7・28衆院厚生労働委 児玉龍彦東大教授 怒る!!

本日の東京新聞「こちら特報部」で紹介されていた、東大の児玉龍彦教授の、先月27日の衆議院・厚生労働委員会での参考人発言は、衆議院TVから動画で見ることができます。

私もさっそく見てみましたが、もうほんとに怒り爆発!! という感じ。しかし、それは真剣だからこそ。いまの政府に、これだけの真剣さがあれば、少しは状況も違っていたのでは、と思ってしまいます。

2011年7月28日 厚生労働委員会:衆議院TV

児玉龍彦氏は、こんな先生↓。

研究者プロフィール | 東京大学 先端科学技術研究センター

で、インターネットを探してみたら、全文起こしをしている方がいらっしゃいました。

私が現在やっているのは、すべて法律違反です!|chihointokyoの毒皿ブログ

私は、東京大学アイソトープ総合センター長の児玉ですが、3月15日に大変に驚愕いたしました。

私ども東京大学には27箇所のアイソトープセンターがあり、放射線の防護と、その除染などの責任を負っております。

それで、私自身は内科の医者でして、東大病院の放射線施設の除染などに、数十年関わっております。

で、3月15日に、まずここの図にちょっと書いてあるんですが、我々まず最初に午前9時ごろ、東海村で5マイクロシーベルト(μSv/h)という線量を経験しまして、それを第10条通報として文科省に直ちに通報いたしました。

その後、東京で0.5μSvを超える線量が検出されました。これは一過性に下がりまして、次に3月21日に東京で雨が降り0.2μSv等の線量が降下し、これが今日に至るまでの高い線量の原因になっていると思われます。

それで、この時に、枝野官房長官が、差し当たり健康にあまり問題はないということをおっしゃいましたが、私はその時に、これは実際に大変なことになると思いました。なぜかというと、現行の放射線の障害防止法というのは、高い線量の放射性物質が少しあるものを処理することを前提にしています。

この時は総量はあまり問題ではなくて、個々の濃度が問題になります。

ところが、今回の福島原発の事故というのは100km圏で5マイクロシーベルト(μSv/h)、200km圏で0.5μSv、さらにそれを超えて足柄から静岡のお茶まで及んでいることは、今日みなさんすべてがご存知のとおりであります。

我々が放射線障害を見るときには、総量を見ます。それでは東京電力と政府は、一体今回の福島原発の総量がどれくらいであるか、はっきりした報告は全くされておりません。

そこで、私どものアイソトープセンターの色々な知識を元に計算してみますと、まず、熱量からの計算では広島原爆の29.6個分に相当するものが漏出しております。ウラン換算では、20個分のものが漏出していると考えられます。

さらに恐るべきことには、これまでの治験で、原爆による放射線の残存量と、原発から放出されたものの放射線の残存量とでは、1年経って、原爆が1000分の1程度に低下するのに対して、原発からの放射線汚染物は10分の1程度にしかならない。

つまり、今回の福島原発の問題はチェルノブイリと同様、原爆数十個分に相当する量、と、原爆汚染よりもずっと多量の残存物を放出したということになるのが、まず考える前提になります。

そうしますと、我々システム生物学という、システム的に物を見るやり方をやっているんですが、現行の総量が少ない場合は、ある人にかかる濃度だけを見ればいいです。

しかしながら、総量が非常に膨大にありますと、これは粒子です。粒子の拡散といいますと、これは非線形という科学になりまして、我々の流体力学の計算でも最も難しい事になりますが、核燃料というのは、要するに、砂粒みたいなものが合成樹脂のようなものの中に埋め込まれております。

これがメルトダウンして放出するとなると、細かい粒子がたくさん放出されるようになります。そうしたことが起こる様になると、どういう問題が出てくるかというと、今回の稲わらの問題であります。

例えば、岩手の藤原町では稲わら5万7千ベクレル/kg、宮城県の大崎1万7千Bq/kg、南相馬市10万6千Bq/kg、白河市9万7千Bq/kg、岩手6万4千Bq/kgで、この数値というものは決して同心円状にはいかない。

