日刊「しんぶん赤旗」を読もう(6)

今日の「しんぶん赤旗」でおもしろかった記事。

  • 今日から始まった新連載「シリーズ原発の深層」の第1部「原発マネー」。
  • 国際面「欧州の富豪ら主張 ”増税なら、われわれに”」。

まず、「原発マネー」の連載から。

関西電力大飯原発がある福島県おおい町。実は、同町に1986年に5億円の寄付があった。それいらい長年巨額の寄付金が流れ込んでいるというのです。町当局は、この5億円で基金をつくり、町内各地区に年間最大で180万円を配布。集落のお祭りや旅行、清掃などに使われています。もちろん、出所は不明です。

また、現在はおおい町に合併した旧名田庄村では、関西電力の揚水発電所の話が持ち上がったことがありました。計画は、2005年に立ち消えとなったのですが、すると、関電が「迷惑料」として1億5000万円の現金を支払うと申し出たそうです。ただし、条件は「寄付金」として出所を公表しないこと。

美浜原発のある美浜町では、2006年度一般会計に12億3000万円、2007年度は10億2000万円の寄付金が「匿名」であったといいます。

おおい町は、昨年10月の人口が8,582人。2005年の旧大飯町の人口は6,470人。5億円を6,470人で割ると人口1人あたり8万円近く。同じく旧名田庄村の人口は2,747人。1億5,000万円を割ると約5万5,000円。さらに、美浜町の人口は、23,534人(2011年7月末現在)なので、2年度分合わせると人口1人当たり約9万5000円という計算になります。なまはんかな金額ではありません。

これらの「原発マネー」も、もとをたどれば、私たちが払っている電気料金。電力会社は、消費者に高い電気代を押しつけておいて、その金でこんなことをやっていたのです。今後の連載に期待したいと思います。

次は国際面の記事。

ヨーロッパやアメリカでは、資産家、大富豪自身が、資産家への課税を求める意見をあいついで表明しているそうです。

ドイツでは、富豪50人のグループ「富豪層に資本課税を」が、29日、メルケル首相に「財政赤字の打開策は、貧困層に不釣り合いに痛手となる歳出削減でなく富裕層への増税だ」と主張。

フランスでは、富豪16人が週刊誌『ヌーベル・オプセルバトゥール』で、富豪らを対象にした特別貢献税を提唱。化粧品大手のロレアル創始者の孫だとか、石油王手トタルやエールフランスのCEO(最高経営責任者)などが名前を連ねているそうです。

さらにイタリアでも、フェラーリの社長が「富裕層に負担を求めることから始めなくてはいけない」と発言。このほかにも、投資家のウォーレン・パフェット氏がNYタイムズ紙に、「超大金持ちたちを甘やかすのはやめよ」と題して寄稿し、富豪への増税を求めています。

日本では、庶民のささやかな銀行預金の雀の涙ほどの利息からも20%の税金が天引きされているのに、株の配当や売却益にたいする課税はわずか10% ((配当も売却益も、本来の税率は20%だが、2003年に「株価維持」のためとして10%の軽減税率が導入され、何度か延長されて、現在まで続いている。今のところ、配当にたいする軽減税率は2011年12月まで、売却益にたいする軽減税率は2013年分まで、ということになっている。))。たとえば、トヨタの豊田章一郎・名誉会長と章男・社長とは、2人で合わせて1500万株ほどの株をもっていて、昨年度の配当は1年間で1株当たり50円。ということは、この親子はトヨタの株配当だけで7億5,000万円の所得があった計算になりますが、税金は10%しか払わなくてよいのです。オイラの貧弱な銀行預金には、先日、半年分で24円の利息がついていましたが、これだって本当は30円の利息がついたのに、そこから20%もの税金を引かれているのです。何という不公平!! 少しは欧米の富豪たちを見習ってほしいものです。

このニュース、インターネットを調べてみましたが、どの新聞でも報道されていません。これも、ある意味「しんぶん赤旗」のスクープといえるのではないでしょうか。「しんぶん赤旗」イギリス特派員のお手柄です。(^_^;)

この記事で紹介されている英紙ガーディアンの記事はこちら↓。

Tax us more, say wealthy Europeans | The Guardian

最後に、紹介が遅くなりましたが、8月30日の「しんぶん赤旗」には、福島県小浜市の池尾正彦・市議会議長(無所属)が登場して、インタビューに答えています。

小浜市は、先ほど紹介したおおい町に隣接。大飯原発から20km圏内にある町です。ここで、6月、全議員の賛成で、期限を定めて原発からの脱却し、代替エネルギーに転換するよう国に求める意見書が採択されました。もちろん、原発関係の仕事で働いている市民もいるわけで、そんなところで、全会一致で原発からの脱却を求める意見書が採択されたというのは、画期的なことです。

4月の選挙の時に、有権者から「小浜市がもしああなったらどうするのか」と聞かれたという池尾さんは、議長に選ばれた6月議会で意見書採択を呼びかけたそうです。「市民のいのちを守ることは議員にかせられた責務です」「原発をやめて雇用をどうするのかという意見もありました。しかし、命がなくなったら、なんにもなりません」「原発から出る『死の灰』をどうするのですか。若さの子どもたちがかかえて生きていかなければならなくなることを、このまま見過ごすわけにいかないのです」「『原発やめて』は人間としての叫びです」という池尾さんの発言は、ごく当たり前のことばかり。それがあらためて大事なのだと思います。

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