせる一方で、管楽器の音も表にぐっと浮かび上がってくる感じで、ホルンやトランペットが健闘していました。個人的には、最後のピッコロにはもっと響いてほしかったのですが、しかし、重厚でしかもテンポのいい演奏には私も大いに引き込まれました。
このベートーヴェン交響曲全曲シリーズは、かなり期待して聴いたのですが、途中から、なんだか行け行けどんどんみたいな演奏で、ちょいとへこんでいたのですが、最終回は弦の練度もかなりよくなり、完成度の高い演奏になったのではないでしょうか。終わったあとは飯守さんと東京シティフィルに大きな歓声が贈られていました。
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【演奏会情報】 東京シティフィル第247回定期演奏会
指揮:飯守泰次郎/コンサートマスター:戸澤哲夫/会場:東京オペラシティ コンサートホール/開演:2011年7月13日 午後7時