どこでどう落ちているかは、その時の天候、そしてその物質が例えば水を吸い上げたかどうか、それで、今回の場合も、私、南相馬へ毎週、700km行って、東大のアイソトープセンターで、現在までに7回の除染をやっておりますが、南相馬に最初行ったときには、1台のNaIカウンターしかありません。

農林省が通達を出したという3月19日には、食糧も水も、ガソリンも尽きようとして、南相馬市長が痛切な訴えをWebに流したのが、広く知られているところであります。

このような中で、通達一枚出しても、誰も見ることができないし、誰も知ることができません。稲わらがそのような危険な状態にあるということは、全く農家は認識されていない。

農家は、飼料を外国から買って何十万という負担をおって、更に、牛にやる水は実際に自分たちと同じ地下水をを与えるように、その日から変えています。

そうすると、我々が見ると、何をやらなければいけないのかというと、まず、汚染地で徹底した測定ができるようにするということを保証しなくてはいけません。

我々が5月下旬に行ったときには先ほど申し上げたように、1台しか南相馬になかったというけれど、実際には米軍から20台の個人線量計が来ていました。しかしその英文の解説書を市役所の教育委員会ではわからなくて、我々行って教えてあげて、実際に使い出して初めて20個の測定ができるようになった。これが現地の状況です。

そして、先ほどから食品検査と言われてますが、ゲルマニウムカウンターというのでなしに、今日ではもっとイメージングベースの測定器というのが遥かにたくさん半導体で開発されています。

なぜ政府はそれを全面的に運用してやろうとして全国に作るためにお金を使わないのか!3か月経ってそのようなことが全く行われていないことに、私は満身の怒りを表明します!

第2番目です。私の専門は、いわゆる、小渕総理の時から、内閣府の抗体医薬品の責任者でして、今日では最先端研究支援というので、30億円をかけて、抗体医薬品にアイソトープを付けて、ガンの治療にやる、すなわち人間のからだの中にアイソトープを打ち込むということが私の仕事ですから、内部被ばく問題に関して、一番に必死に研究しております。

そこで、内部被ばくがどのように起きるかかという問題を説明させて頂きます。内部被ばくというのの一番大きい問題はガンです。

癌がなぜ起こるかというと、DNAの切断を行います。但し、ご存知の通り、DNAというのは二重螺旋(らせん)ですから、二重螺旋のときには非常に安定的です。

これが細胞分裂をするときは、二重螺旋が1本になって、2倍になり、4本になります。この過程の所が、ものすごく危険です。

そのために、妊婦の胎児、幼い子ども、それから成長期の増殖の盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常な危険をもちます。

更に、大人においても、増殖の盛んな細胞、例えば放射性物質を与えると、髪の毛、それから貧血、それから腸管上皮等、これらはいずれも増殖分裂の盛んな細胞でして、そういうところが放射線障害のイロハになります。

それで、私どもが内部に与えた場合に具体的に起こるので知っている事例をあげます。

これは、実際には、ひとつの遺伝子の変異では、ガンは起こりません。

最初の放射線のヒットの起こった後に、もう一個の別の要因でガンの変異が起こるということ、これはドライバーミューテイションとか、パッセンジャーミューテイションとか細かいことになりますが、それは参考の文献は後ろに付けてありますので、後でチェルノブイリの場合やセシウムの場合をあげてありますので、それを見頂きますが、まず一番有名なのは、アルファ(α)線です。

プルトニウムを飲んでも大丈夫という東大教授がいるというのを聞いて、私びっくりしましたが、α線は最も危険な物質であります。

それは、トロトラスト肝障害ということで、私ども肝臓医はすごくよく知っております。要するに、内部被ばくというのは先ほどから一般的に何ミリシーベルトというような形で言われておりますが、そういうものは全く意味がありません。

I131は甲状腺に集まります。トロトラストは肝臓に集まります。セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。これらの体内の集積点を見なければ、全身をいくらホールボディスキャンやっても全く意味がありません。

トロトラストの場合の、これはちょっと小さい数字なんで、あとで大きいものを見て欲しいんですが、これは、トロトラストというのは実際には造影剤でして、1890年からドイツで用いられ、1930年頃から日本でも用いられましたが、その後、20〜30年経つと、肝臓がんが25%から30%に起こるということがわかってまいりました。

最初のが出てくるまで20年というのが何故かというと、最初に、このトロトラストはα線核種なんですが、α線は近隣の細胞を傷害します。その時に一番やられるのは、P53という遺伝子です。

