東京電力福島第一原発の1号機の格納容器内の放射性物質の濃度が、東京電力の想定の1000分の1しかなかったことがわかったという。
では、1000分の999はどこへいったのか? 大気中に放出されたか、汚染水に混じって流れ出してしまったか。あるいは、もしかすると、幸いなことにも、圧力容器から格納容器内に漏れ出した放射性物質の量が東京電力の想定よりもかなり少ないのかも知れない。
いずれにしても、炉心の状態について、東京電力の想定が正しくないことだけは明らかで、できるだけ早く正確につかむことが事故収束には不可欠だ。
福島1号機格納容器内の放射性濃度、推定下回る 東電測定:日本経済新聞
【放射能漏れ】格納容器内の濃度「想定の1000分の1」 福島第1原発1号機測定:MSN産経ニュース
【原発】格納容器内の放射性物質濃度、想定以下:テレビ朝日
福島1号機格納容器内の放射性濃度、推定下回る 東電測定
[日本経済新聞 2011/7/30 13:21]
東京電力は30日、福島第1原子力発電所1号機で原子炉格納容器の放射性物質濃度を測定したと発表した。内部の気体を取り出して分析したところ、放射性セシウムの濃度が推定を大きく下回り、1000分の1程度にとどまった。汚染水に溶け込んで原子炉建屋などへ流れた恐れがある。浄化処理で取り除く放射性物質が増えたり、周囲に汚染を広げたりすることが懸念される。
格納容器内の気体1立方センチメートルが含む放射性セシウム濃度は約20ベクレルだった。東電は、原子炉圧力容器が傷んだとみられることから、外側の格納容器で数万ベクレル以上に達していると推定していた。
気体中に無ければ、汚染水に混ざっていると考えることができる。セシウムを含む気体が建屋に出た可能性もある。
東電は30日の会見で「この濃度だけでは(圧力容器の損傷度合いなど)原子炉内の状況は分からない」と説明した。
福島第1原発は放射性物質の飛散を防ぎ、原子炉を安定して冷やす作業に取り組む一方で、原子炉の詳しい状況はなお把握できないままだ。8月上旬には2号機の格納容器も調べる。
1号機は炉心溶融(メルトダウン)が疑われ、核燃料が圧力容器から格納容器に漏れたとみられている。通常運転時と比べて原子炉内の様子が大きく違うほど事故収束に向けた作業が難しくなる。
格納容器内の濃度「想定の1000分の1」 福島第1原発1号機測定
[MSN産経ニュース 2011.7.30 13:03]
東京電力は30日、福島第1原発1号機の原子炉格納容器内の気体を調査した結果、1立方センチ当たり約37ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。東電が当初最低ラインとして想定していた1000分の1程度の低い値だった。格納容器内の放射性物質の濃度を測定したのは、1〜3号機を通じて今回が初めて。ただし、あまりに値が低いため、東電は「この値をもって何かを評価するのは難しい」としている。
調査は29日に実施。格納容器内の気体約25立方センチを取り出して測定した。当初は測定器の検出最低値を4万ベクレルに設定して調べたが検出できず、設定値を下げて再検査したところ、予想よりも大幅に低い値が検出された。原子炉建屋内の濃度と比べると約1000倍という。
東電によると、<1>核燃料がある圧力容器から漏れだしている放射性物質が減っている<2>セシウムは水溶性のため、汚染水となっている<3>水素爆発防止のために注入している窒素により外に押し出されている――などが考えられるという。
8月には2号機の格納容器内の調査を予定。1号機についても今後、再び時間をおいて調査するという。
【原発】格納容器内の放射性物質濃度、想定以下
[ANNニュース 07/30 13:56]
福島第一原発1号機の格納容器内の気体に含まれる放射性物質の濃度が、原子炉建屋内の空気中の濃度と同じレベルであることが分かりました。
東京電力は29日、格納容器の内部とつながる配管を使って内部の気体の成分を分析しました。その結果、放射性セシウム137は1立方センチあたり20ベクレル、セシウム134は17ベクレルでした。これは想定していた濃度の1000分の1程度の低い値で、原子炉建屋内の空気中の濃度とほぼ同じだということです。東京電力は「放射性物質が水に溶け込んで、たまり水などに流出している可能性もある」とみて引き続き分析を進めることにしています。