口の挟みようはいくらでもあると思うのですが…

京都の夏の伝統行事、五山の送り火で、陸前高田の人たちが震災で被害を受けた木を、慰霊や復興の気持ちを込めて薪にしたものを「放射能の危険がある」という理由で拒否した問題で、京都市長は「市がこうしなさいああしなさいとはいっさい言えない」と言っているが、ああしなさい、こうしなさいとは言えなくても、京都市として口の挟みようはいくらでもあるのではないだろうか。

京都市も口挟めない大文字焼き「陸前高田の薪燃さない」 1/2 : J-CASTテレビウォッチ

その1つは、京都市が毎年、京都五山送り火協賛会にたいして、点火執行の経費への補助として930万円を出していること。一部の意見で勝手に運営されるような組織に、はたして市が補助金を出すことが適切なのかどうか、よく再検討してみたらよいのではないだろうか。

2つめ。実は京都市は「京都五山送り火連合会」の事務局をやっている。この際だから、事務局も自分たちでやってもらえばいいのではないだろうか。(こちらを参照→被災地薪の送り火中止、京都市が謝罪…苦情千件:読売新聞

3つめ。当日、点火執行にあたっては京都市の消防署も協力をする。こういうのも、見直してもいいのでは?

市長も、本気であればもっといろいろ知恵もでるはず。他人事のように「きわめて残念」とか「市に決定権はありません」と言ってる場合ではないだろう。

京都市も口挟めない大文字焼き「陸前高田の薪燃さない」

[J-CAST 2011/8/ 9 16:11]

市長は「市も口出しできません」

放射能汚染を気にして、岩手県陸前高田の景勝地「高田松原」のなぎ倒された松の使用を止めた京都の五山の送り火。「モーニングバード」は続報で、なぜ止めたのかと門川大作・京都市長を直撃した。

「大文字保存会」が決定

京都市長が困惑気味に話す。
「こういう決定をしたことは極めて残念。でも、こういう祭りや伝統行事は主催者側の意思を尊重しなければならない。市に決定権はまったくありません。何百年も続いている行事は、市がこうしなさいああしなさいとはいっさい言えない」
市には使用を止めたことへの非難の電話やメールが全国から300件以上も寄せられたという。が、市側は決めたのは主催者である大文字保存会、市は関知できないことを強調する。
では、大文字保存会は来週16日(2011年8月)の「五山の送り火」を前にどう答えるか――。
松原公太郎理事長は顔をしかめ、「保存会の会員のなかで不安があるという意見があったので断念した。ともあれ、そんなことより明日からのことに全力を挙げたいと思います」と早く忘れてくれといわんばかり。

京都市の補助金一覧はこちら↓。(PDFファイルが開きます)

京都市「補助金等の交付状況一覧」(2009年度決算)

67番に「大文字五山送り火点火執行に対する補助金」として「京都五山送り火協賛会」に930万円の補助金が出されていることが記されている。

被災地薪の送り火中止、京都市が謝罪…苦情千件

[2011年8月9日21時32分 読売新聞]

 東日本大震災の津波に遭った岩手県陸前高田市の松で作った薪(まき)を「京都五山送り火」(16日)で燃やす計画が中止された問題で、京都五山送り火連合会の事務局でもある京都市は、9日の市議会で「被災された方々や京都市民、京都ファンのみなさんにおわびする」と謝罪した。
 市や、中止を決めた大文字保存会に寄せられた意見は9日午後5時までに約970件に達した。
 同市によると、約970件の意見は「批判的なものが9割9分」という。「京都は被災者の気持ちを踏みにじった」などの批判や抗議に加え、「風評被害を助長するような声に、放射性物質の検査をしながらなぜ屈したのか」といった過剰反応を疑問視する声もあった。京都府庁にも9日午後5時までに、127件の意見が寄せられた。大半は批判の声だった。

しかし、東海テレビの「セシウムさん」には抗議電話が1万件を超えたというのに、京都市には1000件程度というのは、ちょっと意外。

東海テレビに抗議・苦情1万件超 セシウムさん問題:朝日新聞
東海テレビ、スポンサー次々降板 不適切テロップ問題:朝日新聞

東海テレビに抗議・苦情1万件超 セシウムさん問題

[asahi.com 2011年8月7日21時9分]

 東海テレビ(名古屋市)が4日放送の情報番組「ぴーかんテレビ」で、岩手県産米のプレゼント当選者を「怪しいお米 セシウムさん」などとするテロップを流した問題で、同局に寄せられた抗議や苦情の電話とメールが1万件を超えた。同局が7日明らかにした。
 一方、農協系金融機関の農林中央金庫は「放送内容が不適切だ」(広報)として、同局でのCM提供を取りやめた。7日夕の「サザエさん」の東海3県向けのCMを中止し、ACジャパンの公共広告に差し替えた。ほかの提供番組への対応についても、8日以降に検討する。
 同局によると、抗議や苦情はホームページの「ご意見・ご感想」窓口を経由したメールが大半で、4日が約3千件、5日が約4500件。6日と7日は計約2500件に上った。電話は4、5日に約500件ずつあるなど計約1300件。被災地の岩手、福島両県などからの抗議が多く、関係者の処分を尋ねるものもあるという。

東海テレビ、スポンサー次々降板 不適切テロップ問題

[asahi.com 2011年8月9日7時0分]

 東海テレビ(名古屋市)が情報番組「ぴーかんテレビ」で、岩手県産米のプレゼント当選者を「怪しいお米 セシウムさん」などとするテロップを流した問題で、同番組を提供するスポンサー企業の降板が相次いでいることが分かった。
 「ぴーかんテレビ」は月曜〜金曜の放送。東海テレビは問題発覚翌日の5日から番組を休止し、代わりにアニメ番組を放送中。スポンサー各社には引き続きCM提供のお願いなどをしているが、風当たりは強い。
 金曜のスポンサーだった子供服メーカーのミキハウス(大阪府八尾市)は、番組提供の打ち切りを決めた。「不適切な番組であり、抗議の意思を示す」としている。
 製パン大手のフジパングループ本社(名古屋市)も火曜と金曜のスポンサーを降板した。消費者から「提供を続けるのか」など問い合わせや苦情が約50件寄せられ、企業イメージの悪化につながると判断した。「たとえ番組が再開しても、うちが提供するのは困難だろう」(広告担当)と話す。

こうなると、「お宅は、それでも五山の送り火を後援しはるんどすか?」とあっちこっちに言ってみるのもいいかも知れない。

もともと、京都のの人は、外から観光で来るお客さんには愛想がいいけど、一皮むくと、自分たちは王城の地にすむ人間で、お前ら田舎もんとは違うと回りを見下すところがある(けっして全部の京都人ではないが)。京都のお宅へ伺うのに、駅ビルで手土産を買って行ったりすると、「いやあ、今日は珍しいもんをもろて。うちはいつも○○のんしか買わしまへんから」などと慇懃無礼なお言葉を頂戴することがある(その割には、京都の景観をぶちこわすタワーや巨大駅ビルを建てるし、観光地に行くと観光土産に奇妙なバッタもんを売っていて、京都の「伝統」も実にいい加減なものだが)。

「送り火保存会」にしてみれば、抗議は1000人、観光客は10万人、「なんか文句おますか?」というところなのかも知れない。

ところで、こちらは、今回のプロジェクトをすすめた陸前高田「松原プロジェクト」のブログ。

大文字送り火に陸前高田の松原ープロジェクト

あらためて、心ない一部の人たちの言動で、こうしたプロジェクトがとんでもない苦労を強いられることになったことが残念でならない。

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