我々は今、ゲノム科学というので、人の遺伝子の配列を全部知っていますが、ひとりの人間と別の人間は、大体300万箇所違います。ですから、人間を同じとしてやるような処置は今日では全く意味がありません。

所謂、パースナライズド・メディスンといわれるやり方で、放射線の内部障害を見るよりも、どの遺伝子がやられて、どういうふうな変化が起こっているかを観ることが、原則的な考え方として大事です。

トロトラストの場合は、第一段階ではP53という遺伝子がやられて、それに続けて第二、第三の変異が起こるのが、20年から30年かかり、そこで肝臓がんや白血病が起こってくるということが、証明されております。

次に、ヨウ素131(I131)。これは、ご存知のとおり甲状腺に集まりますが、甲状腺への集積は、成長期の甲状腺形成期が最も特徴的であり、小児に起こります。

しかしながら1991年に、最初ウクライナの学者が、甲状腺ガンが多発しているというときに、日本やアメリカの科学者は、[科学雑誌]ネイチャーに、「これは因果関係がわからない」ということを投稿しております。

なぜそう言ったかというと、1986年以前のデータが無いから、統計学的に有為だと言えないということです。しかし、統計学的に有為だということがわかったのは、先ほども長瀧先生からお話がありましたが、20年後です。

20年後に何がわかったかというと、86年から起こってきたピークが消えたために、これは過去のデータがなくても因果関係がある、ということがエビデンスになった。

所謂、ですから、疫学的な証明というのは、非常に難しくて、全部の事例が終わるまで、大体証明できないです。

ですから、今我々に求められている、子どもを守るという観点からは、全く違った方法が求められます。

そこで、今行われているのは、ここには、国立のバイオアッセイ研究センターという 化学物質の効果を観る福島昭治先生という方が、ずーっとチェルノブイリの尿路系に集まるものを検討されています。

福島先生たちが、ウクライナの医師と相談し、集めて、500例以上の、前立腺肥大のときに手術をしますと、膀胱もとれてきます。これを見まして検査したところ、高濃度汚染地区、尿中に6ベクレル/Lという、微量ですが、その地域ではP53の変異が非常に増えていて、しかも、その増殖性の前癌状態、我々から見ますと、P38というマップキアーゼと、それからNFカッパBというシグナルが、活性化されているんですが、それによる増殖性の膀胱炎というのが必発でありまして、かなりの率に、もう、上皮内のガンが出来ているということが報告されております。

この量に愕然といたしましたのは、福島の母親の母乳から2から13ベクレル、7名で検出されているということが既に報告されていることであります。(次のページお願いします。)

我々アイソトープ総合センターでは、現在まで、毎週700km、大体一回4人ずつの所員を派遣しまして、南相馬市の除染に協力しております。

南相馬でも起こっていることは全くそうでして、20キロ、30キロという分け方が全然意味がなくて、その幼稚園ごとに細かく計っていかないと、全然ダメです。

それで現在20キロから30キロ圏にバスをたてて1700人の子どもが、(学校に)行っていますが、実際には、南相馬で中心地区は海側で、学校の7割は比較的線量が低いです。

ところが、30キロ以遠の飯館村に近い方の学校に、毎日スクールバスで100万円かけて、子どもが強制的に移動させられています。

このような事態は一刻も早くやめさせてください!

今、いちばんのその障害になっているのは、強制避難でないと補償しない、と、参議院のこの前の委員会で、当時の東電の清水社長と海江田経済産業大臣がそういう答弁を行っておりますが、これは分けてください!

補償問題、この線引きの問題、と、子どもの問題は直ちに分けて下さい。

子どもを守るために全力を尽くすことをぜひお願いします。

それから、もうひとつは、現地でやっていますと、除染というのは、緊急避難的除染と、恒久的除染とをはっきり分けて考えて頂きたい。

緊急避難的除染を我々もかなりやっております。たとえば、この図表に出ております、この滑り台の下。滑り台の下はちっちゃい子が手をつくところですが、この滑り台に雨水がざっと流れてきますと、毎回濃縮します。

右側と左側とズレがあって、片側に集まっていますと、平均線量1μのところだと、10μ以上の線量が出てきます。それで、こういうところの除染は緊急にどんどんやらなくてはいけません。

それから、こういう様々な苔が生えているような雨どいの下。これも実際に子どもが手をついたりしているところなんですが、そういう所は例えば、高圧洗浄機を持って行って、苔を払うと、2μSvが0.5μSvにまでなります。

だけれども、0.5μSv以下にするのは非常?に難しいです。それは、建物すべて、樹木全て、地域全てが汚染されていますと、空間線量として一か所だけを洗っても全体をやる事は非常に難しいです。

ですから、除染を本当にやるというときに、一体どれくらいの問題がかかり、どれくらいのコストがかかるかということを、イタイイタイ病の一例であげますと、カドミウム汚染地域、大体3000ヘクタールなんですが、そのうち1500ヘクタールまで、現在、除染の国費が8000億円投入されています。

もしこの1000倍ということになれば、一体どれほどの国費の投入が必要になるのか。

ですから、私は4つのことを緊急に提案したいと思います。

第一番めに、国策として、食品、土壌、水を、日本が持っている最新鋭のイメージングなんかを用いて、もう半導体のイメージ化なんか簡単で、イメージ化にして流れ作業にして、シャットしていってやるということでの、最新鋭の機器を投入して抜本的に改善してください。

これは今の日本の科学技術力で全く可能です。

二番め。緊急に子どもの被ばくを減少させるために、新しい法律を制定してください。

私が現在やっているのは、すべて法律違反です。現在の障害防止法では、各施設で扱える放射線量、核種などは決められています。東大の27のいろんなセンターなどを動員して現在、南相馬などの支援を行っていますが、多くの施設はセシウムの使用権限(??)など得ておりません。

車で運搬するのも違反です。しかしながら、お母さんや先生たちに高線量のものを渡してくるわけにはいきませんから、今の東大の除染ではすべての物をドラム缶に詰めて東京に持って帰っております。

受入れも法律違反。すべて法律違反です。

このような状態を放置しているのは国会の責任であります。全国には、たとえば国立大学のアイソトープセンターというのは、ゲルマニウムをはじめ、最新鋭の機種を持っているところが沢山あります。

そういうところが手足を縛られたままで、どうやって国民の総力をあげて子どもが守れるでしょうか。

これは国会の完全なる怠慢であります!!

第三番め。国策として土壌汚染を除染する技術を民間の力を結集してください。これは、例えば東レだとかクリタだとか、様々な化学メーカー、千代田テクノルだとか、アトックスのような放射線除去メーカー、それから竹中工務店のような様々なところは放射線の除染などに対して様々なノウハウを持っています。

こういうものを結集して現地に直ちに除染研究センターを作って、実際にに何十兆円という国費がかかるかだの、今だと利権絡みの公共事業になりかねない危惧を私すごく持っております。

国の財政事情を考えたらそんな余裕は一瞬もありません。

どうやって除染を本当にやるか、7万人の人が自宅を離れて彷徨っているときに国会はいったい何をやっているのですか[激怒]!

以上です。

児玉氏の発言を聞いて、僕が大事だと思ったのは、「現行の放射線の障害防止法は、高い線量の放射性物質が少しあるものを処理することを前提にしている」という指摘。高い線量を出しているかもしれないけれど、放射性物質そのものが少量であれば、それこそ除染をきちんとやればとりあえず安全を回復できます。

しかし、大量の放射性物質が環境中に放出されると、児玉先生が指摘されたとおり、一箇所一箇所の除染はできても、地域全体を除染するということはほとんど不可能。高圧洗浄機で水をかければ、かなりの部分は除染できるでしょうが、そうやって流れていった土、埃、泥のなかには放射性物質が残ったまま。それが、最終的には、下水処理場の汚泥に集まって、処理不能な高線量になって、全国各地で大問題になっているわけです。

だから、ほんとに児玉氏が指摘するように、国の総力を挙げて、どうやって除染を実現するのか、真剣に取り組まなければならないということがわかります。

こちら↓は、児玉先生が当日配った資料のようです。

児玉龍彦国会発表詳細

さて、国会の場で堂々と「自分たちのやっていることはすべて法律違反」と言ってのけた児玉先生。監督官庁は、いったいどうするんでしょうか?

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